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サカナクション、Dragon Ash、くるりら、全9組が熱狂パフォーマンス!!

ビクターロック祭り | 2014.03.13

 2月22日。
幕張メッセ国際展示場は、ビクターエンタテインメントが主催するロックフェスティバル『ビクターロック祭り?音楽の嵐?』に訪れた音楽ファンたちによって埋め尽くされていた。
 多くのバンドやアーティストが所属する老舗のレコード会社でもあるビクターエンタテイメントだが、意外にもこのようなロックフェスを主催するのは今回が初のことであったと言う。
 会場に入ると、ビクターのトレードマークとして知られる、亡き主人の声が聴こえる蓄音機に、不思議そうに耳を傾ける姿がとても印象的な“ニッパー”の巨大なオブジェが置かれていた。
 そしてそこには、この日の出演者と出演順が、大きな柱に掲示されていた。
 この日出演したアーティストは、SPECIAL OTHERS、家入レオ、THE BACK HORN、Cocco、サンボマスター、THE BAWDIES、くるり、Dragon Ash、サカナクションの9バンドである。(※出演順)

 12時ちょうど。
予定時刻通り、その音は鳴り響いた。トップバッターを務めたSPECIAL OTHERSである。
 2曲目に届けられた「AIMS」では、イントロの1音を発した瞬間から大きな歓声が沸き上がったほど、そのサウンドはしっかりとオーディエンスの心を動かしていた。心地よいリズムを叩き出す宮原“Toyin”良太。アップライトベースの円やかな音で低音を包んだ又吉“Segun”優也。少し高い位置にギターを構え、軽やかに弦をつま弾く柳下“Dayo”武史。そして。3曲目に届けられた「Uncle John」では、芹澤“Remi”優真が奏でる鍵盤のメロディに、オーディエンスは静かに体を揺らした。それはSPECIAL OTHERSならではの空間演出。とても贅沢な音楽の楽しみ方を体感した気分である。彼らは、デビュー当時を振り返り、ビクターと共に歩んで来たこれまでを振り返った。こんなにも自由に音楽をやらせてくれるビクターに感謝という言葉の後に、思い出となったデビュー曲「IDOL」を届けたのだった。

 続いては家入レオ。
鎖が施された真っ赤なTシャツにレザーのパンツという、飾り過ぎない出で立ちで登場した彼女は、臆する事なく、背伸びせず、40分間という自分の持ち時間の中で、精一杯家入レオの歌声を届けた。間髪入れずに2曲届けると、その後、軽い挨拶と共に次に届ける曲の説明を挟んだ。3曲目に用意されていたのは最新アルバムのタイトルチューンでもあった「a boy」。彼女はこの曲を、“大人になることを決意して作った曲”と紹介。弱さと強さが共存するその曲を、彼女は真っ直ぐに歌って届けたのだった。バンドの出演が多かった中、ソロアーティストとして堂々と1人で歌い切った家入レオ。その強さとパフォーマンス力を高く評価したい。

 3アーティスト目はTHE BACK HORN。
照明が落ちたステージに4人の影を見つけると、フロアからは早くもオーディエンスからの歓声が沸き上がった。
「こんにちは。THE BACK HORNです」
照明がステージを照らす直前に、ボソッとラフな挨拶を投げかけると、そこから一気に2月19日にリリースされたばかりの「コワレモノ」を届けた彼ら(6曲目には同シングルの同じく表題曲であった「シンメトリー」も披露!)。言葉が敷き詰められたこの曲は、一瞬にしてオーディエンスを惹き付けた。さすがのライヴ力である。そして。「罠」からはどっぷりとTHE BACK HORNのディープな世界に引きずり込んでいった。結成から15年。ビクターと共に音楽を作ってこれたからこそ、今の自分たちがあるという想いを言葉にしたドラムの松田の言葉は、とても深みのあるモノだった。

