昨年12月にシングル「Tick Tack」でデビューして以後、着実に日本でのファンを増やし続けている韓国出身のダンス・ボーカルグループ、U-KISS。
7月のツアーではファイナルのNHKホール2DAYS公演を大成功させたばかりだが、9月5日には早くも日本武道館での単独公演『U-KISS LIVE IN 武道館』が実現した。
7人（現在、AJが米国留学中につき休業中）のメンバーの際立った個性と、歌やダンスのキレのよさ、バラードからダンスチューン、ポップスなど、器用に歌いこなす実力も魅力。キャッチーな楽曲も多く、現在人気上昇中だ。さて、開演時間の18時半、ほぼオンタイムにライブがスタート。場内いっぱいに広がるマゼンタ（赤紫色）のライトが揺れる中、まずは映像でメンバーが紹介される。この時点でオーディエンスの熱気は急上昇。そして次の瞬間、爆音とともにメンバー6人がステージの下からせり上がり、ライブがスタートした。
アッパーチューンの1曲目「Every Day」に始まり、今年2月にリリースされた日本での1stアルバム『A Shared Dream』からのナンバーやライブ当日に発売されたばかりのニューシングル「One of You」など、幅広い曲構成で聴かせる。見せどころだったのは、ソロコーナーで各メンバーが趣向を凝らしたパフォーマンスを見せてくれたところ。フンとケビンは中島美嘉の「雪の華」をカバー。韓国でも人気があるこの曲をケビンは「大好きな曲」と紹介。曲の冒頭ではフンが弾き語りを披露するなど、見せ場を作った。キソプはダンサーを従え、マイケル・ジャクソンの「スリラー」を思わせるようなゾンビ・ダンスでガラリと空気を変えてみせる。続いてのソロコーナーはイライ。彼は女性ダンサーとからみながら、NE-YOの「MAD」にのせて、セクシーなパフォーマンスで魅了。
リーダーでもあるスヒョンはEXILEの「僕へ」と「道」を熱く歌い上げた。歌い終える頃には、思わず感極まって涙するひと幕も。情に厚い彼らしいシーンだった。ソロコーナーラストは、ラップ担当のドンホに加え、イライが再度登場。m-floの「miss you」のカバーで、場内を盛り上げた。ソロコーナー後のMCタイムでは、留学中のAJからのメッセージも映像で流される。メンバーにもファンにも、これは嬉しいサプライズだった。中盤はバラードチューンを中心に構成され、U-KISSらしいハーモニーの美しさをアピール。そして後半はビートを聴かせた日本でのデビューシングル「Tick Tack」をはじめ、「Neverland」、「Forbidden Love」などなど、ライブの人気ナンバーを連発し、盛りだくさんの本編を熱くシメた。

　アンコールは「Kiss Me Forever‐一生 Japanese ver.‐ 」でスタート。メンバーもオーディエンスもタオルをまわしまくり、瞬く間に一体感を演出。MCでは「Girls Award 2012 Autumn/Winter」（11月8日）への出演や、12月に東名阪で行うFC限定イベントの告知、さらには来年1月からオンエアされるNHKドラマ『書店員ミチルの身の上話』の主題歌決定の報告で歓声をあびた。また、ラストナンバーの前にはメンバー全員から観客に向け、感謝の言葉が届けられる。末っ子のドンホは「本日は来てくださり、まことにありがとうございます。本当に恐れ入ります(笑)」と、丁寧な語り口で場を和ませ、「今日はU-KISSのシングル・リリースと武道館公演で一石二鳥な日です！」と、これまた流ちょうな日本語で挨拶してくれた。シメの1曲は「Man Man Ha Ni」。これもファンのあいだでは人気の高い曲。最後のひと盛り上がりで、U-KISSは初の武道館公演を堂々の成功へと導いた。地道に、そしてファン（＝彼らはKISSMEと呼ぶ）に対する熱い思いで、着実に土壌を固めてきたU-KISSらしい武道館だったように思う。まだまだ伸びしろを感じさせるだけに、次の展開が楽しみだ。

【取材・文：海江敦士】