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延べ9万5千人を動員。ファンモン初のスタジアム。

FUNKY MONKEY BABYS | 2012.09.30

 開演から3時間が経過していた。
初秋の風が、火照った頬をなでていく。宵闇の中、眩い照明で光り輝く横浜スタジアム。そのステージ上には、汗まみれのファンキー加藤、モン吉、DJケミカルの笑顔があった。アンコールも含み、全23曲。“おまえ達との道”を、大観衆とともに完走したFUNKY MONKEY BABYSの3人に、3万人の観衆から、様々な感謝の言葉が送られる。アリーナから「ありがとー!」と絶叫した男性客。その声に、ステージ上のケミカルは、直立不動になりながら、こう反応した。

「はい、こちらこそ!」
 会場の爆笑が、拍手に変わる。笑顔のまま泣き出す女の子の顔も見えた。スタジアムのあちこちから、一斉に「ありがとう!」の声がかかる。その声は、あっと言う間にひとつの塊になり、大歓声となった。彼らと観客の関係性がわかる瞬間だった。この光景は、デビュー以降、約7年間かけ、メンバーと観客が、共に作りあげたものだ。まさに、FUNKY MONKEY BABYSのライヴならではの絶景であった。

 17時30分。快晴の横浜スタジアム。初秋を感じさせる高い青空に、刷毛で白い絵の具を刷いたような雲が広がっている。9月8日&9日と、2日間に渡り、横浜スタジアムで開催された「おまえ達との道?in横浜スタジアム?」。その2日目も、前日に引き続きお天気に恵まれた。時折、浜からの風が心地よい、最高のシチュエーションの中、2日目のライヴが幕を上げた。

 バイクの排気音。パトカーのサイレン。旋回する赤いライト。警察と “浜の走り屋達”のチェイスをイメージさせる演出か。ステージ上の巨大なスクリーンに映像に浮かぶ文字。「親を泣かせ 女を泣かせ……」と、任侠映画ライクなフレーズに、客席がざわめく。さらに言葉が続く。「……されどいこうぞ いばらの道を それが俺とおまえ達との道」。アップになった主人公は、白い特攻服に身を包み、リーゼントのカツラを被ったDJケミカル。BGMは、誰もが知るマフィア映画のあの曲だ。ステージ上に、生・DJケミカル登場。ステージを勢い良く降りるケミカル総長。仮面ライダーバイク風(?)にカスタマイズした自転車で、客席、アリーナに走り出た。そのままアリーナを一周。絶叫する大観衆。3万人の興奮が、猛スピードで高い空に掛け登っていく。ファンモンライヴの恒例、DJケミカルのオープニング・サプライズ。この日、エンターテイメント性というポイントにおいては、わかりやすさも含めて、ファンモン史上、屈指の出来栄えだった。もちろん腹の底から、笑いましたとも!
ステージに戻ったDJケミカルが叫ぶ。「このモノ好きどもーっ! いくぞ! FUNKY MONKY BABYSだぁああああ!」大音量でトラックが鳴り響き、ファンキー加藤とモン吉が、広いステージに全力疾走で突進する。1曲目を飾ったのは「ナツミ」。意外な選曲に喜ぶ大観衆。サビでは、3万人が、ステージ上のメンバーと一緒に、両手を何度も空に伸ばした。ここから5曲目までの最初のブロックは、最新シングル「LIFE IS PARTY」などのアッパーなパーティー・チューンと「真夏のマジック」など、夏を思わせるアップ・チューンで構成。観客を、しっかりとお祭り&野外モードにロックオンした。
 ファンキー加藤のMC。「横浜、ありがとう。とにかくステージが広い!」と挨拶した後「ファンモン史上、初のサブステージを準備しています。今から移動します」と宣言。ファンキー加藤はリリーフカーに乗りステージ下手側から、モン吉&DJケミカルも、リリーフカーに乗り、逆側から、アリーナ最後部の中央に設置されたサブステージに移動した。リリーフカーと一緒に、観客の歓声と拍手も、サブステージに移動していく。