 THE BACK HORNからバトンを受け取ったのはCocco。ブルーのドレスがとても印象的だった彼女。彼女はこの日、ナント2年4ヶ月ぶりのライヴであったと言う(イベントや舞台出演は除く)。そんなCoccoの唄を間近で感じようとするオーディエンスは、グッと前の方へと押し寄せた。Coccoは、そんなオーディエンスを包み込むように、全身の力を振り絞って唄を届けた。そんな歌声に魅了され、身動きが取れなくなったのか、オーディエンスは微動だにせずその声を受け止めていた場面もあった。とても印象的な景色だ。Coccoは途中、バレエのステップを魅せ、ステージの上で軽やかに、そして優雅に舞った。他にはない、Coccoという精神を感じたステージは、力強く、激しく、そして、あたたかなモノだった。

 続いてはサンボマスター。
何から書いたら良いだろう。とにかく、熱量の高い圧巻のステージだった。
「オマエら準備はいいか! この野郎?っ!」
絶叫といおうか、罵声といおうか、ボーカルの山口は、お馴染みのトーク(叫び)でサンボマスターらしく煽っていく。そんな暑苦しさ(←褒め言葉です)に、オーディエンスは手放しで応える。最高に熱い空気がそこに生まれた。「世界をかえさせておくれよ」「ミラクルをキミとおこしたいんです」「未練は残さず躍るつもりだ」。なんとも、そのタイトルに書かれた言葉の全てがダイレクトにぶつかってきた。ここまで我武者らに音と気持ちをぶつけられたら、どんなに堅く閉ざした心の扉だって、もう開くしかない。とにかく、汗だくで盛り上がったライヴとなった。“安月給”という言葉でオーディエンスと掛け合いが成立するのは、彼らの他に居ないだろう(笑)。あっぱれ。サンボマスター!

 そして。次に登場したのはTHE BAWDIES。
音楽性はまったく違うも、熱さという点では、THE BAWDIESもサンボマスターに負けてはいない。しかし、またその熱さの度合いが違うのがバンドの面白いところ。揃いのスーツに身を包み、スタイリッシュな出で立ちで登場した彼らは、1曲目の「ROCK ME BABY」から大熱唱。テレビドラマのテーマ曲でもあり、多くの人が知るこの曲は、フロア全体を一瞬にしてダンスホールに変えていった。
「天下取るとか、そんなんじゃないんです! ロックン・ロールってこんなカッコイイんだぜ! ってことをただただ伝えたいだけのバンドなんです!」と、ボーカルのROYによる熱いロックン・ロール談義を挟みながら、間髪入れず、終始オーディエンスの体を揺さぶらせたのだった。

 ロックン・ロールで騒ぎまくったフロアの空気を、またまた一変させたのはくるり。
「え?と。くるりと申します。京都のバンドです。機嫌はどや? おっちゃんは嬉しいよ。あ、そうや、あれ見た? 真央ちゃん。あ、みんなロック好きなんやもんな。そんなスケートには興味ないねや」と岸田(Vo)。そんなゆる?い岸田のMCに笑いが起る。しかし。本人は特に笑いを求めた訳ではない。これはいつものこと。まったくの自然体だからこそ、またそこがいい塩梅だったりするのである。オーディエンスのクラップをもサウンドの中に呑み込み、くるりの音として届けられた「ロックンロール・ハネムーン」は、最高にロマンチックだった。さらに、郷愁感漂う「虹」に最高に酔いしれていると、岸田がビクターとの出逢いと、共に歩いてきた15年を語って聞かせてくれた。そんな岸田の話しの後に届けられたのはデビュー「東京」。そうくるか……。まったくもって、この流れからの東京は反則である。涙なくして聴けないではないか……。この日聴いた「東京」は、最高に胸に染みた唄となった。

 トリ前を務めたのはDragon Ash。
骨太なサウンドと絶対的な個性を見せつけてきたDragon Ashのステージは、いつも以上に熱かった。桜井誠、BOTS、HIROKIがぶちかますサウンドを、大きく吸い込むように、Kjを中央に挟んで躍ったDRI-VとATSUSHI。この世界観こそがDragon Ashだ。この日の前日がビクターから初めてCDを出した日だったと語るKj。彼は続けて、19年前に原宿のルイードでビクターのディレクターに声をかけられ、デビューに至ったという思い出を話し始めた。この日の彼らのライヴが特別に熱かったのは、今は亡きそのディレクターへの想いと、ビクターへの愛と、18年目一発目のライヴであったという気合いがあったからこそではないかと感じた。彼らはきっと、ずっと音を初めて出し合ったときの衝動を、これからも持ち続けて音を発していくことだろう。

