忌野清志郎の命日に、豪華メンバーが集結! 昨年に続いて追悼ライブ敢行!
忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー Love&Piece | 2012.05.24
忌野清志郎Forever!そんな声が聴こえそうなショーだった。
昨年に続き、忌野清志郎の命日である5月2日に日本武道館で行なわれた『忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 日本武道館Love&Peace』。RCサクセションで共に活動した仲井戸麗市(G)と新井田耕造(Ds)らによるバンドの前に、「ロックンロール・ショー」を歌った奥田民生とトータス松本を幕開けに、矢野顕子や斉藤和義など昨年に続く参加で沸かせた面々が次々に、また「い・け・な・い・ルージュ・マジック」を歌ったラヴ・サイケデリコや、ショートパンツ姿で「つ・き・あ・い・た・い」を披露した小泉今日子なども登場して華を添えた。
ジョン・レノン・スーパー・ライヴで共演した思い出を語り、その時に清志郎が自分で訳して歌ったジョン・レノンの「マザー」を、東北の子供たちにと力強く歌った吉井和哉、多くを語らず定番曲を堂々と演奏したJUN(S)Walkers、弾き語りで歌ってもらったことがあるという「指輪をはめたい」を歌ったチャラは、清志郎と深い付き合いがなくても彼が与える印象は強く、また彼の歌はビートルズ・ナンバーのようにスタンダードとなって歌い継がれていることを実感させてくれた。この日のバンドでキーボードなどを担当したDr.Kyonと共にボ・ガンボスをやっていた、どんとの長男ラキタが、緊張しながら歌った「まぼろし」も、そんな思いを強くする1曲だった。
一方それらの曲を生み出した忌野清志郎の大きさを改めて感じさせるのが、このライヴでもある。コットンクラブとブルーノートでの公演で来日していたスティーヴ・クロッパーは、清志郎も大好きだったオーティス・レディングの「ドック・オブ・ザ・ベイ」とウィルソン・ピケットの「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」を歌い、長年のファンを沸かせた。哀悼の意に満ちたこのステージの10日後、共に来日していた盟友ドナルド・ダック・ダンが都内のホテルで急逝したとのニュースは言葉を失うものだった。憂歌団の木村充輝と内田勘太郎による「上を向いて歩こう」も清志郎のルーツを垣間見せたし、「ありがとうボス!」と長年の感謝の言葉を述べた三宅伸治の「JUMP」も、歴史を感じさせて感無量なひとときになった。
「歌うものとして、歌詞が好き」とミュージシャンならではの前置きで「涙あふれて」を歌った斉藤和義、「雑踏」を歌って「ひとつ足りないのは本人よね」とアッサリ言ってのけた矢野顕子、森進一ばりのビブラートを効かせて「誰かがベッドで眠ってる」を歌った奥田民生、奥田と斉藤和義の「ドカドカうるさいR&Rバンド」はスーパーヴォーカリストの共演といった趣きで、後半は強者たちの競演が圧巻だった。またステージに登場した以外にも、お馴染みの竹中直人をはじめ秋元康や爆笑問題、山口富士夫らによるコメント映像も印象的なものだったし、未発表のものや亡くなる直前のブルーノート公演まで編集した清志郎のライヴ映像も、見知ったものであっても武道館の大きなスクリーンで見ると思いを新たにするものになった。
最後は、仲井戸麗市がフロントで力強く歌った「いいことばかりはありゃしない」。そして浜崎貴司が全員を呼び込んでの「雨上がりの夜空に」は、ラフィータフィーの一員だった武田真治も加わって、最高潮を迎えた。4時間半に及ぶステージだったが、存在感のあるアーティストたちの共演は時間を忘れさせた。09年に天国へ旅立って3年が経ったが、忌野清志郎というアーティストと彼が生み出して来た楽曲の魅力を伝えるこのイベントが、これからも長く続くことを祈りたい。
【取材・文:今井智子】