a flood of circle、全県ツアーファイナル“ Tour I’M FREE ”、爆音ロックンロールが野音に鳴り響く!
a flood of circle | 2014.04.28
佐々木「行く前に先輩とかにすっげぇ言われたんですよ。“解散するぞ”と(笑)。俺、思ってたの。“失踪”でしょ? “脱退”でしょ? 次は“死ぬ”か“解散”しかないと思っていたから。死に物狂いでやってきました!」
ニューアルバム『I’M FREE』を引っ提げ、「AFOCの47都道府県制覇!形ないものを爆破しにいくツアー」を敢行したa flood of circle。昨年10月からスタートさせた対バン形式の「迷わず行けよ編」を終了させた後に行なわれたワンマンツアー「行けばわかるさ編」の最終地となったのは、4月12日(土)日比谷野外大音楽堂。まだ肌寒さのある4月の野音で、彼らは熱狂的なロックンロールショーを繰り広げた。
ゆっくりとBGMがフェードアウトすると、ドラムスティックを掲げた渡邊一丘(Dr.)が、続けてHISAYO(Ba.)とサポートギターの曽根巧が登場。その後に、佐々木亮介(Vo./Gt.)がゆっくりと姿を現わす。そのまま彼はステージ前方まで歩いて行き、旅の帰還を誇らしげに、そして、この夜の熱狂を宣言するかの如く、拳を高く突き上げた。その姿にオーディエンスは大興奮。呼応するように拳を掲げる。
ライヴは「I’M FREE」からスタート。爆音のロックンロールが、陽の暮れかけた赤い夕空に放たれる。どこまでも遠くへ届くように<I’M FREE>と連呼する佐々木。己の自由を、無価値を、憤りを、過去を、未来を──あらゆる想いや感情を飲み込んだその叫び声と彼等が叩きつける獰猛な音達。そして「おはようございます、a flood of circleです!」といういつもの一言から、47都道府県ツアーの手応えや、この日の気迫がありありと伝わってくる。
そこから「ロックンロールバンド」「Diamond Rocks」「God Speed You Baby」を立て続けにぶっ放し、グングンと熱を帯びて行くバンドの音。「ロックンロールは好きですか!?」と、ブラック・サバスの「Iron Man」をカヴァーしたり、トーキングブルース「Blues Never Die(ブルースは二度死ぬ)」で、佐々木がギターを後頭部で弾き倒したり、ギターでオーディエンスとコール&レスポンスを繰り広げたりと、凄まじい爆音を鳴らし続ける彼等は、とにかく楽しそうだ。
実際、冒頭に記した佐々木の冗談まじりの発言のように、今回のツアー中は、常に良いモードだった様子。HISAYOは、過酷さ故に“仲が悪くなるかも”と、ツアーが始まる前に心配していたそうなのだが、話のネタのために“誰か一回ぐらいケンカしないかなと思ってた”ぐらい(笑)、充実の時間を過ごしていたそうだ。
佐々木「いろんな経験してきましたけど、それにいちいち“ありがとう”っていう気はないですよ。『形ないものを爆破しに行くツアー』なんで。ここから駆け抜けていいですか!?」
そして、HISAYOが豪快に叩き鳴らすドラから幕を開ける新曲「KIDS」へ。ドカドカと突っ込んで行く荒ぶったサウンドでオーディエンスを跳ねまくらせ、そこから「Human License」「Dancing Zombiez」「プシケ」と、キラーチューンをノンストップで3連発!拳と叫び声をあげ、騒ぎまくっているオーディエンス達に「いけるか!?」「付いてこい!」と、更に煽り続ける佐々木。この日、彼は「最高!」と何度も叫んでいたが、本当に1曲終えるごとにハイライトを更新し続けるような熱気が、会場に満ち満ちていた。
佐々木「あんまり辛気くさい話はしたくないんですよ。本当に、マジで最高だと思うから。でも、全県転がってきて思うことは──俺、本籍地は宮城県の仙台市なんだけど、元々“出身地どこですか?”って聞かれても困る人生で(彼は幼い頃、転校を繰り返していたそうだ)。でも、全県廻って、全部の街に俺は帰ることが出来ると思ったし、ロックンロールバンドはそれでいいんだって思った。伝えたいことはいっぱいあるんだけど、俺が野音に置いて行きたいのは一言しかないです。それを次の歌に全部託すんで、受け取ってください」
