3年目のUKFCは怒涛の3Days開催!その最終日の模様をレポート
UKFC on the Road | 2013.09.03
素晴らしいバンドを発掘し続ける。これがどれだけ難しいことか、レーベル業に身を置かない僕でも少しは想像できる。「最近、いいバンドいませんか?」と聞かれ、言葉に窮することなんて日常茶飯事だから。しかも「素晴らしいバンド」の言葉の前に、「世間を騒がせる」を付加させるなら、さらにハードルはグッと上がる。そして、またBIGMAMAや[Champagne]のデビュー作に触れたときのような衝撃の新人バンドに出会えた。恐るべし、インディーズ・レーベル「UKプロジェクト」。
同レーベル主催の「UKFC one the Road 2013」は3回目を迎え、今年は東京3デイズという日程で開催された。その内容は「FRONTIER STAGE」と「FUTURE STAGE」の2ステージ制を敷き、それ以外にもロビーにDJフロアが設けられ、ますますフェスっぽい作りになっていた。さらに昨年と大きく違うのは、2ステージが屋外と屋内で分断されていたのに対し、今年は屋内に2ステージが集約されていた。ほぼ移動せずに観戦できる。これは嬉しい改良点だ。
14時前にレーベル社長・遠藤氏の挨拶から始まり、チケットはすぐにソールド・アウトしたこと、今日のライヴはユーストで生放送されること、また、メインの「FRONTIER STAGE」は1日目と2日目は6アクトだったが、今日は5アクトのため各バンド5分ずつ増える、ゆえに1曲は多く聴ける、POLYSICSは2曲聴けると説明されると、観客から笑いが起きた。最後にタイムテーブルに時間の被りのないため、全バンド観ることが物理的に可能!と声高に宣言され、会場もドッと沸いた。
まず「FRONTIER STAGE」のトップを切ったのは[Champagne]だ。ピース・サインを掲げて川上洋平(Vo・G)が登場し、メンバー4人のスタンバイが整うと、「Kill Me If You Can」で始まった。初っ端から満杯のフロアはジャンプ大会と化し、2階席が揺れるほどの振動を体に感じた。スケール感のある「stimulator」、踊り狂え!と煽った後にプレイした「Cat2」の途中ではMETALLICAの「Master of Puppets」のインストを挟み、興奮のツボを押すセンスにも脱帽した。「このステージでは新人バンドなので、暴れて帰ります」と川上は述べていたが、切れ味鋭い強力なアンサンブル、雄大なメロディ・ラインを会場に隅々まで響き渡らせ、切り込み隊長としての役割をしっかり果たした。
「トイス!」のハヤシ(Vo・G)の挨拶で幕を開けたPOLYSICSは、3ピースの鍛え上げられた骨格からカラフルでダンサブルなロック・チューンを畳みかける。「3日間来た人いる? UKプロジェクトも凄い振れ幅ですよね」と語ると、中盤には秋に出る予定の新作ミニ・アルバム『MEGA OVER DRIVE』から3曲続けて演奏する。「I My Me Mine」「Baby BIAS」は過去曲をリアレンジしたセルフ・カヴァーで、遊び心に溢れたポップ性が際立っていた。特に前者はハヤシとフミ(B・Vo)の掛け合いが効果的で、観客の騒ぎっぷりも激しかった。それからまっさらの新曲になる表題曲をやり、ファンキーなノリ抜群の佳曲だった。
独自の美学を貫くTHE NOVEMBERSはモッシュ、ダイヴが渦巻くパフォーマンスとはある意味対極に位置している。だからこそ、フェス形式のイベントではより一層彼らの輝きが増すように映る。小林祐介(Vo・G)のリリカルな歌心と宇宙まで届きそうな壮大な演奏が聴く者を異世界に誘う。時に激しくシャウトを決め、エッジのある演奏で扇情的なエモーションを叩きつける様にもゾクゾクさせられた。個人的なハイライトはラスト2曲「彼岸で散る青」「GIFT」の流れで、メランコリーな美旋律に完全に酔いしれた。
開始早々、新木場コーストの天井に吊るされた大きなミラーボールが煌々と回る。その光景がもっとも似合うのは、the telephones以外にいない。2曲目で岡本伸明(Synthsizer)がフロアに飛び込み、フルテンションで攻めまくるパーティー感は他の追随を許さない。「D.E.N.W.A」のイントロを石毛輝(Vo・G・Synthsizer)を間違え、仕切り直す場面もあったが、それも熱気に油を注ぐご愛嬌に変えていた。その後、今秋に出るニュー・シングルからこの日初めてプレイするという新曲「Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!」を披露する。ミドル・テンポの曲調だが、耳を引きつけるキャッチーさは抜きん出ていた。終始、ディスコの向こう側へ突き抜けるアグレッシヴなパフォーマンスを展開し、観客の体力を奪い去った。
