ニューカマーをプッシュするライブイベント「Ruby Tuesday」をレポート!
Ruby Tuesday | 2014.11.01
ホットスタッフが一押しのニューカマーをブッキングして定期的に開催されるライブイベント「Ruby Tuesday」の第2回目がShibuya WWWで行なわれた。出演は、セプテンバーミー、Shiggy Jr.、荒川ケンタウロスという3組のバンドと、シンガー・ソングライターの小田和奏。いずれも趣の違うメンツだけに、それぞれの個性が際立つとても興味深い対バンだった。
ジャッキー・チェンの映画『ファースト・ミッション』の主題歌「チャイナ・ブルー」のSEが流れるなか登場したトップバッターは4人組ギターロックバンド、セプテンバーミーだった。1曲目「君と宇宙でスリーアウト」からいきなりの鋭い爆音でバンドのアティチュードはこれだと示すと、クセの強いロックナンバーを目まぐるしく連発。ステージの左寄りに、ボーカル土肥大人、ベースのココナッツ先輩、サポートギターの永井風思という男子3人が陣どり、右側に紅一点のドラムス岸波藍が髪を振り乱して激しくドラムを叩く。複雑に絡まるグルーブで踊らせた新曲「妖怪ダンス」や、まさかのパチンコロック「CRシュレディンガーの猫」、「俺がストーカーされた曲です」と言って始まった「絶対彼女」など、土肥はどこか腹にイチモツありそうな佇まいでアグレッシブにお客さんに挑んでいく。MCでは「HOT STUFFはホット(熱い)スタッフです!」と名(迷?)言を吐くと、岸波が乾いた笑いで受け流す一幕も。緩急自在なパフォーマンスでお客さんを引き付けた彼ら、最後は開放感のあるロックナンバー「逆回転するハッピーエンド」で締めくくった。
J-ROCK界隈で次世代をけん引するのがセプテンバーミーなら、サブカル界の刺客として登場したのが2組目、フロントマン池田智子を擁する4人組ポップバンド、Shiggy Jr.(シギージュニア)だった。「はじめまして、Shiggy Jr.です!」と池田がキュートに挨拶をすると、1曲目「dance floor」でベース森夏彦、ギター原田茂幸らがそろって右に左にステップ。会場には彼女たちをお目当てで駆けつけた男性ファンも多そうだ。先日の名古屋ライブでは機材のトラブルでベースソロが弾けなかった、という森がリベンジとばかりにチョッパーベースを鳴らした「summer time」をはじめ、ゆったりとしたAOR風のナンバー「baby I love you」やサブカルの匂いもするヘンテコポップ「oyasumi」など、90年代J-POPから10年代ボカロPのアプローチまでをも飲み込んだ多彩な音楽性と、それを表現する盤石の楽器隊の演奏はコアな音楽ファンを唸らせるものだった。池田のアイドルっぽい振る舞いも堂に入っている。ラストはShiggy Jr.の代表曲になりそうなポップチューン「LISTEN TO THE MUSIC」から、コール&レスポンスを繰り広げた「Saturday night to Sunday morning」へ。徹底したポップスへのこだわりを感じるステージだった。
MAIN STAGEバンドの転換の時間を利用してラウンジではシンガー・ソングライター小田和奏(おだかずそう)が2回にわけて登場した。1回目のステージでは、集まったのは20?30人ほど。最前列のお客さんとは1mも離れていない。そんな距離感で「こちらはまったりといきましょう」と、弾き語りをはじめた。1曲目は「夢のあと」。アコースティックギターを弾きながら少し伏目がちに、歌の世界に入り込む。声は少しハスキーだ。続く、2曲目ミディアムテンポの「旅人の奏でる体温」では、ギターを爪弾く音、ボディを叩く音などをリアルタイムで多重録音して歌い、ラストは力強いバラード曲「ミライノオト」へ。短い時間ながら緩急をつけたセットリストに歌い人・小田和奏の豊かなソングライティングの技を見た。
トリを飾ったのは極上の歌でシーンに真っ向勝負する5人組ロックバンド、荒川ケンタウロスだった。登場のSEはTRFの「BOY MEETS GIRL」。全員が楽器をスタンバイすると、イエーイ!とボーカル一戸が気合いの叫び。1曲目「10年20年」から日本語詞を大切にした透明感のあるメロディを次々と聴かせていく。黒髪に白シャツ、黒ズボンというボーカル一戸の佇まいとは一転、楽器メンバーは3人が半ズボンという見た目のアンバランス感が面白い。「猫のおじさん」ではギター、ベース、キーボードが自己主張の強い激しいプレイを見せたかと思えば、「アンセム」ではぐっと歌を引き立たせる脇役に徹したりと、コントラストをつけながらライブは進んでいった。新曲「君の季節」もまた荒ケンらしい切ないナンバー。「“ダンスミュージック”をやります!」と始まった「迷いの森」までも、哀愁のあるメロディアスなポップスとして響くのは、このバンドらしさだ。ラスト2曲を残して、「みなさんのハートをぶち抜く瞬間があったと思うんだよな。それを持って帰ってください」と語りかけた一戸。本編のラスト「superstar」まで終えると、アンコールは初期作「天文学的少年」で締めくくった。荒川ケンタウロスは来年の新作に向けて現在はレコーディング中とのこと。
なお、「Ruby Tuesday」の第3回目が12月16日に新宿ロフトで開催されることもすでに決定している。こちらも見逃せない内容になりそうだ。
【取材・文:秦理絵】
セットリスト
Ruby Tuesday 2
2014.10.21@渋谷WWW
<MAIN STAGE>
セプテンバーミー
- 君と宇宙でスリーアウト
- 自分プログラム
- 妖怪ダンス
- CRシュレディンガーの猫
- 絶対彼女
- 9020
- 逆回転するハッピーエンド
Shiggy Jr.
- dance floor
- summer time
- baby I love you
- oyasumi
- day trip
- LISTEN TO THE MUSIC
- Saturday night to Sunday morning
荒川ケンタウロス
- 10年20年
- 猫のおじさん
- 君の季節
- アンセム
- 迷いの森
- つぶて
- ノイキャン
- superstar
- 天文学的少年
<LOUNGE STAGE>
小田和奏
1st set
- 夢のあと
- 旅人の奏でる体温
- ミライノオト
- 色彩のメロディー
- ハシル
- 数十年後のラブソング
お知らせ
Ruby Tuesday 3
2014/12/16(火)新宿LOFT
出演:Anny/本棚のモヨコ/アンテナ/蜜/テジナ
※ライブ詳細は「Ruby Tuesday」オフィシャルサイトをご覧ください。