披露されたのは「感光」。ドラマティックなミディアムナンバーを、凄まじい気迫でプレイする彼等だったが、途中、そこまで延々と放ち続けていた爆音を、一瞬だけ止めた。静寂に包まれる日比谷野音。その静けさに耳がゆっくりと慣れてくると、会場の周りの音が微かに聞こえてきた。遠く走る車の音で、ふと現実に戻される。そこへ飛び込んできたのは、<生きていて>という佐々木の絶唱。とにかく胸を打たれた。野外でしか起こりえない最高の瞬間だった。
佐々木「ここから見える景色は最高に美しいです。ここに来れて良かったし、俺達に付いてきてくれたら、更に素晴らしい景色を見せたいと思ってます。よろしくどうぞ」
そして、ゲストミュージシャンとして「勝手にしやがれ」のホーン隊4人を呼び込み、「理由なき反抗(The Rebel Age)」「Beer! Beer! Beer!」へ。4人の跳ねるサウンドをブラスが彩り、先ほどの感涙を一気に泣き笑いへと変えるポジティヴィティが溢れ出す。それは間違いなく最高のロックンロールで、最高のブルースだった。
アンコールでは、「勝手にしやがれ」のキーボーディスト、斉藤淳一郎氏を招いて、新曲「アカネ」をプレイ。佐々木もアコギに持ち替え、叙情的なバラードを客席に届ける。そこへ再びホーン隊を呼び込み、9人編成で「Sweet Home Battle Field」へなだれ込んでいったのだが、これがもう最高にカッコよかった。ホーン隊のセクシーなソロ回しも、荒ぶったバンドサウンドも、暴れ回るキーボードの音色も、どれもがとにかくド派手。佐々木は手に取った黒いタンバリンを激しくも、そして何よりも楽しそうに打ち鳴らしながら客席を煽り、オーディエンスも踊り狂う。そして、“俺達とあなた達の明日に捧げます!”と「シーガル」へ。夜空に大合唱が響き渡る中、熱狂の一夜を締め括った。
佐々木「立ち止まる気はないんですよ。まだまだみんなで転がって行きましょう。よろしくお願いします!」
4/19・4/20は沖縄へ渡り「形ないものを爆破しにいくツアー/ニフェーデービル編」を開催。全県制覇を見事達成したa flood of circleは、7月16?18日に東京キネマ倶楽部にて、8周年記念ワンマン「レトロスペクティヴ」を行なう。この3デイズライヴは、初日を「a flood of circleのメロディーとソウル」、2日目を「Parade Go To Zoo」、最終日を「Love Is Like Fuckin Free」と、彼らがこれまでに発表してきた作品をミックスさせたライヴタイトルとなっている。そのタイトルが表わしている通り、この3日間でバンドの持ち曲全てを披露するという試みだ。間違いなく、この三夜も最高のものになる。自然とそう断定してしまうぐらい、野音ワンマンは本当に素晴らしかった。転がり続けるa flood of circle。まだまだとんでもないことになる。
【取材・文:山口哲生】
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リリース情報
リリース情報
お知らせ
a flood of circle 8th Anniversary Oneman Live“レトロスペクティヴ”
2014/07/16(水) 東京キネマ倶楽部
Day1 -a flood of circleのメロディーとソウル-
2014/07/17(木) 東京キネマ倶楽部
Day2 -Parade Go To Zoo-
2014/07/18(金) 東京キネマ倶楽部
Day3 -Love Is Like Fuckin Free-
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 IN EZO
2014/08/15(金)、16(土)石狩湾新港樽川ふ頭野外特設ステージ
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。