タイムテーブルから15分押した20時半、遂に最終3日目のトリを飾るBIGMAMAの出番が来た。1曲目「荒狂曲“シンセカイ”」から肩車された観客が40、50人ぐらい現出する景色が広がり、会場全体から待ってました!という活気が伝わってくる。曲中にも積極的にコール&レスポンスで一体感を高め、相思相愛状態の凄まじいエネルギーが渦巻く。中盤には原点回帰的なニュー・シングル「alongside」表題曲を演奏し、誰しもが共感できて歌いたくなるライブでの優れた即効性を遺憾なく発揮していた。一日目にリハで海北(Vo・G/LOST IN TIME)が歌ってくれた曲をやると金井が説明した後、「かくれんぼ」をプレイし、これには観客は大喜びだった。出演日は違えど、こうした関係性を意識した選曲もこのイベントの面白さだ。ロマンチックな美メロを振りまく「君想う、故に我在り」で本編を締め括り、アンコールの「until the blouse is buttoned up」ではthe telephones、[Champagne]、一日目に出演したTOTALFATらの仲間がタオルを持ってステージに飛び入りし、賑々しいムードで盛大に幕を閉じた。
この日の「FUTURE STAGE」には、うみのて、asobius、KETTLES、静カニ潜ム日々、THE★米騒動の5バンドがそれぞれ個性的なライヴで注目を集めていた。中でもひときわ異彩を放っていたのがasobius(アソビウス)だ。今年5月にデビュー・ミニ『Rainbow』を出したばかりの新人だが、オーケストラの指揮者よろしく指揮棒(!)を持ち、フレディー・マーキュリー、あるいは男性版ケイト・ブッシュのような澄んだ歌声を聴かせ、度肝を抜かれた。また世間を騒がせそうな逸材である。
最後にPOLYSICSのハヤシの言葉を借りるが、今日観ただけでも「凄い振れ幅ですよね」と言いたくなるバンドたちが一堂に会し、全体的にさらにフェス色を強めたイベントになった。BIGMAMAの金井が“鬼が笑う”ことも恐れず、「来年も会いましょう!」と宣言していたので、その言葉を信じることにしよう。期待してます、来年も!
ライブ イベント UKFC on the Road BIGMAMA [Champagne] POLYSICS THE NOVEMBERS the telephones
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セットリスト
UKFC on the Road 2013
2013.08.22@新木場STUDIO COAST
★FRONTIER STAGE★
[Champagne]
- Kill Me If You Can
- Waitress, Waitress!
- Stimulator
- Cat 2
- city
- Kick&Spin
- Starrrrrrr
POLYSICS
- Let’s ダバダバ
- シーラカンス イズ アンドロイド
- Young OH! OH!
- Everybody Say No
- I My Me Mine
- Baby BIAS
- MEGA OVER DRIVE
- ムチとホース
- Shout Aloud!
- Lucky Star
- BUGGIE TECHINICA
THE NOVEMBERS
- Dream of Venus
- children
- Fiedel
- dogma
- primal
- 彼岸で散る青
- GIFT
the telephones
- It’s Alright To Dance(Yes!!!Happy Monday!!!)
- Urban Disco
- D.E.N.W.A
- Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!
- Pa Pa Pa La Pa
- I Hate DISCOOOOOOO!!!
- Monkey Discooooooo
- Keep Your DISCO!!!
BIGMAMA
- 荒狂曲"シンセカイ"
- #DIV/0!
- Mr. & Mrs. Balloon
- 春は風のように
- alongsid
- かくれんぼ
- 秘密
- 君想う、故に我在り
- until the blouse is buttoned up
★FUTURE STAGE★
うみのて
- UNKNOWN IDIOT
- WORDS KILL PEOPLE(COTODAMA THE KILLER)
- もはや平和ではない
- 東京駅
- 正常異常
asobius
- made of my friends
- antheme
- starlight
- I’m in the love
- all the things so far
KETTLES
- トリッパー
- 吹き飛ばしたら
- 二度とない今を
- エレファントストーン
- 約束は覚えてる
- 夢の中まで
- 今日も過ぎてく
静カニ潜ム日々
- break the wall
- old dialogue
- carry on
- 新曲
- idea
- step forward
THE★米騒動
- 女の娘
- S.S.A.
- Hys
- 家政婦はなにも見ていない
- ブラック・ダンス・ホール