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今年産声をあげたロックフェスティバル「METROCK2013」初日をレポート!

METROCK2013 | 2013.06.07

 今年産声をあげたロックフェスティバル「TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL」=通称:METROCKが、5月25、26日に新木場・若洲公園にて開催された。
 両日共にチケットが完全ソールドアウト(!)と、大盛況だったMETROCK2013。このレポートでは、初日5月25日、メインステージである「WINDMILL FIELD」の模様をメインにお伝えします。

 好天に恵まれたMEROCK2013。記念すべきトップバッターは、日本武道館を制圧したばかりのオオカミ集団・MAN WITH A MISSION。
「METROCK、今年ガ初メテ。一発目ガ我々──要スルニ、我々デ始マルトイウコトデス! 用意ハ出来テンノカ、コノヤロー!!」
興奮の雄叫びを上げ、沸き上がるオーディエンス達は、初っ端からモッシュ、モッシュ、ひたすらモッシュ!! そのはじけ具合からも、オオカミ達の愛されっぷりがまじまじと伝わってきた。「Get Off of My Way」ではロックキッズはもちろん、ステージを見に来ていたバドガール(ちなみに、彼らは次回作でBudweiserとコラボします)から、お父さんと一緒に来ていた小さい女の子まで会場全体を飛び跳ねさせ、NIRVANA「Smells Like Teen Spirits」のカバーでは、フィールドに巨大なサークルが出現。ラストは「FLY AGAIN」で、両手を右へ左へ空高く上げ、踊り狂ってフィニッシュ! とんでもない盛り上がりを見せ、METROCK2013は最高のスタートを切った。

 次に登場したのは、こちらも老若男女に愛されまくりの原宿ガール・きゃりーぱみゅぱみゅ。ワールドツアーを大盛況で終了させた彼女は、きゃりーキッズ(=キッズダンサーのこと)達がダンスをしているところに、“イエーイ!”と元気よく登場し、CMでも大量オンエア中の最新シングル「インベーダーインベーダー」からスタートさせた。それにしても、彼女の楽曲特有のカオスなポップ感は、フェスのムードによく映える。本人は「全員強制参加型」ということで、曲前に振り付け講座をしていたのだが、たとえ振り付けを知らずとも自然と身体が動いてしまうぐらいアッパーだ。僕が見ていた後ろでも、あからさまに違うバンドを見に来たロックキッズ達が、きゃりーのダンスを真似しながら「(動きが)速ぇー!」と楽しそうに踊っていた。「にんじゃりばんばん」や「ファッションモンスター」など、これでもかとヒットチューンを連発し、オーディエンスの興奮をさらに更新していった。

 強い日差しを雲が遮り始めた午後3時、Dragon Ashが登場。ベーシストIKUZONEの急逝により6人で走り始めた彼らは、サポートベーシストにKenKen(RIZE)を迎えステージに立った。勇ましいファンファーレの後、“飛び跳ねろ!”というKjの第一声から、「Run to the Sun」でライブをスタート。続く「Trigger」では“葬式じゃねぇんだからよ!”と煽り、「Revolator」へと繋ぐ。実にストロングスタイル。彼らのスタイルであるミクスチャーロックが持つ圧倒的爆発力で、オーディエンスの熱をグングンと上げていく。そして、IKUZONEのラストレコーディング作となった「Walk with Dreams」へ。穏やかな笑顔を讃えて歌うKjと、熱の籠ったプレイをするメンバー達だったが、曲が終わりにさしかかった頃、雲間から太陽が顔をのぞかせた。歌い終えた後、“晴れた!”とKjも空を指差す。そこから彼らが前へ進む決意や己の存在証明を刻んだ最新シングル「Here I Am」へ。
Kj「お前らが聴きたいからやってんじゃねぇ。俺が聴かせてぇからやってんだよ!」
 この日、Kjは昨年ボーカルが亡くなったPay Money To My Painのタンクトップを着てステージに立っていた。仲間達と共にこれからも己の道を歩んでいくという強い意志が現われたステージ、そしてあまりにもドラマチックだったこの展開は、「伝説のアクト」と言ってもいいだろう。心が震えずにはいられなかった。

