「NANO-MUGEN FES. 2012」2日目の模様をレポート!
NANO-MUGEN FES. 2012 | 2012.07.30
ASIAN KUNG-FU GENERATIONがオーガナイズする「NANO-MUGEN FES.2012」が、7月15、16日に横浜アリーナで行なわれた。国内外問わず、彼らが敬愛するアーティストが集結するこのイベント。今回のラインナップは……【15、16日両日】ASIAN KUNG-FU GENERATION/FOUNTAINS OF WAYNE/MOTION CITY SOUNDTRACK/MATES OF SATE【15日のみ】FEEDER/ストレイテナー/KREVA/SPACE COWBOY/秦 基博/Dr.DOWNER【16日のみ】SUEDE/the HIATUS/チャットモンチー/10-FEET/Chara/80KIDZ(LIVE SET)/片平里菜。そして、伊地知潔(Dr.)がプロデュースしたバー「GUESTReALM」にて、彼が参加しているPHONO TONESらが出演。豪華アーティスト達による夢の宴が繰り広げられた。
また今回は、「NANO-MUGEN FES.」をはじめ、アジカンのライヴ制作をしてきたNext 1 Create社が開発した太陽光発電「ECO LIVE SYSTEM」を使用し、当日のライヴで使用する電力の一部を、太陽光エネルギーでまかなうという試みも行なわれた。今年2月に行なわれた武道館でのライヴなどでも実験的に導入してきたそうなのだが、大規模なフェスで運用するのは、今回が初めて。今後もこのシステムを活用して行くとのことで、震災以降、バンドが表明しているアティテュードがここにも現れていた。
“起きてる?”の第一声から始まったCharaのステージ。「オルタナ・ガールフレンド」や、8月1日にリリースされる「プラネット」のパワフルかつ心地よいグルーヴが響き渡り、一瞬で会場をChara色に染め上げた。また、MC中に会場に入ってきた人達に “Charaだよー”とフレンドリーに声をかけたり、“ちょっと昔の曲も歌っていい?”と大ヒットナンバー「あいのうた」を披露するなど、その懐の大きさにオーディエンスも大喜び! ラストの「やさしい気持ち」では大合唱が巻き起こり、NANO-MUGEN2日目は、豪華過ぎる最高の幕開けとなった。
続いて、片平里菜がアコースティックステージに登場。福島県出身、現在20歳のシンガーソングライターである彼女は、まず、アコギ1本のみで「夏の夜」を弾き語り、その後はアジカンの喜多建介(Gt)と山田貴洋(Ba)がバックバンドとして参加し、山田がプロデュースした「始まりに」を披露。大観衆相手にもちろん緊張はしていたと思うが、とても凛とした歌声を響かせていた。
雄大なファンファーレが鳴り響く中に登場したのは10-FEET。意外にもNANO-MUGEN初参戦という彼らは、1曲目の「RIVER」から一気に会場のテンションをグっと引き上げる。MCでは“野外の方が似合うっていうことで、僕らのときだけ天井が開きます!!”“スタンド席のイスが全部滑り台みたいになって、全員前に来るようになります!!”と「サプライズ」と称したウソをつき倒し(笑)、客席に爆笑を巻き起こした。しかし、放たれる音楽はウソ偽りのない情熱の塊そのもの。熱いステージにオーディエンス達は興奮しっぱなしだった。
そして、1組目の海外勢、サンフランシスコを拠点に活動しているインディーポップデュオ・MATES OF STATEがアコースティックステージに登場。Kori Gardner(Vo/Key)の麗らかな鍵盤の音色と、Jason Hammel(Vo/Dr)のダンサブルで躍動的なドラムがフロアに満ちていく。ちなみにKoriとJasonは夫婦であり、それもあってかコーラスワークが抜群! 終始心地よい音楽をオーディエンスに届けてくれた。
そんなMATES OF STATEの「Proof」を日本語でカバーしているのが、この次に出演したチャットモンチー。そのカバー曲「夢みたいだ」からスタートさせ、2人の音楽を横浜アリーナに全開で響き渡らせる。そして“今日は強力な助っ人を用意しております!”と、アジカンの後藤正文(Vo&Gt)を呼び込み、彼がプロデュースした「きらきらひかれ」「カリソメソッド」を披露。また、未発表曲では福岡がベースを、橋本がドラムボーカルをつとめる場面もあり、常に新しい表現を探している2人の姿がとても印象的だった。
チャットモンチーのステージが終盤にさしかかった頃、「GUESTReALM」にてPHONO TONESのライヴがスタート。ドラムが生音で伝わってくるような超至近距離で行なわれたステージは、あっという間に入場規制がかかっていた。MCで“また船の上でライヴをやりたいね”と話していたのだが、そんなシチュエーションにピッタリなワクワク感と心地よさが同居するインストナンバーを連発。時間帯としても朝から踊りっぱなしだったオーディエンスはそろそろ疲れが出始める頃。そんな彼/彼女達を、音で優しく包み込んでいた。
