今年8月に行われたレーベル・UK. PROJECT所属バンドが一堂に会したイベント『UKFC　on　the　ROAD　2012』の新木場スタジオ・コーストの際の、あるひとコマ。BIGMAMAが「Paper-craft」を演奏時に、[Champagne]の川上（Vo/G）が飛び入り。金井（Vo/G）と熱い掛け合いを披露し、両バンドの相思相愛っぷりをこれでもか！と見せつけられた。
そして、その熱も冷めやらぬうち、今度はこの2バンドによるガチンコの全国ツアー『RX-RECORDS presents 星の屑ども作戦?STAR-DU-STARS-MEMORY?』が決行された。その全12公演（番外編の台湾含む）の“第１話RX強奪”と付けられた初日に足を運んだ。
　まず金井が一人で現れ、満杯の会場の視線を浴びる中、弾き語りで静かに幕開けしたBIGMAMAのステージ。それから、それに続くように他のメンバーが加わっていき、急カーブを描くように壮大なスケールで演奏を鳴り響かせる。ド頭から鳥肌が立つような演出で、気付けばフロアは観客の声、拳、ジャンプ＆モッシュの大運動会状態だ。前半はパンク畑に根を生やした彼ららしく、怒涛の攻撃力で畳みかけてくる。とはいえ、柿沼（G/Vo）は深みのあるコーラスを聴かせ、東出（Vio.）が同じ曲中で鍵盤も操ったり、リアド（Dr）のドラム・ソロから突入する曲もあるなど、細部の演奏や演出も光っていた。中盤、「Lovescape」を金井が愛情たっぷりに歌い上げ、鮮やかなポップ・サウンドで聴き手を至福の境地に導く手腕は素晴らしかった。
後半には心の芯から温まるような新曲も披露され、場内を完全に一つにまとめ上げていた。

　ジラすようにゆったりした川上の歌い出しから始まった、この日後攻の[Champagne]。フロアは早くガツンと来い！と言わんばかりに過剰反応している。その光景からも彼らに対する期待値の高さが窺えた。すかさず激しいバンド・アンサンブルに切り替わると、火に油を注ぐような凄まじい盛り上がりとなった。研ぎ澄まされたバンド感、息のピッタリ合ったグルーヴ、メリハリの効いた演奏力、そこに爆発的なロック衝動を乗せて駆け抜ける様は壮観の一語に尽きた。また、「かわいい金井に捧げます」と言った後に「Kids」を、続けてBIGMAMA同様に新曲もプレイされ、これがまた即効力のある良質なナンバーだった。 後半は洋楽ライクなバンドのルーツを開陳したカヴァーや、デビュー以前の路上ライヴ時代に演奏していたレア曲もさらりとやってのけ、多くの人が興奮と感動が入り混じったプレミアムなひとときを骨の髄まで堪能しているようだった。

　2バンドが終了し、普段のライヴよりもあっという間に時が過ぎたように感じたのは僕だけだろうか。ちなみに、レーベル内ではBIGMAMAの方が先輩格に位置している。しかし、そんな見栄やプライドなどどこかにかなぐり捨ててでも、”今、真剣勝負できる相手と一緒にライヴを演りたい!!”。もしかしたら、そんな気持ちがBIGMAMA側にあったのかもしれない。そのBIGMAMA側からの本気のラヴ・コールに全身全霊で応えた[Champagne]、その両者のぶつかり合いが面白くないわけがない。立て続けにこの2バンドを観て、改めて音楽性や演奏のアプローチなど、違いを挙げればキリがないほど、実は共通項は乏しいと感じた。ただ、俺たちが目指すゴールは遥か先にある！と鼻息を荒くする目線と志の高さは、ほぼ同じように映った。
その両者の熱量の高さが、赤坂ブリッツを突き抜ける破格のエネルギーを生んでいたのは間違いない。今後の活躍が期待される2バンドだけに、ここでお互いの肩を叩き合い、さらなる大舞台に突き進むために、今回のツアーは必要不可欠なものだったのかもしれない。その貴重なスタート地点に立ち会えた喜びに大満足して、私は帰路に就いたのだった。

【取材・文：荒金良介】
photographer　高田 梓（AZUSA TAKADA）