 さて、「WINDMILL FIELD」はここでちょうど折り返し地点。ちょっと休憩を挟みつつ、METROCKの会場について説明しよう。まず、会場を説明するにあたって、頭の中で横長の長方形をイメージしてもらって、それをざっくりと五等分してください。その一番左端にあるのが「SEASIDE PARK」。海沿いの木々に囲まれた空間で、25日にはThe Flickers、tacica、avengers in sci-fi、MANNISH BOYS、浅井健一が出演。熱狂的アクトを繰り広げていた。続いて左から2番目が物販コーナー。その付近ではパフォーマー達が演技をしていて、多くの人達が足を止め、拍手を送る光景も。そして協賛ブースがあり、その隣──頭の四角で言うと真ん中の辺りにあるのが「NEW BEAT SQUARE」。この日はKNOCK OUT MONKEY、Hello Sleepwalkers、CREAM、KANA-BOON、cinema staffの5組が出演。中でもKANA-BOONは入場規制がかかる盛況ぶりで、隣にあるフードコートで休憩している人達も、音漏れに耳を傾け、身体を揺らしていたのが印象的だった。そして一番右端にあるのが、今回レポートをしている「WINDMILL FIELD」。このネーミングは、ステージの後ろ側にそびえ立っている巨大な風車からきていて、この風車が発電した電気で広場の街灯の電気をまかなったり、電力会社にも売電しているとのこと。近くで観るとその大きさにただただ圧倒!かなりインパクトだった。といったわけで以上、会場の全体図でした。

 それでは引き続き「WINDMILL FIELD」の模様へ。4番目に出演したのはthe telephones。登場するなり岡本伸明(Key)がハイテンションでオーディエンスを煽り、「今から40分、テレフォンズの音楽に身を委ねようぜ!」という石毛 輝(Vo.&Gt.)の絶叫からライヴがスタート。「I Hate DISCOOOOOOO!!!」、そして「sick rocks」と、ど頭からテンション全開でぶっちぎっていく。
石毛「さいたま県北浦和から皆さんをディスコの向こうへ連れて行くためにやってきました! みんな自分を解放して踊ろうぜ!」
岡本「ひとつだけ言おう!今日の主役はみんなだよ! みんなで未来を作るんだぜ!」
ステージ上では岡本が踊り狂いながら右へ左へと全力で走り回り、石毛は首ブリッジをしながらギターを弾き倒し、オーディエンスと灼熱のコール&レスポンスを繰り返す。ラストナンバーは最新アルバムに収録されている「Odoru ?朝が来ても?」。地面を叩きまくったり、肩を組んで輪になったり、オーディエンス達が思い思いの楽しみ方をすることで生まれた巨大なエネルギーが、なんともハッピーで熱狂的な空間を作り上げていた。そんなオーディエンス達に何度も感謝を告げ、4人は満足そうに颯爽とステージを去って行った。

 爆音のSEが流れるなり、前へとダッシュし始めたオーディエンス多数。次の出番は9mm Parabellum Bulletだ。菅原卓郎(Vo.&Gt.)は、何度か手で煽った後、深々と紳士的に一礼。メンバー全員が定位置についた次の瞬間、圧倒的な轟音が一気に放たれる。「Mr.Brainbuster」を経て、真っ赤なライトが4人を映し出す中「Vampiregirl」へ。陽が暮れかけ、気温が少しずつ下がり始めてきた会場で、獣のように暴れ狂い、咆哮し続ける。
菅原「ぐるぐる回ってる人達がいるんだけど、それは後ろの風車にまかせてさ、まっすぐ俺達に向かってこいよ! お前達の答えと俺達の答えをぶつけ合おうぜ!」と披露されたのは、最新シングルの「Answer And Answer」。一撃必殺のギターフレーズと中毒必至なメロディーでオーディエンスに襲いかかる。また、中盤ではミディアムな「カモメ」を披露したのだが、バックの巨大風車が楽曲の持つ寂寥感を加速させていた。そこからは“瞬き禁止で行くからな!”と、再びキラーチューンを連続投入。「新しい光」では大合唱が巻き起こり、ラストに超高速で「Punishment」を叩き付け、大音量のフィードバックノイズを残し、ステージを降りた。