 いよいよラストアクトである。最高のラストを飾ってくれたのはサカナクション。コンピューターを横一列に並べ、ステージ前方で5人並んで音を届けたオープニングは、フロアに集まったオーディエンスを一瞬にして魅了した。届けられたのは「ミュージック」。そして、彼らはその曲中の一瞬の暗転時に自分たちそれぞれの立ち位置に移動し、そこからは通常のバンドスタイルで曲を届けていった。さっきまでの光景を一瞬にして過去にした、それは、あまりにも素晴しく美しいトリックだった。オーディエンスのクラップで盛り上げられた「アルクアラウンド」、ループするデジタル音が印象的に響いた「セントレイ」、リズミックな音で、オーディエンスに掛け声と軽やかなステップを踏ませていた「夜の踊り子」。フロアは、サカナクションという5人から発せられるビートとフレーズに、完全に引き込まれた状態にあった。そして、唯一、アンコールに応えたサカナクションは、ビクターへの想いと、このフェスがずっと続く事を願うと語り、「ユリイカ」と「グッドバイ」を届けてくれたのだった。

 バンドと一言に言えど、ロックと一言に言えど、こんなにもいろんな表情を持つモノだと改めて感じさせられたこの日。そして。バンドの数だけ、アーティストの数だけ、そこ(音や言葉=歌詞)に詰め込む想いがあるのだということを、改めて教えられた気がした。バンドの音は生きて来た証そのもの。そんなバンドと共に歩むレーベルも、またそれと同じ。これからも多くの経験と歴史を、音と言葉に替え、多くの人に感動を与えていってくれることを切に願う。

【取材・文:武市尚子】

tag一覧 ROCK ライブ サカナクション Dragon Ash くるり THE BAWDIES サンボマスター THE BACK HORN 家入レオ

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セットリスト

ビクターロック祭り〜音楽の嵐〜
2014.2.22@幕張メッセ 国際展示場9.10.11


SPECIAL OTHERS
  1. PB
  2. AIMS
  3. Uncle John
  4. IDOL

家入レオ
  1. 太陽の女神
  2. Shine
  3. a boy
  4. Who’s that
  5. Bless you
  6. Linda
  7. Papa&Mama
  8. サブリナ

THE BACK HORN
  1. コワレモノ
  2. シリウス
  3. バトルイマ
  4. シンメトリー
  5. コバルトブルー

Cocco
  1. ありとあらゆる力の限り
  2. 強く儚い者たち
  3. 夢見鳥
  4. ドロリーナ・ジルゼ
  5. 樹海の糸

サンボマスター
  1. 世界をかえさせておくれよ
  2. ミラクルをキミとおこしたいんです
  3. 未練は残さず踊るつもりだ
  4. そのぬくもりに用がある
  5. 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
  6. できっこないをやらなくちゃ

THE BAWDIES
  1. ROCK ME BABY
  2. IT’S TOO LATE
  3. YOU GOTTA DANCE
  4. LEMONADE
  5. DANCE THE NIGHT AWAY
  6. SHAKE A TAIL FEATHER
  7. HOT DOG
  8. SING YOUR SONG
  9. JUST BE COOL

くるり
  1. ワンダーフォーゲル
  2. ブレーメン
  3. ロックンロール・ハネムーン
  4. Everybody feels the same
  5. 花の水鉄砲
  6. Loveless
  7. 東京

Dragon Ash
  1. Run to the sun
  2. Trigger
  3. The Live
  4. Still Goin’On
  5. 百合の咲く場所で
  6. Fantasista
  7. Lily
  8. Viva la revolution

サカナクション
  1. ミュージック
  2. アルクアラウンド
  3. セントレイ
  4. 夜の踊り子
  5. アイデンティティ
  6. ルーキー
  7. Aoi
Encore
  1. ユリイカ
  2. グッドバイ

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