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チリヌルヲワカと「誰か?」が対バンする企画イベントにtricotが登場!

チリヌルヲワカ、tricot | 2013.05.08

 2012年夏、つしまみれとの対バン企画「ヲワカみまれ」を初に、以後タイトルを変え、2012年秋にはtoddleを迎え行った、チリヌルヲワカの「ヲワカとダレカ」。チリヌルヲワカと「誰か?」が対バンする企画イベントだ。その履歴通り、これまで超個性的な自分たちの音を持っているフロントウーマンを擁したバンドたちと開催してきた同イベント。この日、新代田FEVERで行われた第3回目の対バン相手はtricotであった。

 力と技、キテレツと巧みが交差する面白い組み合わせとなった今回の発端は、チリヌルヲワカのお客さんがメンバーにtricotの音源を手渡したことからと、同時期にチリヌルヲワカのボーカル&ギターのユウが、動画サイトにてtricotを知り、メンバーに紹介したのが合致してのことだという。

 まずは先行でステージに現れたのはtricot。ドラムのkomaki♂の4カウントから、3拍子と2本のギターの幾何学なアンサンブル、ウィスパーが特徴的な「G.N.S」で幕を開ける。ギュッと密度を上げるフロア。早くもセンターに位置するベースのヒロミ・ヒロヒロが長い髪を振り回し、ギターのキダ・モティフォも飛び跳ねながらプレイを始める。間には、ボーカル&ギターの中嶋イッキュウによる伸びやかなボーカルも交わり、激しさと優雅さが融合した楽曲で一気に会場をtricot色に染め上げる。「行けますか?!! 好きに踊れますか?!!」と中嶋がひと煽り。続いてはラテンポップと中嶋によるアジテートポエトリーリーディングが印象的な「夢見がちな少女、舞い上がる、空へ」。この曲では、先ほどの煽りよろしく、会場が思い思いに好きに踊る。ノンストップで加速度を上げつつ突入したのは「消える」。伸びやかで張りのある歌声と時折混じるウィスパーがセクシーさを呼び込む。

 ここでMC。「京都と滋賀から来たtricotです」とキダがしゃべり始める。「時間はたっぷりあるから、最後の最後までお付き合い、よろしくお願いします」の後、「久しぶりのロングセットなんで不安」と笑って続ける。

 komaki♂の土着さを交えたリズムに、字詰めの歌、キダによるポリリズム交じりの、拍をズラしていくギターが印象的な「おもてなし」へ。komaki♂、キダ、ヒロミの3人のオーバーアクションに対して、あえて冷静にマイクスタンドの前で歌う中嶋のコントラストも面白い。次曲の「アナメイン」の展開がまた凄かった。モチーフはそんなに変わらずとも、グイグイと楽曲の持つ物語性を引き上げていった同曲。歌詞もないのに非常に物語性を感じたのは、私だけではないだろう。一変して「42℃」突入。ミディアムな同曲に会場もゆったりとたゆたう。 次のMCでは、折り返し地点であること、シングルのリリース告知、ツアー告知、初のツアーワンマンの告知を経て、そのニューシングル「99.974℃」に入る、かと思いきや、まさかの未発表の新曲「おちゃんせんすぅす」を始める。甘いハーモニーから入りながらも、これまたプログレッシブな曲へと変貌していく様はいかにも彼女たちらしい。「おちゃんせんすぅす」のフレーズを抑揚やメリハリをつけて繰り返す歌も面白い同曲。ところで「おちゃんせんすぅす」って何だ? 続いては、お待ちかねのニューシングル「99.974℃」に。同曲の登場にさらにフロアも暴発。サビのストレートさに会場も走り出す。ここでキダによる、最近お気に入りのコール&レスポンスが。今回は「ヲワ」「カ」から始まり、「ヲア」「カ」「トリ」「コ」を交互に言い合う独特のスタイルにて対応。そこから代表曲「爆裂パニエさん」に入るところは鳥肌ものであった。溢れるダンサブルさに場内もハネる。続いては「ロングセットじゃないとできない久しぶりの曲」。の一言の後、「フレミング」がヒロミにより紹介される。緊張感のある冷んやりとしたイントロと世界観のある同曲に会場もゆったりと揺れる。同曲はブレイク後のテンポアップの際が凄かった。洪水のように音の渦が会場を惹き込み、巻き込んでいく。そしてラストは盛り上がり必至の「MATSURI」。キダはスピーカーによじ登りプレイ。中嶋がハンドマイクでフロアの最前列で、会場をアジれば、ヒロミも客席の中でプレイ。ガツンとした衝撃と"凄かった!"という印象を残し、彼女たちは去って行った。

