心地いいハーモニーと幸福なセッションが終始会場を満悦させた、第一回「待ち人のフェイバリット」
待ち人のフェイバリット | 2013.06.17
雨の予報は見事にハズれ、快晴となった日比谷野外音楽堂。都会の片隅で、待ち人が「最高の待ち人」に出会い、心地いいハーモニーと幸福なセッションを楽しむイベント「待ち人のフェイバリット」が開催された。
トップバッターは3ピースのロックバンド、忘れらんねえよ。「自分たちもビックリなんスけど!俺らゲスト(待ち人)来ないです!イベントの根幹を揺るがしかねない事態になってますけど!俺らは!俺らは!あんたらを待ってたんだ!」ボーカル&ギター・柴田の豪快な開会宣言(!?)でスタートし、最新シングル「僕らはパンクロックで生きていくんだ」、心の底からの叫びを響かせた「この高鳴りをなんと呼ぶ」など全4曲を披露。全身全霊、全力疾走のパフォーマンスで客席を沸かせた。
続いては、右手を高く掲げながら「待ち人のフェイバリットへようこそー!」と現れた長澤知之。アコギ1本と歌だけで身震いするほどの存在感を放った「いつものとこで待ってるわ」、その後キーボードの山本健太を呼び込み、「会いに行くよ」のイントロではandymoriの小山田壮平が招かれた。この「会いに行くよ」と5曲目に披露された「北極大陸」は長澤と小山田による共作で、もちろん未発表曲。2人には福岡県出身&29歳という共通点があるのだが、声もギターも放たれる空気感も、絶妙な距離感を保ちながら、あたたかく共存している感じがすごく伝わってくる。「MEDAMAYAKI」でのやんちゃっぷりにほっこりしたり、2人で歌う「投げKISSをあげるよ」(andymori)の新鮮さにハッとしたり、あっという間の30分。堅苦しさなんて微塵もない、まさに息の合った2人だからこそ生み出せる音と心のハーモニーで会場を魅了していた。待ち人2人を送り出した長澤。最後は前夜に歌詞を書き終えたばかりだという新曲「Goodbye Hello」を弾き語りし、惜しみない拍手に包まれながらステージを後にした。
少し肌寒くなってきた時間帯。勢いよくステージに飛び出してきて爆音を鳴らし始めたのはOKAMOTO’Sだ。文句ナシのロックンロール・ナンバー「Sing A Song Together」で会場を揺さぶり、「みんな、ひとつになってもいいかい!?ひとつになろうぜ!」とアツく呼びかけた「ラブソング」などまずは3曲を。そして1人目の待ち人・いまみちともたかを呼び込むと、より一層のハイテンションで「マジメになったら涙が出るぜ」を披露した。”スーパー・ギタリスト”との共演に、メンバーの表情は子供みたいにキラキラしている。そしていよいよ杏子も登場!会場も総立ちになっての盛り上がりの中、6人で作り上げたBARBEE BOYSの「タイムリミット」はこのバンドのオリジナルと言っても過言ではないくらいの仕上がりだ。続いてこのイベントのためにレコーディングも行なった「あなたにアディクション」をライブ初披露。杏子とオカモトショウの熱っぽいボーカルにいまみちのギターが絡む疾走感たっぷりのナンバーで、この曲でも6人の呼吸は抜群だ。ラストの「マイティウーマン」(BARBEE BOYS)まで最高のロックをぶっ放し続けたこのバンド感。イベントが終わってもぜひ続けてほしい!そう強く思わされるようなステージだった。
いよいよ日も暮れ、待ち合わせも最後の1組を残すのみ。大きな拍手と歓声に迎えられたのは秦 基博と、現在行なわれている自身のツアーを共にしているバンドのメンバーだ。爽やかな「グッバイ・アイザック」でスタートし、「ひと夏の経験」でフジファブリックの山内総一郎を呼び込む。レコーディングでもゲストギタリストとして参加していた曲だけに、嬉しいコラボレーションが実現した。続いて「Small World」(フジファブリック)を2人で歌い、「猿みたいにキスをする」の中盤、舞台袖から現れたのはなんと猿に扮したKAN!クールにラップをキメながらあまりにもさり気なく現れた第二の待ち人登場。トークを挟みながら、「よければ一緒に」をステージ&客席の全員で歌い、世代を超えて愛される名曲「愛は勝つ」でさらにみんなの心はひとつになった。2人の待ち人を送り出した後、秦は新曲「言ノ葉」をじっくりと歌い上げ、本編を美しく締めくくった。
アンコールの拍手を受け、ステージには再び秦 基博の姿が。「考えてみれば、7年ぐらい待ってるかな。ようやく彼と一緒に出来る日が来たなと。この男を呼びたいと思います。長澤知之!」同じ事務所の同期でもある長澤と2人、向き合って深々とお辞儀をしてちょっと照れ笑いな感じがキュンとくる(笑)。そんな2人が選んだのは、忌野清志郎と井上陽水の名曲「帰れない二人」。秦の「…まぁ、帰るんだけどね(笑)」というナイスなつぶやきで会場の空気がフッと緩むと、2人のギターが優しく鳴り始めた。全く違う個性を持つ2人の声が、日比谷の夜にスルリと溶けていく。「待ち人のフェイバリット」というイベントのラストにふさわしすぎる選曲、そして見事なコラボレーションに、会場からは大きな拍手が寄せられていた。
【取材・文 山田邦子】
【撮影 笹原清明】
セットリスト
待ち人のフェイバリット
〜on the street corner〜
2013.6.2 @ 日比谷野外音楽堂
忘れらんねえよ
- バンドワゴン(未発表曲)
- 僕らパンクロックで生きていくんだ
- この高鳴りをなんと呼ぶ
- CからはじまるABC
長澤知之 meets 小山田壮平
Band Key:山本健太
- いつものとこで待ってるわ
- 風を待つカーテン
- 会いに行くよ(未発表曲/長澤・小山田による共作)
- MEDAMAYAKI
- 北極大陸(未発表曲/長澤・小山田による共作)
- 投げKISSをあげるよ(オリジナル:andymori)
- Goodbye Hello(新曲)
OKAMOTO’S meets 杏子、いまみちともたか
- Sing A Song Together
- ラブソング
- Beek
- マジメになったら涙が出るぜ
- タイムリミット(オリジナル:BARBEE BOYS)
- あなたにアディクション(杏子新曲)
- マイティウーマン(オリジナル:BARBEE BOYS)
秦 基博 meets KAN、山内総一郎(フジファブリック)
Band Gt:久保田光太郎、Dr:河村“カースケ”智康、Ba:鹿島達也、Key:皆川真人
- グッバイ・アイザック
- ひとなつの経験
- Small World(オリジナル:フジファブリック)
- 猿みたいにキスをする
- よければ一緒に(オリジナル:KAN)
- 愛は勝つ(オリジナル:KAN)
- 言ノ葉
Encore
- 帰れない二人 (オリジナル:井上陽水) 秦 基博、長澤知之
お知らせ
Sukimaswitch in Augusta Camp 2013
〜Sukimaswitch 10th Anniversary〜
2013/07/27(土)横浜赤レンガパーク 野外特設ステージ
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。