10-FEET THE BACK HORN THE STARBEMSの3組が出演、熱気と男気のステージをレポート
MOBSTYLES 15th ANNIVERSARY TOUR | 2015.03.20
アパレル・ブランド「MOBSTYLES」の15周年を記念したライブツアー「MOBSTYLES 15th Anniversary TOUR "FIGHT & MOSH"」。全国8公演のうちの2本目となる東京公演には、全公演のヘッドライナーを担当する10-FEETに加え、THE BACK HORN、THE STARBEMSの計3組がオンステージ。会場の新木場STUDIO COASTにはオーディエンスの汗が湯気となってもうもうと立ち込めたほど、熱気と男気に溢れまくるエキサイティングなステージを披露してくれた。
■THE STARBEMS
ライブの幕開けをド派手に飾ったのは、THE STARBEMS。この日のステージをもって後藤裕亮(ギター)の脱退が発表されたスタベだが、ステージには感傷的なムードは皆無だ。「MAXIMUM ROCK’N’ROLL」でライブの口火を切ると、その重厚でパワフルなロックンロールがフロアのオーディエンスを豪快に揺さぶっていく。「一つのことを10年以上続けるのは本当に難しい。俺もいくつものバンドを終わらせて来たよ。でも、THE STARBEMSは15年どころか、死ぬまでやるぞ!」と日高央(ヴォーカル)が会場を煽りながら、「Working Youths」、「Vanishing City」と猛々しくも華やかさを持ったハードコアパンクを畳み掛けフロアに歓喜と熱狂を呼び起こした。
ライブが進むに連れて、フロアの興奮も右肩上がりに加速する。ザ・ブルーハーツの「チェインギャング」のカバーでは会場が一緒になって大合唱し、「HUMAN RIGHTS」では無数の手が掲げられた。どこまでもラウドでコアなTHE STARBEMSの音像の奥にあるのは、どこにも行き場のない怒りであり悲しみだ。しかしそれがこの上なくポジティブな楽しさに変換されてオーディエンスに痛快に響いていく。「コイツはバンドはやめるけど、音楽はやめません。何より人間やめません!」と日高がエールを送った後藤は、「Sweet Nothing Blues」でステージ前方に出てきて、間奏では鬼のようなギターソロを披露する。
息つく暇も与えず畳み掛けた5人のライブは、フロア中が飛び跳ね、壮観な盛り上がりに包まれた「DESTINY」でフィナーレ。日高はステージで何度も、MOBSTYLESの15周年を祝いながら長く続けていくことの難しさを語ったが、だからこそTHE STARBEMSにかける彼らの真摯な思いがひしひしと伝われるパフォーマンスだった。今までも、そしてこれからも、どこまでも強く何よりも人懐こい彼らのハードコアパンクを追いかけたい――。フロアでもみくちゃになりながら、THE STARBEMSの音楽を全身で受け止めたオーディエンスの誰しもがそう感じていたことだろう。
後藤は演奏を終えると、「ありがとうございました!」と叫んでフロアにダイブ。THE STARBEMSとしては最後となるその雄姿に、オーディエンスからは一際大きな歓声が送られた。
■THE BACK HORN
THE STARBEMSの爆発的な熱狂から一転、THE BACK HORNは「雷電」でカオティックにライブの幕を開けた。ヒリヒリとした緊張感に満ちたサウンドでオーディエンスを痺れさせれば、続く「サニー」で激情をほとばらせると、イントロからフロアは大ハンドクラップに包まれる。満員御礼の新木場STUDIO COASTをあっという間に自分たちの世界に塗り替えてしまう彼らのスケール感たるや圧巻のひと言だ。
静と動を激しく交錯させながら躍動する「罠」でフロアを完全に掌握してしまうと、松田晋二(ドラム)が今日はこの3バンドで、音楽は素晴らしい、ライブは素晴らしいということを証明して帰りたいと思います」とオーディエンスに語りかける。会場からは望むところだとばかりに怒号のような大歓声。そこから「生命線」へと突入すると、フロアはクライマックスの盛り上がりに包まれた。
「今日は3月9日。明後日で、東日本大震災から4年が経ちます。この曲を歌わせてください」と山田将司(ヴォーカル)が静かに語って歌ったのは、「世界中に花束を」だ。独白にも叫びにも聞こえる山田の歌声が新木場STUDIO COAST中の胸を震わせ、心に深い余韻を残していく。