“コンニチハー!”という軽やかな挨拶から始まったのは、アメリカのロックバンド・FOUNTAINS OF WAYNE。骨太なUSロックの豪快さと、繊細なメロディーを兼ね合わせたロックチューンを次々に叩き込んで行く。途中、フロアへ“チーズ!”と合図を送って写真を撮ったり、「HEY JULLIE」ではアジカンの喜多、潔、そして岩崎愛が参加する場面も。「3分半のポップ・ソングの達人」と呼ばれている、彼ららしいパワフルでダイナミック、かつポップなステージを展開した。
続いても海外勢、アメリカはミネソタ州出身のバンド・MOTION CITY SOUNDTRACKがアコースティックステージに登場。ちなみに、彼らがアコースティック形式で演奏することはほぼないというかなりの激レアぶり! 普段のパワフルなイメージとは打って変わって、繊細な一面を堪能することが出来た。また、Justin Pierre(Vo&Gt)は、MCで自分の髪を指差し“ネグセ!”と言ったり、全曲終了後にフロアに降りてオーディエンスとハグをし合うなど、最後までサービス精神全開だった。
終盤に近付いてきたところで、ステージに現れたのはthe HIATUS。『A World Of Pandemonium Tour 2011-2012』を終えて暫く経ったが、さらに曲が生々しく変化しているように聴こえる。MCでも、細美武士は戸惑いや感謝など素の表情も覗かせて「凄くプライベートな空間になっちゃった」と笑っていたけど、そのまんまで完全に会場を持っていっていた。いつも彼のNANO-MUGEN FES.でのパフォーマンスは、印象的である。
続いては、80KIDZがダンス・ステージにLIVE SETで登場。ドライブ感のあるダンスロックをストイックに繰り出していく。レーザー光線が飛び交う中、天井に突き抜けるように広がるサウンドは実に気持ちよく、ハンドクラップも起きる。ノンストップで続けた中での一言、「ラスト、どうもありがとうございました!」が清々しく響いた。
いよいよSUEDEが降臨! ボーカルのブレット・アンダーソンは、軽やかな身のこなしで、いつもよりも多くマイク回しも披露。たくさんオーディエンスがいてさらに輝く姿に、これぞ真のロックスターであると思った。ラストの「Beautiful Ones」まで、キラーチューンを畳み掛け、ブレットはマイクをオーディエンスに何度も向ける。洋楽ファンも万感の思いだっただろう。
ラストはもちろん、ASIAN KUNG-FU GENERATION。「サイレン」から「マジックディスク」という、 攻撃的なセットリスト。その後も、シンガロングが広がった「リライト」、新曲の「それでは、また明日」と、大舞台に展開される名場面。「音楽好きの領土を増やすと、いい国になると思う」などの、MCの数々も心に残った。本編を終えて、沸き起こるアンコール。するとチャットモンチーの橋本絵莉子を従えて「All right part2」を披露。さらに、ダンサーがステージを埋め尽くした「踵で愛を打ち鳴らせ」、そして「転がる岩、君に朝が降る」で締め括られた。
ゴッチはMCで「一日通して、改めて、俺、音楽好きだなあと思いました」と言っていた。そのシンプルな思いで、ライヴハウスの自主企画の巨大版のようなNANO-MUGEN FES.を作り上げてしまう、想像力と実行力。改めて、邦楽も洋楽も、バンドのスケールも、分け隔てなく招聘して、こういった大きな場所でフェスができるバンドって、他にいるだろうか?と考えてみたのだが、なかなか思いつかなかった。アジカンにリスペクトを! そして来年も期待して待ちたい!!
【取材・文:?MOTION CITY SOUNDTRACK 山口哲生 the HIATUS? 高橋美穂】
ライブ ASIAN KUNG-FU GENERATION 片平里菜 Chara 10-FEET MATES OF STATE チャットモンチー FOUNTAINS OF WAYNE MOTION CITY SOUNDTRACK the HIATUS 80KIDZ Suede
セットリスト
【7/16 出演アーティスト(出演順)】
- Chara
- 片平里菜
- 10-FEET
- MATES OF STATE
- チャットモンチー
- FOUNTAINS OF WAYNE
- MOTION CITY SOUNDTRACK
- the HIATUS
- 80KIDZ
- Suede
- ASIAN KUNG-FU GENERATION