FLOW、シャカラビ、B-DASH、FUNKIST、KNOCK OUT MONKEYが由比ヶ浜に!
SEACRETBOX BY OTODAMA | 2013.09.17
今や夏の音楽風物詩の一つでもある、逗子のライヴハウス「音霊 OTODAMA SEA STUDIO」。その姉妹店「SEACRET BOX BY OTODAMA with キリン カリブーン」が、この夏、鎌倉由比ヶ浜海岸にオープンした。
こちらの特徴は、逗子に比べ、より大きな音が出せるところ。“いつものスタイルとは趣きを変えて…”なんてニードレス。出演アーティストの普段の形態を、そのまま湘南海岸の大きな海の家へテレポートさせて楽しめる趣向は、大きな魅力と言えよう。
かくいう私が行ったこの日も、パンキッシュでノリと一体感を出すには定評のある5つのロックバンドが集まり、それぞれの手腕や方法論で会場を終始一つにし、楽しませてくれた。
この日は『SUMMER FEVER Supported by EMTG MUSIC』と題されているとおり、EMTGのコラボレーション。SHAKALABBITS、FUNKIST、FLOW、B-DASH、KNOCK OUT MONKEYが共演した。
鎌倉の由比ヶ浜と言えば、サンタモニカやロングビーチといったアメリカ西海岸的なイメージの土地。ある意味、パンク隆盛のかの地のように、今回の出演バンドたちの放つ音楽たちも、この場所に映えそうだ。
一番手は神戸で結成され、今秋メジャーデビューの4人組、KNOCK OUT MONKEYだった。この日、出演アーティスト中、最も多彩な表情を見せてくれた彼ら。ボーカル&ギターのw-shunの「音霊、あそぼうぜ?!!」の一言から、いきなり会場に“自由に楽しむ空気”が広がっていく。
疾走感溢れるメロディックパンクな「JET」から始まり、ベースの亜太のスラップを交えたビートルズ「HELP」のスカパンクカバーと、序盤から軽快なノリが炸裂。その「HELP」では、間にボブ・マーリーの「One Love」のフレーズを上手く挟み、印象づける。また、「はじめまして。サザンオールスターズです(笑)」と、和ませるMCを交え、彼らの初見者が多いにも関わらず、みるみるクラウドを掌握していく器量もさすがだ。肝心のライヴでも、レゲエパンクな「実りある日々」、メタリックなラウドロックナンバー「Scream & Shout」、ファンキーなグルーヴとサビでの疾走感の同居が気持ち良かった「HOPE」、ラテン/アフロポップで会場をハネさせた「Climber」と、6曲6種の表情の違うナンバーが会場を彩った。
年間100本以上のライヴを敢行している生粋のライヴバンド、FUNKISTが登場すると、より会場に情熱的な空気が漂い、連帯感が育まれ始める。この日、最大のバイタリティを発したのは彼らだった。躍動感や生命力に満ちた「Oracion」では、情熱的な楽曲に乗せられたボーカル染谷のメッセージたっぷりの歌がオーディエンスに<命>の大切さを気づかせ、「ペンギン」では、クラウドを交えた大合唱とタオルの大旋回が発生。力強くみんなが雄叫びを上げた。
会場の熱が冷めないように、MCをあえて短く切り上げ、再びライヴに入ると、各メンバーが汗を飛び散らせながら熱演する姿も眩しかったラテンビートの「ピースボール」、そしてMASAのドラムからオガチのパーカッションへとソロ回しで高揚感を高め合うと、ラストの「SUNRISE」では、会場中のジャンプが砂浜を揺らし、そのまま波を作ってしまうがごとくの狂騒を生んだ。中でも、骨太なレゲエビートに乗せて歌われたミディアムナンバー「Dance in the World」の《悲しみも喜びも全てをいつも分け合おう。もし世界中の人とそれが出来たなら》のリリックは、胸に残るものであった。
そこがビーチだろうが都市の地下だろうが、シチュエーションに関係なく、自分達らしいスタイルを貫き通したB-DASH。この日の彼らは新旧幅広い選曲で、随所に盛り上がりを生み出していった。大合唱が特徴的な「KIDS」に始まり、スカパンク?ラウド?疾走感?ドライヴ感と展開が目まぐるしかった「GO MY FRIENDS」。
「今日は自然のサウナみたいな感じで楽しんでます」と、異常な熱さになっている場内について笑顔で言及し、「このビーチは女の子が裸っぽくて目の保養になる」と自然体で語るボーカル&ギターのGONGON。ライヴ中盤では、先日7年ぶりに発売されたニューアルバムからの曲を連射。そのどれもがハードエッジながらも、どこかB-DASHらしいポップなエッセンスが見え隠れしており、長年の経験を積まなければ得られない<練り>と、自らの王道を変わらずに保持する姿勢を見せつける。