「ビリーバーズ」では菅波栄純(ギター)のギターが縦横無尽に駆け回り、フロアの熱狂を加速させる。ステージで仁王立ちしながら多彩なフレーズを繰り出す岡峰光舟(ベース)、オーディエンスの興奮を力強く牽引する松田のドラム、そして感情を剥き出しにしながら聴く者の心を激しく掻き毟る山田の歌。本当に、このバンドは個性の塊だ。4人の個性が火花を散らしながらぶつかり合う様を見ているだけで、自然と拳を強く握り締めてしまう。
ラストに演奏した「戦う君よ」はまるでこのライブイベントのテーマ曲のようだ。フロア中がモッシュと大合唱で埋め尽くされ、4人の放つ力強く優しい輝きに、新木場STUDIO COAST中が笑顔に包まれた。
■10-FEET
ラストを飾る10-FEETは、登場するなりテンション最高潮。「お前ら、めちゃくちゃにしてやるぞ! 全員かかってこい!!」とTAKUMA(ヴォーカル&ギター)が煽りに煽って「4REST」を披露すれば、会場にはモッシュとダイブの嵐が巻き起こり、凄まじい盛り上がりに包まれる。オーディエンスの汗が湯気となって会場に立ち込めるほどのフロアは灼熱だ。オーディエンスのオイコールに迎えられた「RIVER」、天地がひっくり返ったかのような喧騒にモッシュピットが溢れた「focus」と、ライブが進むにつれて会場の熱狂はどこまでもヒートアップしていく。しかし、TAKUMAは「もっと来いッ!」「かかってこいや!」と、どこまでもフロアに燃料を投入し続ける。
「MOBSTYLES、15周年? 30周年、いや80周年やれ! 何回もやろうぜ、めっちゃ面白いから!」とMOBSTYLESの15周年に独創的な祝福の言葉を贈ると、「マジでボッコボコにしてやるから、かかってこいやァ!!」と叫び、3ピースの痛快なるバンドアンサンブルでオーディエンスに襲い掛かった。
MOBSTYLESの15周年記念ライブということで、彼らにも何か感慨深いものがあったのかもしれない。TAKUMAは堰を切ったように「何かをやり遂げた時、何かを成し遂げた時に思い出すのは、きっとハッピーなことじゃなくて、嫌だったり苦しかったりした時のことやと思う。音楽の良いところは、嫌なこと、理不尽なことを忘れさせてくれるところでもある。でも、思い出したくもないことと向き合わせてくれるのも音楽なんや」とまくし立てる。フロアはさっきまでの熱狂が嘘のように静まり返り、マイクを介さずにオーディエンスに語りかける彼の言葉に深く聞き入っていた。
「その向こうへ」「蜃気楼」で再びフロアに熱狂の渦を巻き起こすと、ラストは新木場STUDIO COAST中にシンガロングがこだました「goes on」。東京公演のフィナーレを盛大に飾ると、アンコールではリオン武選手のモノマネで会場を沸かせつつ、「2%」でフロアにモッシュとダイブの嵐を呼び起こし、ステージを後にした。ド派手なライブパフォーマンスの中で、10-FEETが渾身の力で描いてみせたメッセージは、会場のオーディエンスの胸に忘れられない鮮烈な感動を刻んでくれたはずだ。
【 取材・文:大山貴弘 】
セットリスト
MOBSTYLES 15th Anniversary TOUR
"FIGHT & MOSH"
2015.3.9@新木場STUDIO COAST
THE STARBEMS
- MAXIMUM R&R
- Let Lights Shine
- WORKING YOUTH
- VANISHING CITY
- チェインギャング
- BURNING HEART
- HUMAN RIGHTS
- SWEET NOTHING BLUES
- THE CRACKIN’
- DESTINY
THE BACK HORN
- 雷電
- サニー
- 罠
- 生命線
- 世界中に花束を
- ビリーバーズ
- コバルトブルー
- 戦う君よ
10-FEET
- 4REST
- RIVER
- focus
- MOB ~45 BOMBSTYLE~
- 1sec.
- その向こうへ
- 蜃気楼
- goes on
- 2%
お知らせ
MOBSTYLES 15th Anniversary TOUR
"FIGHT & MOSH" ~浮かれちゃうよね!浮かれちゃうよね!そりゃ浮かれちゃうよね!!!~
2015/04/18(土)石垣島フサキリゾートヴィレッジ特設会場
出演:10-FEET、BRAHMAN、ROTTENGRAFFTY、LOW IQ 01&THE RHYTHM MAKERS(トリオ)
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。