昨年、5周年を迎えたAcid Black cherryとBREAKERZ。互いに交流のあるこの2組が、2013年の年明け早々、1月9日に日本武道館に集結、スペシャルコラボライブ『Acid BREAKERZ Cherry 69-sixnine-』を行った。武道館はバックスタンドも開放され、ステージには全方位から観客の熱い視線が注がれる。もちろん2階の最後列まで観客がビッシリという大盛況ぶりだ。

　客電が落ちると警告音と共に赤いライトが場内を照らす。同時に総立ちになった観衆の待ち構える中、まず下手(しもて)の花道に黒い衣装でキメた BREAKERZが登場。続いて上手(かみて)花道にはAcid Black Cherryが登場。バンドメンバー全員、黒スーツの衣装だ。お互いに視線をぶつけ合ったあとでステージ中央に歩み寄ると、 BREAKERZのDAIGOとAcid Black Cherryのyasuがガッチリと握手。その後、最初にスタンバイに入ったのはAcid Black Cherryだった。一発目の「Murder Licence」から、ハードチューンで煽る。景気づけにはバッチリの選曲だ。このまましばらくAcid Black Cherryの演奏が続くかと思いきや、楽器が乗っているプラットフォームのような細長い台が上手(かみて)方向にスライドしていくではないか！　すると、下手(しもて)方向からBREAKERZ用にセッティングされたドラムセットやアンプなどが現れる。予想外の進行に、移動するステージを見つめる観客からはどよめきが起こった。したがって2曲目はBREAKERZが担当。アッパーなロックチューン「BIG BANG!」に、観客はジャンプでテンションを上げる。MCタイムになるとyasuが現れ、DAIGOとふたりで息のあったトークを展開。「きましたね、 新年一発目の姫始めが武道館で、まさかの3Pっていうね！」と、早くもエロネタを差し込むyasu。トークにほぐされたあとは、BREAKERZ が「激情」と「DEAR LIAR」でさらに熱い空気を作る。そのあとはAcid Black Cherryの出番――と、リアルに目移りするような状態でライブは進む。ハードな曲が続く中、Acid Black Cherryが美しいバラード曲「イエス」を挟んで場内を酔わせれば、BREAKERZは1月16日発売の新曲「RUSTY HEARTS」をいち早くお披露目したりと盛りだくさん。「BAMBINO ~バンビーノ~」（BREAKERZ）、や「チェリーチェリー」（Acid Black Cherry）など、お互いのライブにおいて、欠かせないマストチューンも連発。ステージ上では両バンドのメンバーが入り乱れ、華やかな雰囲気に。本編後半も勢いは止まらず、両者ともハードな持ち曲で本編を終えた。

　アンコールでは、最初にyasuとDAIGOがふたりで現れ、不定期に行っているユーストリーム番組『ABCD放送局』を急遽オープン！　DAIGOがツイッターで 質問を募集し、ステージ上で回答するなど、またまたビックリの展開に。さらに両バンドが登場すると、それぞれの曲をオールメンバーでプレイ、yasuとDAIGOはハモり合うなど、豪華なコラボで「眠り姫」（Acid Black cherry）や「オーバーライト」（BREAKERZ）を聴かせてくれた。このあと、「写真を撮っていいですか？」とカメラを持ち出したDAIGOが「やばいっす。神が写っちゃってます！」と叫ぶその目線の先には彼らの尊敬する大先輩L’Arc~en~Cielのhydeの姿が！　yasuは 「hydeさん、よかったらこっち来ます？」と、やんわりとおねだり。観客のザワつきもハンパない。するとhydeがステージへ移動を開始。DAIGOは「スーパーサプライズじゃないですか！」と笑顔で叫ぶ。ステージに到着したhydeは「まだ今年仕事始まってないんだよね~」とボヤきながらも、「Black Cherry」のベースイントロが始まると、期待に応えて歌い始め、両バンドの5周年に華を添えた。まるでお年玉のようなサプライズに場内は大興奮！　曲が終わると、hydeはyasuとDAIGOと熱いハグ。穏やかに楽屋へ消えていった。驚きの興奮もそのままに、アンコールは続き、BREAKERZのパーティーソング「SUMMER PARTY」でシメられた。しかし、観客は帰る様子もない。最後はダブルアンコールでAcid Black Cherryのアッパーチューン「DRAGON CARNIVAL」で幕を閉じた。仲のいい仲間同士だからこそなし得ることのできた、素晴らしいアニバーサリーライブ。演る方にとっても観る方にとっても、忘れられない武道館になった。

【取材・文：海江敦士】