後半は盛り上がり必至とばかりに代表曲の連打。中でも激速2ビートとメロディアスな日本語で人気の高い「炎」での盛り上がりと、”やはりラストはこれ!!”とばかりに飛び出した初期の人気曲「Race Problem」は、この日最大のヒートアップを記録した。
ステージに葉が巻きついたマイクスタンドがセンターに設置される。続いてはSHAKALABBITSだ。この日、最も会場中の心を一つにしていたのは彼らであった。
スカダンスの花と高揚感と一体感を生み出した「Tope Con Giro」から入った彼ら。会場にOiコールを生んだ「THAT THING YOU DO!」では、オープニングでも魅せた、オーガスタスパブロ並みのハモンドさばきをUKIが披露。ラテンポップも交え、会場中を軽快に躍らせた「88 ROYAL SKA」等、比較的新し目のナンバーで会場をホットにさせる。とはいえ、やはりピークは後半の代表曲の連発で現れた。サビフレーズの歌唱が会場に託された「Pivot」、3年ぶりの披露となった「FLAPPER」では会場中が驚喜。ラストに放たれた「MONSTER TREE」では、ギターのTAKE-Cのアルペジオに乗せて、お客さんの大合唱が起こり、そこにバンドサウンドが加わり、連帯感が強まっていく。同曲ではサビはお客さんの大合唱任せ。一緒に楽曲を育み、完成させていく。この日最大の一体感が現れた瞬間であり、歌詞にある《そしてひとつになれればいい》が体現された名場面であった。
夏、ビーチ、集まった幅広いオーディエンス…。それらのニーズに全て応えるエンタテインメントを見せてくれたのは、トリのFLOWだった。全員がアロハを着て、夏ナンバーに特化したセットリストは、この日だけのスペシャル。また、初見さんも察しての数々の代表曲の披露は、数多のイベントやフェス等に出演してきた彼らの経験値からなる臨機応変なライヴ力を感じた。
インディーズ時代の代表的夏ナンバー「SUNSHINE60」からスタートした彼ら。軽快なスカポップで海へと誘ってくれた「海へ行こう」、そして直近シングルの「常夏エンドレス」では、<夏はまだまだ終わらず、これからも続いていくとでも宣言しているかのように響いた。また、「NUTS BANG!!」では、会場中にタオル大旋回が起こり、楽曲を追うごとに場内の熱気もグングン上がっていく。そして、「オラに元気玉をくれ!!」のボーカルKEIGOの喚声のあと放たれた「CHA-LA HEAD-CHA-LA」、会場/ステージ交えての大合唱を生んだ「GO!!!」が本編のラストを締めくくる。アンコールでは、この夏を振り返るように「ノスタルジア」が歌われ、全員が一体となって、ゆっくりと腕を振る感動的な光景は、集まった多くの人の胸に大切な想い出として刻まれたに違いない。
各々違った音楽性やメソッドで、この日集まった大勢のお客さんと忘れられない夏の想い出を共有した今回の5組。ライヴが全て終わり外に出ると、既に陽はとうに落ち、夏の終わりの郷愁的な雰囲気が、ひんやりとした外気に混じっていた。
ちょっと気が早いが、また来年も「あちー」なんて言いながら、汗を拭き拭き、爽快な気分で、この地でライヴを堪能したいな…。なんて思いながら帰路についたのだった。
【取材・文 池田スカオ和宏】
ライブ イベント FLOW SHAKALABBITS B-DASH SEACRETBOX BY OTODAMA 音霊 OTODAMA SEA STUDIO
セットリスト
SUMMER FEVER Supported by EMTG
2013.08.17@SEACRET BOX BY OTODAMA
KNOCK OUT MONKEY
- JET
- HELP
- 実りある日々
- Scream & Shout
- HOPE
- Climber
FUNKIST
- Oracion
- ペンギン
- Dance in the World
- ピースボール
- SUNRISE
B-DASH
- KIDS
- GO MY FRIENDS
- PEPPO
- Dumb Boys
- ヌカのやつ
- M-11
- ハーコー
- 炎
- Race Problem
SHAKALABBITS
- Tope con Giro
- THAT THING YOU DO!
- 88 ROYAL SKA
- Pivot
- FLAPPER
- MONSTER TREE
FLOW
- SUNSHINE60
- 海へ行こう
- 常夏エンドレス
- DAYS
- NUTS BANG!!
- CHA-LA HEAD-CHA-LA
- GO!!!
- ノスタルジア