 ステージが転換。フロア前方の密度がさらに増していく。続いては、チリヌルヲワカだ。

 SEに乗り、4人がステージに現れる。意外にもボーカル&ギターのユウはセンターではなく、上手(かみて)側だ。センターのちょっと引っ込んだ立ち位置にてベースのイワイエイキチが前傾姿勢で構える。そのイワイのベースから始まったのは、「虎と馬」。そこに各楽器が不穏な音を重ねていき、同曲のイントロを形作っていく。その中からユウの歌が現れると、会場も合わせてまるで楽曲にたゆたうように体を揺らす。ゆったりとした雰囲気のある楽曲ながら、そこにそこはかとない緊張感が漂っているのもこの曲の特徴だ。そして、坂本夏樹のギターがその雰囲気を引き裂いていく。続いては「天邪鬼」だ。ドライヴ感のあるサウンドに阿部耕作のタイトなドラミングがベストマッチを見せる。呼応箇所がくると、”待ってました!!”とばかりに、ステージに向け突きつけられる無数のコブシ。その後現れる3拍子がことさら楽曲のドラマティックさを引き出していった。

 阿部がドラムでつなげ、そこに会場中からのクラップが合わさる。続く「姫事」に入ると、イワイの放つ躍動感に合わせ会場もダンシング。あえてポップ気味に歌われた同曲に合わせてライヴも弾んでいく。サビでのテンポアップに伴い、ライヴが再び走り出す。

 ここで阿部がメンバー紹介。翌日発売のニューアルバム『アナログ』の告知も加える。そして、次はそのニューアルバムからのナンバー「マシーン」が飛び出す。同曲ではイワイのベースが引っ張り、楽曲に躍動感が加わっていく。サビのストレートになるところでは会場全体も並走。疾走の2ビート部が現れると、フロアも合わせてハネる。続くスリリングなイントロに歌謡曲的なメロディ、スライドを活かしたベースが特徴的な「紫紺ノイズ」では、土着的なビートに歌謡メロという必殺技に多くの人が飛びつく。ノンストップでユウのギターカッティングイントロから「ヨスガ」にインすると、会場もより熱狂度を上げ、呼応も力強くなっていく。やはり彼らの魅力は、安定した演奏とパンキッシュさを使い分けるリズム隊と、ユウ、坂本の2本のギターによるアンサンブルやパラレルさだったりする。例えばユウが的確でダイナミックなギターカッティングを生めば、坂本がその上を自由に泳ぎ回り、まるでフリーハンドで絵を描くように自在に色彩をまき散らす。そして、そこに乗る、ユウ独特の歌メロディ。これはかなりのオリジナリティだし、このバンドにしか出しえない音楽性のように思う。続く「連鎖」も同じような印象を受けた。同曲ではギターアンサンブルを効かせたと思ったら、サビで現れる上昇感や解放感が会場を景色の良いところに誘い、続く「新月」では、対照的にその2本のギターが鈍い光を放ち、そこに乗る歌声はあくまでも艶やかだったりした。そう、これらの融合やミックスこそ、チリヌルヲワカの真骨頂と言えよう。

 ライヴも後半に入ると場内の温度もさらに上がり出す。続いては「タルト」。この曲では特に各人のプレイヤビリティを堪能させてくれた。変則ワルツとでも称せそうな同曲に会場も踊り浸る。続いては、スカの軽快さとロックの暴発性を兼ね備えた「シーホース」。よりフロアからエネルギーが固まりとなってステージ目がけ飛んでくる。ドライヴ感と軽快さの同居に会場もライドオン。合わせて場内の気温もグングン上昇していく。

