昨年10月にメジャーデビューシングル「MADNESS」をリリースし、2月1日から、そのタイトルを掲げたジャパン・ツアー"MADNESS TOUR in JAPAN 2015"をスタートさせたCrossfaith。各公演には、メンバーと親交のあるアツいバンドをゲスト・アクトに迎え、真夏のようなパフォーマンスを展開してきた。ツアー中盤にあたる東京公演は2月11日、新木場STUDIO COASTで開催。この日のゲストにはイギリスから ARCHITECTS、そしてFear,and Loathing in Las Vegasが参加し、すでに場内の空気をグイグイ上げていた。

　20時をまわると、ステージを覆っていた幕が落ちる。いよいよCrossfaithの登場だ。地鳴りのような声援を受け、メンバーがひとりずつステージに現れる。実はこの大きな歓声には、ファンからの熱い願いも込められていたように思う。ツアー開始直前、ギターのKAZUKIが、大脳基底核損傷の治療のために活動を休止するという衝撃的なニュースが飛び込んできた。日本のみならず、海外でも評価を上げてきた時期だけに、メンバーはもちろん、ファンも不安を覚えたに違いない、しかし、KAZUKI自身の“バンド活動を止めて欲しくない！”という思い、そして“諦めず必ず復帰してみせます”という決意をくみ、バンドはサポートギタリストを入れてツアーを敢行。突き進む姿勢を貫いたのである。歓声は、そんな勇姿に送られているように感じた。最後に現れたボーカルのKOIEが「新木場~！」と、叫ぶやいなや、フロアにはモッシュサークルが出現。もはや不安など軽く吹き飛ばし、1曲目の「We Are The Future」から荒ぶる観客に負けじと、メンバーも熱いプレイを繰り広げていく。TERU（Program / Vision）も、自らのブースを飛び出し、フロアにダイブするなど、容赦なく煽りまくる。魂を揺さぶるグロウルで圧倒するKOIEの歌声にヘヴィーなサウンド、さらにはエレクトロのエッセンスが加わり、聴く者を刺激する音でライヴは進む。選曲も幅広く、ファンとしては嬉しいセットリストだったように思う。

　途中、MCでKOIEは「とりあえず乾杯！」と、ドリンクをかかげ、「俺らの音楽は、酒よりドラッグより……一番アガるよな！」と「Jagerbomb」につなげる。場内は完全にお祭り状態だ。後半にかけ、「Madness」や「Scarlett」「Omen」……そして、フロアを半分に分けての“ウォール・オブ・デス”から曲になだれこむ「Countdown To Hell」が展開。バンドのみならず、オーディエンスまでが全身で爆音を楽しみ尽くす様は、圧巻だ。とはいえ、彼らの音楽には、一緒に“歌える”という一体感も備えていることは付け加えたい。

　アンコールでは、ここ最近のライヴでは披露していなかった「BLUE」を披露。昔からのファンにとっては予想外のサプライズとなった。

「古い曲を聴きたいっていう意見がたくさんあって。バンドは進化を見て欲しいと思ったりするんだけど??古い曲をプレイできてよかったです」（KOIE）

　バンド・パワーをみがいた今、昔の曲をプレイするということは、何よりメンバーが自信をつけた証拠なのではないだろうか。最後、KOIEは再び観客に語りかけた。

「KAZUKIは今、前を向いてニューアルバムの曲作りをしてくれています。お前らの力をKAZUKIに送ってやってください。俺らは1秒も止まりません！」

　こうしてラストナンバーの「Leviathan」へ。モッシュサークルで走る者、クラウドサーフする者、ひたすら踊りまくる者……それぞれが、全力で爆音にひたり、熱い一体感を共有した。夏にはVANS WARPED TOUR 2015に参加し、全米を駆け抜ける彼ら。確実に今以上の存在となって戻ってくるに違いない。Crossfaithの進撃は今後もますます加速しそうだ。

【取材・文：海江敦士】
【撮影：Max Fairclough】