The BirthdayとMANNISH BOYSが組んだ対バンツアー「WEEKEND LOVERS’13」の最終日は、週明けなのに週末のように開放感たっぷりのパーティとなった。
　驚いたことに揃いのユニフォームを着たチバユウスケと斉藤和義による前説で幕を開け、オープニングアクトのHeavenstampが充分にフロアを暖めると、今度は中村達也と堀江博久がステージに現れ、中村が「楽しみ尽くすぜ、アホんだら！」と笑顔で言うと、The Birthdayを呼び込んだ。
　ご機嫌な様子でタンバリンを振りながら登場したチバがギターを掛け、弾き出したのは、お馴染み「涙がこぼれそう」のイントロ。”今さ、俺どこ？”とオーディエンスが歌い、チバが”WEEKEND LOVERS最終日！”と叫ぶと、フロアが揺れた。4月30日仙台RENSAを起点に、この日まで全国10カ所を回って高めてきた熱気が、ライヴの後半に演奏することが多いこの曲をオープニングにさせたのだろうか。続いて”パーティがまた始まる”と歌う「Buddy」に「２秒」、グルーヴィーな「カレンダーガール」と、がさついたチバの声が力強く届き、盛り上がらずにいられない曲を畳み掛けてくる。滑らかにギター・リフを弾くフジイケンジ、ぶっといベースで身体を揺らすヒライハルキ、そしてキレのいいビートで曲を支えるクハラカズキが、それぞれに光りながらチバと共に唯一無二のグルーヴを作り出す。一息入れても加速度は増すばかりで、ヘヴィなギターの絡みがドラマティックに曲を彩る「あの娘のスーツケース」、ソリッドなスピード感に圧倒される「SATURDAY NIGHT KILLER KISS」、「狂っちゃいないぜ」と一段とテンションを上げていった。何処まで突っ走るのかと思っていると、ミッド・テンポの「ALRIGHT」、驚いたことに”スペシャル・ゲスト、ホリヒロ！”と堀江を呼び込んだ「Red Eye」は、チバのブルース・ハープも加えたジャジーな演奏で、クールにソロを回していく。それでもフロアの熱気は上がったままなのだから、このバンドの演奏が持つエネルギーの大きさや強さに感服させられた。そして終盤はパンキッシュな「READY STEADY GO」でフロアが揺れ、アンコールに演奏することが多い「ローリン」でアンコール分も盛り上げると、”次はマ・マ・マ・マ・マニッシュ・ボーイズ！”と告げてThe Birthdayは笑顔でステージを去った。

　幕間に”ミヤジマンです”と現れたのはクハラカズユキ。”来年もやりたいです。twitterとかで呟いてください。次はマ・マ・マ・マ・マニッシュ・ボーイズ！”と言うとMANNISH BOYSの垂れ幕が降り、揃いのボーリングシャツ姿の斉藤和義と中村達也が登場。幕開けの「MANNISH BOYSのテーマ」から、歌とギターとドラムがダイナミックにぶつかりあい、限定シングル収録の「CRAZY NURSE」に「Mach Venus」と、パンキッシュなナンバーで盛り上げる。「Mach Venus」のエンディングで中村が、”Are You Happy?"と叫び、マイクを投げつけたのはハッピーな気持ちの高まりの現れだったのだろう。オーディエンスと共に”ウキキッキ♪”とサビを歌った「猿の惑星」に、エッジの効いた「Dark is easy」と続ける中で、”バースディだろうが何だろうが相手になるぞ！”と凄んだ後で”大ファンでーす”と中村が剽軽(ひょうきん)に言えば、斉藤も”チバを前説に呼んでやったぜ”と笑う。このツアーを二人も楽しんでいることが音から伝わり、フロアの熱気も上がってくると、二人の初共演曲となった斉藤の14作目のオリジナルアルバム『ARE YOU READY?』収録の「黒塗りのセダン」も披露。斉藤のソロとは全く違うオーディエンスの反応に斉藤は嬉しそうで、ギターも一段とダイナミックだ。そんな直球な演奏が二人のプレイを際立たせ、自由闊達に見える中村のドラムが歌と相性のいいことを改めて感じさせた。中盤のシングル曲「天使とサボテン」からは堀江がベースとキーボードで加わり、中村の骨っぽいポエトリー・リーディングが核になる「DIRTY BUNNY」やレゲエの「Oh Amy」など変化に富んだ展開に。そしてツアーの思い出を話した後で披露したのはThe Birthdayの「涙がこぼれそう」。サプライズに沸くオーディエンスと共に名古屋ライフを歌い込んだ「あいされたいやつらのひとりごと」を送り、３人ヴァージョンの「MANNISH BOYSのテーマ」で本編をしめた。アンコールは斉藤がウクレレを弾く「ざまみふぁそらしど」から、The Birthdayがライヴの登場で使う「16Candles」を歌い出すと怒濤の勢いでドラムやアンプがセットされ、The Birthdayが登場、「MANNISH BOYSのテーマ」から、このツアー中に書いたという” WEEKEND LOVERS”と歌い込む新曲を全員でセッションするという信じられない場面となった。この場でしか味わえない極上のサプライズ。その瞬間のために全力を傾ける。それがWEEKEND LOVERSなのだ。そもそもこのイベントは02年、中村達也が率いるLOSALIOSと、当時はTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのメンバーだったチバが照井利幸と組んだROSSOを中心に始めたイベントだった。当時のメモに「これは、予定調和のお祭り騒ぎや仕組まれた飛び入りでは、断じてない。率直なミュージシャンシップの発露。それを彼等は楽しんでいる」と私は書いている。そのスピリットは、今回も全く変わっていなかった。

【取材・文　今井智子】