「ヒトダカラ」では、ツインギターによるダウンカッティングが疾走とドライブ感を育んでいく。ラストに向け会場ごとガーッと連れ出すように走り出す快感がたまらない。そして、本編ラストは「ホワイトホール」が締めた。2ビートが会場をグイグイと締め上げていき、ラストのドラミングが同曲に内包されているお祭りの土着さを引き出していく。ラストは坂本が自らのギターを会場のお客さんの大海原に泳がせてステージを降りる。

 それでも「ヲワカ」コールは鳴りやまない。その声に応えるようにアンコールは1曲。人気曲「カスガイ」が満員のフロアに放たれる。呼応する者、コブシを上げる者、一緒に歌う者。みんなが思い思いに楽しんでいる。”凄くチリヌルヲワカっぽいスタイルだなぁ…”なんて思いながら、エンディングの大団円に浸っている自分が居た。

「この企画は、どんどん続け、かっこいいバンドと今後もやっていきたい。これからもお楽しみに」とはラストのユウの言葉。

 これからも、この「ヲワカとダレカ」は、かっこいい、そして濃いバンドたちとチリヌルヲワカとの一騎打ちを見せてくれることだろう。オリジナリティと稀有な音楽性をぶつけあったかのようなこの日のライヴを振り返り、”次はどのバンドとの激突がいいだろう?”。そんなこと考え、ニヤニヤしている自分と出会った。

【取材・文 池田スカオ和宏】
*このライブレポートは、4月19日に行われたものです。

tag一覧 ライブ チリヌルヲワカ tricot バンド

リリース情報

アナログ

アナログ

2013年04月20日

ヤマミチレコード

1.作りかけの歌
2.イロメキ
3.手遊び
4.永久-とこしえ-
5.マシーン
6.虎と馬
7.連鎖

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リリース情報

99.974℃

99.974℃

2013年04月24日

BounDEE by SSNW

1. 99.974℃
2. 121210 BAKUSAI LIVE SET〜G.N.S〜ひと飲みで〜bitter〜飛べ〜初耳〜爆裂パニエさん

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セットリスト

チリヌルヲワカ Presentsツーマンイベント
「ヲワカとダレカ 〜tricot 編〜」
2013.04.19@新代田 FEVER


tricot
  1. G.N.S
  2. 夢見がちな少女、舞い上がる、空へ
  3. 消える
  4. おもてなし
  5. アナメイン
  6. 42℃
  7. おちゃんせんすぅす(未発表新曲)
  8. 99.974℃
  9. 爆裂パニエさん
  10. フレミング
  11. MATSURI

チリヌルヲワカ
  1. 虎と馬
  2. 天邪鬼
  3. 姫事
  4. マシーン
  5. 紫紺ノイズ
  6. ヨスガ
  7. 連鎖
  8. 新月
  9. タルト
  10. シーホース
  11. ヒトダカラ
  12. ホワイトホール
Encore
  1. カスガイ

お知らせ

■ライブ情報

チリヌルヲワカ「ヲワカ 春の蛇パンツアー(読み:はるのじゃぱんつあー)」
2013/05/18(土)仙台LIVE HOUSE enn 2nd
2013/05/24(金)岡山PEPPER LAND
2013/05/26(日)福岡DRUMSON
2013/06/01(土)大阪Music Club JANUS
2013/06/07(金)名古屋APOLLO THEATER
2013/06/08(土)神戸太陽と虎
2013/06/15(土)渋谷CLUBQUATTRO

「チリヌルヲワカ・homme 2MAN LIVE!!in 松江」
2013/06/02(日)松江AZTiC canova

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。


tricot 「お友達と行く!沸騰ツアー2013 〜梅雨〜」
2013/05/22(水)千葉LOOK
2013/05/24(金)金沢vanvan V4
2013/05/25(土)長野LIVE HOUSE J
2013/05/26(日)新潟CLUB RIVERST
2013/06/01(土)札幌COLONY
2013/06/09(日)渋谷CLUB QUATTRO <ワンマン>
2013/06/15(土)盛岡Club Change
2013/06/16(日)仙台MA.CA.NA
2013/06/21(金)名古屋 CLUB UPSET
2013/06/22(土)広島ナミキジャンクション
2013/06/23(日)福岡VIVRE HALL
2013/06/29(土)高松DIME
2013/07/01(月)大阪JANUS <ワンマン>

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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