 METROCK2013、「WINDMILL FIELD」初日のヘッドライナーはサカナクション。先日、幕張メッセで超巨大祝祭空間を作り上げた彼らを、オーディエンス達はひときわ大きい歓声で迎えた。ライブは「INORI」から。横一列に並んでラップトップPCを駆り、グングンと温度を高め、「アイデンティティ」で大合唱を巻き起こす。そこから流れ込んだ「ルーキー」では、大量のレーザー光線が照射され、壮大な演出にオーディエンス達は感嘆の声を上げていた。更にスケールを増す演出は「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」のリミックスバージョンでピークへ。ステージからレーザーを放つだけではなく、後ろの風車や会場全体に当てて、実に幻想的な空間を作り出してみせた。野外で音を浴びる解放感と壮大な演出が累乗されて、沸き上がる恍惚がとめどなく膨らんでいく。そこから「アルクアラウンド」「Aoi」、そして“みんなまだまだ踊れる?”と「夜の踊り子」へ。この日最大の熱狂をもって、本編が終了した。
 アンコールで再び登場した5人は、「音楽の名の下にこんなにたくさんの人が集まるのは希望があると思う。最後に一曲やらせてください」と山口一郎が話した後、「ナイトフィッシングイズグッド」へ。暖かく力強いバンドサウンドとシンフォニックなコーラスワークが、音楽を鳴らすこと、体感することの喜びを讃えるような、そして音楽シーンの未来を明るく照らすような感動的な余韻を残し、初日の全アクトが終了した。

 尚、METROCK2013は、2日目にandrop、OKAMOTO’S、きのこ帝国、Cure Rubbish、くるり、サンボマスター、STOROBOY、SEKAI NO OWARI、電気グルーヴ、PUFFY、Perfume、FLOWER FLOWER、FLiP、BABYMETAL、WHITE ASH、UNISON SQUARE GARDENが出演。両日共に人気・実力・将来性──様々な面でシーンの注目を集める出演者が集結したイベントだった。大成功の初年度を元に、さらに飛躍するであろう次回開催を楽しみにしたい。

【取材・文:山口哲生】

【撮影:cMetrock 2013 / Photo by Nobuyuki Kobayashi(Man With A Mission)】

セットリスト

TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL
2013.5.25-26@新木場・若洲公園

出演ラインナップ
5.25
  • 【WINDMILL FIELD】
  • MAN WITH A MISSION
  • きゃりーぱみゅぱみゅ
  • Dragon Ash
  • the telephones
  • 9mm Parabellum Bullet
  • サカナクション

  • 【SEASIDE PARK】
  • The Flickers
  • tacica
  • avengers in sci-fi
  • MANNISH BOYS
  • 浅井健一

  • 【NEW BEAT SQUARE】
  • KNOCK OUT MONKEY
  • Hello Sleepwalkers
  • CREAM
  • KANA-BOON
  • cinema staff

  • 5.26
  • 【WINDMILL FIELD】
  • サンボマスター
  • UNISON SQUARE GARDEN
  • Perfume
  • PUFFY
  • SEKAI NO OWARI
  • くるり

  • 【SEASIDE PARK】
  • OKAMOTO’S
  • FLOWER FLOWER
  • WHITE ASH
  • 電気グルーヴ
  • androp

  • 【NEW BEAT SQUARE】
  • FLiP
  • Cure Rubbish
  • STOROBOY
  • BABYMETAL
  • きのこ帝国

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