RIP SLYME、一夜限りのコラボレート、スペシャルライヴ!!
RIP SLYME | 2013.12.18
2013年、10月からスタートしたRIP SLYMEの全国ツアー「DANCE FLOOR MASSIVE IV」。追加公演も含み、全18公演を行った本ツアー。そのセミファイナル・ライヴが、11月30日、Zepp DiverCityで行われた。
「DANCE FLOOR MASSIVE IV “DRIVE WITH MUSIC SPECIAL”」と銘打たれたこの日のライヴは、第43回東京モーターショー&お台場モーターフェスとコラボレーションした内容。本ツアーの中でも、一夜限りのスペシャルなメニューとなった。
ステージを覆った薄い紗幕。その紗幕に映し出されたアナログ時計。秒針が時を刻んでいく。時計が18時になった瞬間、会場が暗転した。耳には雨の音。目の前のスクリーンにも雨が降る。視覚の向こうから車が走ってくる。DJ Fumiyaがスピンする。うごめく客席。サウンドを跳ね返すような歓声が起こる。映像の視点が変わる。観客は運転席? ワイパーが視界をキープする。1曲目のイントロ。楽曲の特徴である水の音のような効果音が、雨音に溶けていく。クールでロマンチックなミディアム・チューン「ロングバケーション」でライヴは幕を上げた。「もうすぐ師走ですけど、真夏のように熱くなりますか!」という煽りからドラムンベースのリズムとフックの掛け声もアッパーな「HOTTER THAN JURY」へ。続く「I・N・G」では、まだ降りたままの紗幕と、ステージセットにもなっている全面LEDを使い、映像と5人のパフォーマンスをリンクさせた演出を見せた。ツアーも終盤とはいえ、5人のスピード感とドンピシャのタイミングで繰り出される映像のクオリティーに茫然。アイデアを具現化する際のこの半端ないこだわりには、いつも開いた口で笑ってしまうくらい。痛快だ。ヒットシングル「JOINT」。後半、SUパートの“STOP!”に合わせてメンバー全員が“ストップ”する。と同時に、ステージの紗幕が落とされた。ライトは逆光、5人はシルエット。この様子にどこかから「かっけー!」と声が飛ぶ。シルエット達の右手が、順番にちょいちょいと動き、観客を煽る。拍手喝采。やんややんやの大歓声。最後はSU。「こんちわー。今日僕ら、精一杯、ニコチンチンと出していくんで、皆さんも思いっきりケツ●ナ、見せて貰っていいですか?」というアドリブご挨拶をきっかけに、曲再開。フロアは大爆笑しながらも、DJ Fumiyaが出したトラックにダイヴした。
最初の長目MC。RYO-Zを中心に話は展開。PESが会話に加わるパターンも多いが、ILMARI、SU、DJ Fumiyaの3人は気の赴くまま、という状態。“3人放し飼い”という言葉が脳裏に浮かぶ。RYO-Zは東京モーターショーとのコラボライヴであること、だからオープニングに車の映像が出てきたのは今日が初めてだと言った後、さらにこの日のもうひとつのスペシャルを告げた。
それが“6.1chライヴ”。
スピーカーシステムを視聴者の側面や後方にも配置した5.1ch。そのサラウンド感は、映画館などで体験した方もいるだろう。音像と呼ばれることもある臨場感が売りだ。そのチャンネルが増える。つまり、5.1ch以上の臨場感=音像を体験できるということである。……というようなことを、RIP SLYMEはRYO-Zの説明を挟みながら、実演してみせた。DJ Fumiyaが放ったピストル音。バン、バン、バン! と四方八方から飛び出した音は、会場をぐるりと回るように反響していく。ざわつく観客。2階席にもスピーカーが設置されていたことに気がつき、2階席もざわざわ。メンバー達は「どう?」と言ったり「リハーサルの時、俺たちも実際聴いてみたんだけど、すごく回るよね」と言ったり。このMCの後、6.1chサラウンドを使い、この日だけセットリストに加わった「チェッカーフラッグ」など、“モーターショー=車”がイメージできる楽曲を数曲披露した。が、6.1Chが導入されたのは、このワンブロックのみ。この“やりすぎない感じ”こそRIP SLYMEというか。この潔さに彼らの大衆性とマニアック性のバランス感を感じたし、長い活動の中で、スタンスのブレを感じさせない理由だとも思った。
ライヴは中盤から後半へ。「超懐かしい!」とRYO-Zが叫んだ「楽園ベイベー」を筆頭に、最新シングルの「SLY」、「ブロウ」などのシングル曲。さらに「Good Times」などのライヴのキラーチューンを中心に添えた、まさに“ダンスフロア”な楽曲が並んだメニューに、観客のテンションもバースト。人の塊が、何度もバウンドするのが見えた。汗だくもお構いなしのピースフルな楽しさが、パワフルなエネルギーとなって充満していく。パーティーがひとつになっていく。蒸気があがるくらいに熱くなった会場。びしょ濡れの客席をクールダウンするように、RYO-Zの言葉が響いた。
「ダンスフロアで一塊になろう。みんなでひとつになっていこう」
本編最後は「One(Chiristmas Ver.)」。PESが、一言一言を丁寧に綴っていく。PESと一緒に口ずさむ観客。PESのアクションから、サビは大合唱になった。
アンコールも含み、この日のメニューは全23曲。次から次へと繰り出される、彼らのアイデアの豊富さには、この原稿を書きながら改めて感激。約2時間半のライヴは、最初から最後までアッと言う間だったし、ワクワクしっぱなしだった。
ライト、映像、5人のパフォーマンス。そこに音像(=サラウンド)が加わったエンターテインメント・ショウは、基盤は出来上がっていながらも、完成形は今だ見えない。だから彼らのショウは、いつもスリリングなのだろう。そしてだからこそRIP SLYMEは飽きないのだ。
2013年.シングル3枚、配信シングル1曲、自身主催の夏フェス開催、そして2年9か月ぶりのオリジナルアルバム『GOLDEN TIME』リリースと、フル回転でRIP SLYMEを体現してきた5人。そんな彼らが、来年には結成20周年を迎えると言う。
RIP SLYMEの2014年。ドキドキしながら待ちたい。
【取材・文:伊藤 亜希】
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リリース情報
お知らせ
unBORDE Xmas PARTY 2013
2012/12/23(月・祝)EX THEATER ROPPONGI
GOLDEN XMAS TIME LIVE
2013/12/24(火)・25(水)EX THEATER ROPPONGI (東京・六本木)
rockin’on presents COUNTDOWN JAPAN 13/14
2013/12/29(日) 幕張メッセ国際展示場1〜8ホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。