 サブステージに到着。ファンキー加藤の「おい! 最前列! テンション下げてんじゃねーぞ!」というひとことに、この日、何度目かの大爆笑が起こる。「360℃がお客さんって、経験したことない」と言いながらも、1人1人を見つめるように、ミディアムチューン「大丈夫だよ」を披露。こまめに体の向きを変え、サブステージ上をゆっくりと周るように歌うパフォーマンスに、彼らの音楽の原点を観た気がした。「夏の終わりに」。イントロのギターに合わせ、DJケミカルがギターを弾くジェスチャー。そのジェスチャーを真似する、ちびっこBABYSの姿が見える。「次の曲は、たぶん皆、歌えるんじゃないかと思うから、大合唱してください」と「告白」へ。ファンキー加藤は歌いながら、手を振る観客を指さし、手を振り返すという仕草を、曲が終わるまで繰り返した。
メンバーは、再びメイン・ステージへ。「ALWAYS」では、ライヴタイトルが記されたメタルテープが、夕暮れの空に弧を描いた。軽快な「恋の片道切符」の後は、ステージが照明で真っ赤に染まり「がむしゃらBOY」へ。レゲトンのリズムで押し切るドープなナンバー。ファンキー加藤&モン吉の、ラップのフロウ&パフォーマンスもみせどころだ。この曲で、モン吉は、巻き舌口調をフックにしたディープなフロウを決めた。切ない顔でバラードを歌ったと思ったら、クールでアンダーグラウンドな一面を見せる。この、いい意味での変わり身の早さ、メリハリは、彼らが7年かけて培ってきた、ファンモンライヴの大きな魅力だろう。7年間で作った楽曲数も、ひとつのインフラになっているが、しかし最たる要因は、曲をライヴで再現する時に、どうすればいちばん魅力的に伝える事ができるかを、試行錯誤しながら体現し続けてきたから、そしてその中で、課題をひとつひとつ、クリアしてきたからではなかろうか。
ファンキー加藤がマイクをとる。客席をぐるりと見回し「夢の中にいるみたいです。ありがとうございます」と気持ちを伝えた後、話は、横浜に関するエピソードへ。デビュー前、横浜のクラブで頻繁にライヴをしていた彼ら。早朝、その帰り道、朝日に照らされる横浜スタジアムの影が、いつも見えていたと言う。当時、音楽を生業にしたいという野望はあったが、横浜スタジアムでライヴをするなど、まったく想像できなかった、と。さらには「今だにどうして、こんなにたくさんの人に支持されているのかわからない」と、正直すぎる本音も吐露。この鮮烈な言葉に、客席には少しシリアスなムードが漂ったが、この反応を敏感に受け止め、ファンキー加藤はこう締めくくった。

「でも今は……お互いに(=自分達&観客)励まし合える、世界一、お互いに、勇気がもらえるライヴだと思ってます」
力強いバラード「涙」へ。曲のサビ頭、 ♪こぼれ落ちるその涙が いつでも君の背中を押してる♪ というワンフレーズに合わせて、ステージ後方の巨大なスクリーンには、観客の背中が映った。
16曲目からは、本編最後のブロック。ストレートなビートが特徴の、アッパー・チューンが続く。「悲しみなんて笑い飛ばせ」では、横浜の夜空に、何発も花火があがった。曲の頭、曲中、ラストと、何度も打ち上げられた、色とりどりの花火。曲のブレイクや変わり目に合わせた打ち上げタイミングは、感動するほどにドンピシャで、ライヴ・スタッフの気合いを感じずにはいられなかった。また、メッセージ色が濃厚な歌詞の曲が連なったのも、このブロックの見せどころになった。ファンキー加藤の拳が、モン吉の腕が、DJケミカルの両手が、何度も何度も、夜空に突き上げられた。

 アンコール。歌詞もドギツイ(エロという意味で)お祭りチューン「勝負パンツ」で、観客を乱舞させた後、「小さなお子さん連れのお父さん、お母さん「勝負パンツ」(を演奏して)ごめんなさい。少子化対策の歌とか、うまく濁してくださいよ?」と、茶目っ気たっぷりにフォローしたファンキー加藤。和んだ客席に、改めて向き直る3人。そして、モン吉、DJケミカル、ファンキー加藤の順番で、感謝の気持ちを言葉にした。それぞれ、ダイジェストで紹介しよう。
「BABYSの方々も、まだBABYSじゃないお初の方も、ありがとうございます。ほんと、ここに来るだけで、すごいパワーがいると思う。本当にありがとうございます。これからもよろしく?」(モン吉)
「スタッフも、皆さんも、いつも僕たちを支えてくれる人達がたくさんいて……だから今日は、皆さん、自分の心に拍手してあげてください! これからも全力でがんばって行きます。これからも私達を全力でバックアップしてください、よろしくお願いします」(DJケミカル)
「今日は本当にどうもありがとうございます。どう感謝の気持ちを伝えたらいいか、わからなくなる。ありがとうって言葉も軽く感じて、届いてないんじゃないかと思ってて……。だからとにかく、皆の心に、歌声を全部届けました。今日も、もう精一杯です。120%出しました。もうこれ以上ないです。ごめんなさい(会場笑)。9月9日、俺達3人から、3万人の皆さん、1人1人に向けて、今のおれたちの心情にぴったりな歌を歌いたいと思います」(ファンキー加藤)

