coldrain、HEY-SMITH、SiMという、今ライブシーンで破竹の勢いを誇る3バンドが参加する合同企画ライブ『TRIPLE AXE ’14』。お互いを刺激し合う盟友同士の彼らが、ライブハウス・サーキットのイベントとして企画をスタートさせたのが2012年（もちろん、各地ソールドアウトの嵐）。昨年は新木場COAST公演1日のみ（これもソールドアウト）で行われたが、今年はZeppツアーという規模に成長。各バンドの成長もあり、各地大盛況のうちに幕を閉じた。今回は、東京公演であるZepp Tokyoのレポートをお届けしよう。

　チケットは即日完売。開演前から、楽しむ準備万端のオーディエンスの熱気がすごい。この日の一番手はHEY-SMITHだったのだが、テナーサックスの満とトロンボーンのIoriは、いきなり上半身裸で登場。パンキッシュなサウンドにホーンセクションを加えたアッパーチューン「Endless Sorrow」から、観客をかき回す。ギター＆ボーカルの猪狩秀平は「始まっちゃった……始まっちゃったよ~！」と、嬉しそうに表情をゆるませ、途中のMCタイムでは、客からの差し入れというシャンパンを開け、観客をステージに上げて一緒に飲み干すというパフォーマンスで、さらに場内を盛り上げる。後半のMCで猪狩は「ホントにこのツアーは特別なんですよ」と語り、coldrain、SiMへのリスペクトを表した。ラストは「2バンドに歌わせてください！」と告げ、「Tide」でフィニッシュ。バンド同士の強い絆を感じさせた。

　もちろん、その思いは全バンドにも、さらには観客にも共通のものだったように思う。2番手のcoldrainが始まった瞬間に、改めて実感させられたのだが、ここに集まったオーディエンスの多くは、どのバンドのステージにも全力で声援を送っているのだ。とはいえ、どれだけ自分達のパフォーマンスでガツンと言わせられるか……そこはガチな勝負である。coldrainは海外でのフェスで鍛え上げたプレイで、1曲目の「The Revelation」から荒々しく攻めていく。肩車からクラウドサーフになだれ込むオーディエンスが、さらなるうねりを作っていく。
　「TRIPLE AXE！　そんなもんか！」
　ボーカルのMasatoが一喝し、観客の士気を高め、「Behind The Curtain」や「Rescue Me」へとつなげる。ラウドでヘヴィーなサウンドの中に、サビメロのよさを盛り込むのが彼ららしいところ。MasatoはMCで「毎年、春になると全員一致で（TRIPLE AXE）やりたいって話をします」と語り、いかにこのライブが重要なのかを強調。その熱は後半へと注入されていく。新曲「AWARE AND AWAKE」の披露のあとは、「No Escape」「To Be Alive」で熱く締めくくった。

　さて、トリをつとめたのはSiM。それまでの空気がまたガラリと変わるのは面白い。1曲目は「Blah Blah Blah」。トレードマークの赤シャツにネクタイ姿で登場のボーカル、MAHが激しく動き回れば、つられて観客も暴れ出す。全メンバーの運動量の激しさも SiMならではだ。ダブステップはもちろん、レゲエからメタル、パンクなど、概念にとらわれずに作り出すサウンドは、まさにONE OF A KIND。後半では「Get Up,Get Up」や「Amy」など、ライブ映えするキラーチューンで、モッシュを呼び起こす。MCではMAHがcoldrainのMasatoの話し方をマネで場内をなごませるひと幕も。それもこれも、バンド同士の仲の良さがなせる技。

　アンコールでは、引き続きSiMが登場。「KiLLiNG ME」がプレイされた……のだが、ここでMAHのコスプレ（？）をした猪狩（HEY-SMITH）とMasato（coldrain）が登場。加えて、当初はギターを弾かない予定だったMasatoが、思わずギターを披露するというサプライズもあり、ステージもフロアも、大いにハジケまくった。最後は観客を背後に記念撮影。仲間を大事にしながらも、それぞれの道をしっかり歩む3バンドの激突は、オーディエンスにも忘れがたい刺激となったに違いない。

【取材・文：海江敦士】
【撮影：kohei suzuki】