同世代のガールズバンドが集結、「バンドやろうよ!! Vol.3」をレポート
バンドやろうよ!! | 2012.07.31
ガールズ・ロック・バンド、SCANDALが主催するイベント「バンドやろうよ!!」。彼女達がリスペクトするバンドを迎えて開催されてきたこのスペシャルイベントも、本年で3回目。今年は、7月16日、「バンドやろうよ!! Vol.3」が、FLiP、ステレオポニー、7!!を迎え、SHIBUYA-AXで行われた。
開演を待つフロア。ステージには、4台のドラムセットがそびえていた。ドラムが4台並んでいるステージなんて、これまで観た事が無い。この、前例ないステージの様子から、この日のイベントが、いかに“スペシャルなもの”なのか、いかに主催のSCANDALが、このイベントを大切にしているのかが、想像できた。この“スペシャル感”は、客席にも十分に伝わっていたようだ。開演前から、熱気に包まれ、あちこちから声援が飛んでいた満員のフロアが、その証拠ではあるまいか。
暗転。大歓声。ステージ向かって左端のドラムにメンバーがスタンバイ。トップを飾ったのは7!!の「フォーリン・ラブ」。曲の途中でFLiPのメンバーが出てきてスタンバイ。今度は1番右端のドラムを使う。「AX、盛り上がってますか!」と「カザーナ」。次に楽曲の途中で登場したのが、SCANDAL。左から2つ目のドラムが、勢いあるリズムを叩き出し「瞬間センチメンタル」へ。ジャンプする観客。そして右から2つ目のドラムを中心にスタンバイしたのが、ステレオポニー。疾走感溢れる「stand by me」を大迫力で叩きつけた。
曲間のつなぎもお見事で、まさに度肝を抜く、息もつかせぬオープニング。それぞれのバンドが1曲ずつ、一気に4曲畳みかけ、観客のテンションを思いっきりレッドゾーンに振り切った。
出演者全員がステージに登場。SCANDALのVo&G、HARUNAが挨拶。
「しょっぱなから飛ばしてみたんですけど、どーすか!」
観客から、うぉーの大歓声。この歓声を受け、ステージ上の出演者達も笑顔。既に手ごたえを感じているような、満足げな笑顔がはじけていた。HARUNAが続ける。
「同世代の4つのバンドで、ひとつのライヴを作りあげていこう、と。今まで観た事の無いようなライヴを作っていきたいと思いますので、最後までよろしく!」
タイトな無駄のなさと、その内容に、SCANDALの心意気を感じるMCであった。
中盤。オープニングの“演奏の途中で次のバンドがスタンバイする”という大胆な演出を受け継ぎ、4つのバンドが、次から次へと楽曲を披露していく。「今日はめちゃくちゃ熱い夜になりそうですね! 一生忘れられない最高の夜を作って行きましょう!」と、観客を煽り、スルーユアハンズを起こした7!!。パンキッシュでニューウェイブ色チラリ(?)な「ビバラ・ビバラ」など、インプロヴィゼーションを思わせる展開とテクニックで、客席をダンスさせたステレオポニー。ハードでラウドなサウンドと、ブレイクで何度もシャウトして観客を煽り、ライヴバンドとしての筋力を見せつけたFLiP。そして、前バンドのエンディングのハウリングを受け取り、自曲のイントロにつなげるなど、バンドのセンスを発揮。さらに客席から「Oi! Oi!」の大合唱、そしてフロアにモッシュサークルを作ったSCANDAL。それぞれのバンドが作り出した波がひとつになり、サウンドがドライヴするように駆け抜けた、圧巻の中盤であった。
ステージ上には、SCANDALのメンバー達。再びマイクをとったのは、HARUNA。
「みんなカッコ良すぎだよね」というひとことに、この日、いちばんの大歓声が起こる。HARUNAが続ける。
「普通じゃあり得ないエネルギーが、AXに広がってるんじゃないかな。このエネルギーを、皆に吸収してもらって、明日からの糧にしてもらいたい」
と言った後、自分達以外のバンドは、沖縄出身で在る事に触れ「私たちも沖縄の風を吹かしてみてもいいですか?」と、オレンジとイエローの眩いライトの中「太陽スキャンダラス」へ。そして、爽やかなミディアム・アップチューン「HARUKAZE」へとつなぎ、終盤をスタートさせた。
それぞれのバンドが、インパクトのあるタイトな1曲をダイナミックに披露したオープニング。そして、ライヴだからこその楽曲、もっと言ってしまえば、ライヴの真価が問われる=演奏力が必要とされるハードな楽曲で構成された中盤に続き、終盤は、解放感があり、サビのキャッチーなメロディーが映える楽曲が中心だった。そこには“ひとつのライヴとしての流れ”が、しっかりと出来あがっていた。通常のイベントでは、考えられない事である。主催者・SCANDALのアイデアと、それに応えた出演バンドのスキルが、この“前代未聞のスタイル”につながった、素晴らしい形だったと思う。しかしながら私は、この結果を導き出した、主催者の“気持ち”に拍手を送りたい。
その気持ちとは何か。出演バンドにリスペクトする気持ち、である。本当にリスペクトして、出演者の楽曲を知り聴きこんでいなければ、今回のようなセットリストにしようというアイデアも出て来なかっただろうし、前述した“ひとつのライヴとしての流れ”は、完成しなかったのではなかろうか。
この日、AXには、間違いなく、同世代が巻き起こした、新しい風があったように思う。
最後の曲が、その証拠だ。
HARUNAの「1年ぶりにやってきました、スキャンダルポニー(SCANDAL+ステレオポニー)です」という紹介から演奏されたのは「DOLL」。観客が、楽曲に合わせてタオルを振回す。エンディングのサビの繰り返しで、出演者が全員、ステージに登場。客席と一緒にタオルを回した。
フロアからの熱風が舞いあがり、2階席から見下ろしていた私の肌を何度も撫でていった。
最後、HARUNAはこう締め括った。
「この「バンドやろうよ!!」も、今年で3回目を迎えられ、良かったと思います。すごく刺激になりました。姿、形を変えつつ、続けて行きたいと思います。これからも、よろしくお願いします!」
【取材・文:伊藤亜希】
セットリスト
バンドやろうよ!! vol.3
2012.7.16@SHIBUYA-AX
- フォーリン・ラブ(7!!)
- カザーナ(FLiP)
- 瞬間センチメンタル(SCANDAL)
- stand by me(ステレオポニー)
- ラヴァーズ(7!!)
- 狼(ステレオポニー)
- ビバラ・ビバラ(ステレオポニー)
- LOVE SURVIVE(SCANDAL)
- CHERRY BOMB(FLiP)
- Shut Up,Men! (FLiP)
- カートニアゴ(FLiP)
- 愛の言葉(7!!)
- 太陽スキャンダラス(SCANDAL)
- HARUKAZE(SCANDAL)
- ワンダーランド(FLiP)
- Sweet Drive(7!!)
- バイバイ(7!!)
- ヒトヒラのハナビラ(ステレオポニー)
- DOLL(スキャダルポニー)