 ファンキー加藤のこの言葉を受け、会場に響いたのは「大切」。スクリーンには、充実感に満ちた表情をした、メンバー3人の顔が映し出された。

 最後は、「ヒーロー」「Lovin’ Life」と、彼らの歴史の中で、大きな分岐点となった2曲を熱唱し、FUNKY MONKEY BABYS史上初のスタジアムライヴ、最大規模のお祭りは、幕を閉じた。

 時刻は21時を過ぎていた。肌をクールダウンする風が、秋がすぐそこまで来ている事を告げていた。 祭りは終わった。宴の終わりに侘しさを感じ、淋しくなったりするのは、日本人の常。しかしながらこの日、横浜スタジアムを後にするBABYS達の顔に、侘しさや淋しさは浮かんでいなかった。上気した顔の視線を追って見る。その先には、ファンモンの次なるツアーを告げる、手作りのポスターがあった。

 2013年、年明けから全国アリーナツアー「WE ARE FUNKY MONKEY BABYS TOUR」がスタートするFUNKY MONKEY BABYS。

 観客と共に築いて来た“道”を、3人は、ペースを緩めず、どんどん突き進んで行くようだ。
何があっても、前へ、前へ。前のめりになりながら、進め、進め、ファンモン! その先には“次”が、必ず待っている。必ず次がある事を、彼らは身を持って知っている。
だからきっと、ファンモンは、これからも、強い。

【取材・文:伊藤亜希】
【撮影:駒井友香】
【撮影:平野哲郎】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル FUNKY MONKEY BABYS

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リリース情報

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2011年12月21日

Dreamusic

1. 悲しみなんて笑い飛ばせ
2. それでも信じてる
3. 空
4. ラブレター
5. HAPPY BIRTHDAY
6. サヨナラの向こう側
7. アワービート
8. 八王子純愛物語
9. あとひとつ
10. ランウェイ☆ビート
11. 愛の歌
12. 未来の君へ
14. LOVE SONG
15. 真夏のマジック

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リリース情報

LIFE IS A PARTY

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2012年08月29日

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01.LIFE IS A PARTY
02.夏の終わりに
03.LIFE IS A PARTY (instrumental)
04.夏の終わりに (instrumental)

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セットリスト

FUNKY MONKEY BABYS
おまえ達との道〜in 横浜スタジアム〜
2012.9.8@横浜スタジアム

  1. GO!GO!ライダー
  2. ナツミ
  3. 真夏のマジック
  4. アワービート
  5. LIFE IS A PARTY
  6. 大丈夫だよ
  7. 夏の終わりに
  8. 告白
  9. ALWAYS
  10. 恋の片道切符
  11. ガムシャラBOY
  12. メロディーライン
  13. 明日へ
  14. もう君がいない
  15. あとひとつ
  16. 希望の唄
  17. 悲しみなんて笑い飛ばせ
  18. ちっぽけな勇気
  19. 西日と影法師
ENCORE
  1. 勝負パンツ
  2. 大切
  3. ヒーロー
  4. Lovin’Life

FUNKY MONKEY BABYS
おまえ達との道〜in 横浜スタジアム〜
2012.9.9@横浜スタジアム

  1. ナツミ
  2. アワービート
  3. 真夏のマジック
  4. LIFE IS A PARTY
  5. One
  6. 大丈夫だよ
  7. 夏の終わりに
  8. 告白
  9. ALWAYS
  10. 恋の片道切符
  11. ガムシャラBOY
  12. メロディーライン
  13. LOVE SONG
  14. あとひとつ
  15. 希望の唄
  16. 悲しみなんて笑い飛ばせ
  17. ちっぽけな勇気
  18. 西日と影法師
ENCORE
  1. 勝負パンツ
  2. 大切
  3. ヒーロー
  4. Lovin’Life

お知らせ

■ライブ情報

『WE ARE FUNKY MONKEY BABYS TOUR』
2012/01/13(日)北海道立総合体育センター 北海きたえーる
2012/01/19(土)アスティ徳島
2012/01/20(日)アスティ徳島
2012/02/02(土)横浜アリーナ
2012/02/03(日)横浜アリーナ
2012/02/09(土)マリンメッセ福岡
2012/02/19(火)大阪城ホール
2012/02/20(水)大阪城ホール
2012/02/23(土)神戸ワールド記念ホール
2012/02/24(日)神戸ワールド記念ホール
2012/02/28(木)名古屋 日本ガイシホール
2012/03/01(金)名古屋 日本ガイシホール
2012/03/09(土)サンドーム福井
2012/03/16(土)宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
2012/03/22(金)岡山市総合文化体育館
2012/03/23(土)岡山市総合文化体育館
2012/03/30(土)さいたまスーパーアリーナ/
2012/03/31(日)さいたまスーパーアリーナ

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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