10年目のFUZZY CONTROL!全ての人に手を差し伸べる問答無用の直球ロック
FUZZY CONTROL | 2013.10.18
「10年とかで浸ってる場合じゃないね、前に前に進んでいこうねって、ジョンジョン(JUON/Vo・G)とJOE(B・Cho)くんと最近は言ってたんだけど……ちょっと浸っちゃうねこれ。ヤバいね!」と、熱気あふれるフロアを見渡して感慨深げに話すSATOKO(Dr・Cho)。その想いに応えるように、Zepp Tokyoのフロアからさらに熱い歓声が湧き上がるーー2003年のシングル『SHINE ON』でのデビューから今年で10周年を迎えた3ピースの至宝、FUZZY CONTROL。9月4日に発売されたアルバム『ROCKS』を引っ提げて東京・名古屋・福岡・大阪の4都市を回る10周年アニバーサリー・ツアー「10th Anniversary party ~ROCKS~」の初日、Zepp Tokyo公演は、10年のキャリアを経た今だからこそよりいっそう熱く燃え盛るメンバー3人の闘争心が、最高にエモーショナルな形で結晶したロック・アクトだった。
ツアーは11月24日の大阪公演まで続くので、演奏曲目の紹介は最小限に留めさせていただくが、圧倒的なパワーに満ちた最新アルバム『ROCKS』の楽曲が、すでにオーディエンスにとって強烈なライブ・アンセムとなって、1曲ごとに歓喜と熱狂を巻き起こしていたのが印象的だった。アルバムのリリース前から、夏フェスなどでも『ROCKS』の楽曲を積極的に披露してきた3人。「このライブの前の日、10月5日までは『ROCKS』は未完成。今日、みんなの声が重なって、本当の意味での『ROCKS』の完成形をみんなで作り上げることができる」とJUONは話していたが、楽曲が世に出て「みんなのもの」になった今、ステージとフロアが一丸となって生まれる「完成形」のエネルギーはとてつもなく大きく、強い。
オルタナ/エモ/パンク/ミクスチャーなど幅広い音楽性を、超絶プレイで高らかに響かせてきたFUZZY CONTROL。同時に、ファジコンはそのバラエティ豊かな音楽性と、それを実現する高いプレイアビリティゆえに、逆にパンクやエモなど特定のシーンに属してその恩恵を受けることもなく、ほぼ孤軍奮闘に近い道程を10年間歩んできた。しかし、デビュー10周年を迎えた今、ファジコンは3人それぞれの持つ音楽的な武器もこだわりもすべて「ロック」の一点に向けて、ひとりでも多くの人とつながるために手を伸ばすことを決めた。そのダイレクトな訴求力が、彼らの演奏に途方もないダイナミズムを与えていた。JUONの奏でるブルージーなギター・フレーズが雄大なロックの風景を描き出していったインスト曲「ROCKS」。「Are you ready to ROCK? 手上げろ!」のJUONのシャウトとともに、衝動そのもののようなBPM260の疾走ビートと爆音へと突入した「The way you decide」。しなやかで性急なリズムと鮮烈なコーラス・ワークが観る者すべての情熱に火をつける「“wise”」……その音のひとつひとつが何より切実なコミュニケーションとして機能していた。
この日のフロアも、そんな『ROCKS』の熱血モードにハートを撃ち抜かれたと思しきパンク系Tシャツのキッズがフロア前方で熱く拳を掲げている一方で、軽快に踊り回りながらその爆音を全身で謳歌する女性ファンがいたり、JUON/JOE/SATOKOのプレイをフロアの隅から熱心に見つめるベテラン男性客がいたり……とさまざまな客層で構成されている。そんなオーディエンスの多彩なキャラクターも、ファジコンの音楽が実に多種多様な側面を持っていることをリアルに物語っている。そして、その誰もが、今まさに目の前で鳴らされている『ROCKS』の世界を限界まで楽しんでいることが、会場全体の熱気となって伝わってくる。
「みんなの熱いハートをすごく感じてます! 気を抜くと涙が出そうだから。気を抜かないようにしないといけないね!」と、汗だくの顔で満足げにフロアに語りかけていたJUON。「めちゃめちゃ精度を上げて、向上心MAXで、最高の音楽を、愛をこめてお届けしていこうと思ってるから。これからも応援……」と言ったところで言葉を止め、オフマイクの肉声で「よろしくお願いします!」と渾身の絶叫を放つJUONに、惜しみない拍手と歓声が降り注いだ。そして、アルバム『ROCKS』のリード曲「What are u waiting for?」。サビで晴れやかに炸裂する「what you’re waiting for!」の3声のコーラスと《強い願いは叶う 大声で泣いて授かったこの命叫ぶから》というパワフルなメッセージ、それを圧巻のパワーで咲き誇らせるアンサンブルが、観客の拳を高々と突き上げさせ、熱いシンガロングを生んでいった。
アンコールでは一転、「超楽しみにしてたのに、もうアンコールじゃん!」と言いつつSATOKOが上半身裸のJOEをいじったり、「ジョンジョンありがとう!」というSATOKOに「メンバーに『ありがとう』はやめようよ!」とJUONが感極まりそうになったり、10年間闘い続けた盟友同士ならではの和気藹々とした表情も見せていたFUZZY CONTROL。ここから3人の新しい物語が始まるーーそんな予感に満ちた、感動的なライブだった。ロックが好きな人なら、今のファジコンを体感しないともったいない、と素直に思える音空間が、ここには確かにあった。
【取材・文:高橋智樹】
リリース情報
お知らせ
10th Anniversary Party~ROCKS~
2013/11/04(月・祝)福岡DRUM Be-1
2013/11/24(日)梅田CLUB QUATTORO
静岡理工科大学 大学祭「SISTIVAL ’13」
2013/10/27(日)静岡理工科大学内 メインステージ
武蔵野美術芸術祭 2013
2013/10/28(月)武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。