恵比寿リキッドルームワンマンも決定! 駆け出した才能、Mrs. GREEN APPLEの新作『Variety』リリースパーティ
Mrs. GREEN APPLE | 2015.07.30
今、10代20代の若い層を中心にした早耳な音楽ファンの間で注目を集め、急速な勢いで話題の中心となりつつあるバンドがいる。それがMrs. GREEN APPLEだ。当サイトでも先立ってインタビューを掲載したが、7月8日にミニアルバム『Variety』でメジャーデビューしたばかりの彼らは平均年齢20.2歳、バンドの核として作詞・作曲・編曲すべてを手がける大森元貴に至っては18歳というまさしく新世代な5人組。そうした世代感が若いリスナーには共感と近しさを呼び、またそれだけに止まらない図抜けた音楽センスは大人のロックファンにも驚異と感嘆をもたらして、この先いっそう大きなうねりを起こすに違いない。7月20日、渋谷eggmanにて開催されたメジャーデビューミニアルバム・リリースパーティー“Variety is Variety”のステージにそう確信した。
3連休の最終日にして海の日でもあるこの日、猛暑続きの東京でもeggmanは抜群に暑く、そして熱かったはずだ。チケット発売開始からわずか2分でソールドアウトという狭き門をくぐり抜けた猛者たちで埋め尽くされたフロア。開演前から場内は尋常じゃない期待感でパンパンに膨らんで今にもはち切れそうだ。この熱気に触れているだけでもMrs. GREEN APPLEというバンドのポテンシャルの深淵を覗き込むような心地がして、そら恐ろしくさえ思えてしまう。
パーティーの始まりはゲストのHOWL BE QUIETがパワフルに盛り上げた。仲間を心から祝福したキレのあるプレイでオーディエンスを掻き立て、存分に温まり切った空気と熱狂のバトンを、控えるMrs. GREEN APPLEに渡す。興奮はひたすらに冷めやらぬまま、セットチェンジのため白い幕に覆われたステージがいよいよ露になった途端、凄まじい歓声とともに登場した5人めがけて雪崩を打った。いきなり針を振り切るフロアのボルテージ。しかし、まるで呑まれることなく、ステージの彼らは不敵に佇んでいる。ライヴの口火を切ったのは『Variety』から「リスキーゲーム」だった。奔放勝つ飄々として、けれど全神経をフルに行き渡らせなければけっして鳴らせないだろう音が重なりあい絡まりあって織り上げられるアンサンブル。彩り豊かで繊細で、それでいて分厚くポップな独自の音世界にたちまち心掴まれた。
「いよいよ来ました“Variety is Variety”、みんな、楽しみにしてましたか! 僕たちもすごく待ち遠しくて楽しみにしてきました。みんなとこの日を迎えられてホントにうれしいです。最高の1日にしましょう!」
はずんだ声でそう告げる藤澤涼架(Key.)に応えて盛大な拍手が起こる。
「暑いね、暑いよな。3曲やってこんなアッツいんだもん、みんなもすごく暑いと思うんだ。気をつけてね。ホント暑いから」
大森元貴(Vo.& G.)が“暑い”を繰り返すたびに笑いが起こるも、「バンバンいくからよろしくお願いします!」と次の「WaLL FloWeR」をタイトルコールすると歓喜に沸き上がるオーディエンス。ステージとフロアとのすっかり息の合ったやりとりを微笑ましく思う間もなく、またもきららかなMrs. GREEN APPLEサウンドの奔流に圧倒されてしまう。
それにしてもこれが20歳前後の若者たちの、メジャーデビューしたばかりのバンドの生み出すアンサンブルだろうか。藤澤が奏でる旋律は演奏に華やかな抑揚を与え、若井滉斗(G.)のエッジの効いたギターが推進力となってバンドを牽引する。?野清宗(B.)の刻むビートは文字通り基盤であって揺らがず、紅一点・山中綾華(Dr.)が自在に叩き出すリズムはそのまま楽曲の、あるいはMrs. GREEN APPLEの鼓動そのものだ。そして何より大森の歌が強い。大森の綴る歌詞はハッとするような生々しさを宿しながらもどこか俯瞰した視点を感じさせ、時にあどけないようでいて力強くエモーショナルな歌声はキャッチーなメロディに乗って聴く者の胸をまっすぐに刺す。これらが隙なくガッチリと噛み合い、音楽となって降り注ぐのだから、手を伸ばさずにいろと言うほうが無茶だろう。「L.P」や「ゼンマイ」など随所に散りばめられたコーラスワークも素晴らしい。すでにバンドとしてのスタイルができあがっていると唸らされる一方で、伸びしろもたっぷりと感じさせてくれるから、そのポテンシャルは計り知れない。
『Variety』はMrs. GREEN APPLEにとってメジャー初作品ではあると同時に通算3作目のミニアルバムであり、ゆえにリリースパーティーと銘打たれてはいるものの、『Variety』のみならず、1st『Introduction』(ライヴ会場限定リリースのため現在は生産終了)や2ndの『Progressive』からの曲、またアルバム未収録の楽曲もふんだんに演奏され、あっという間に本編はラスト1曲を迎えた。「ちょっとここでお話をひとつ」と前置いて改めてマイクに向かう大森。自身も大好きなHOWL BE QUIETと一緒にこうしてリリースパーティーができたこと、みんながこうして集まってくれたことがすごくうれしい、と言ったあとに続けてこう語った。
「やっぱり楽しいことは終わっていくんですよね。3月26日にこの企画を発表したときからずっと、すごい楽しみで。でも今日を迎えちゃうっていうことは、同時に終わっちゃうってことだと思うと、とっても寂しくて。小さいところからライヴを始めて、ちょっとずつだけど、みんなが僕たちを見つけてくれて本当にうれしいんだけど……でも、みんながいつまで俺らのことを好きかわからないし、俺らもいつまでミセスをやるのか正直わからない。でも今が楽しいんですよ、とっても。終わっちゃうことを考えちゃうんだけど、今楽しいからOKだなって、今日すごく思わせてもらいました。みんなもそうしょ? 明日のこととか1年先とか10年先とかわからないけど、今こうやってライヴして、みんなが僕の顔を見てくれてる、僕の言ってることを“聞こえてる”んじゃなくて、ちゃんと“聴いてくれてる”。こんな幸せなことはないです。飽きてもいいから、今好きでいてください。OK?」
eggmanに集った全員が「OK!!!!!!!!!!」と声を揃える。そうして少し長めの言葉の最後を大森は「もっと大きいところに一緒に行きましょう」と結んだ。その約束の確かさに、何かがすとんと腑に落ちる心地がした。彼らのその年嵩らしからぬ佇まいは、自分たちの足で責任を持って立とうとしているから、若さにも状況にも甘えていないからこそのものだ。自分たちでちゃんと尻を拭う覚悟でもって今日を迎え、全身全霊で音を鳴らしているのだ、と。年齢など関係ない。むしろ若ければこそ否応なしに将来を見据え、考えざるを得ないこの時代、夢を現にすることが限りなく絵空事に近いということを彼らは知っているのだろう。そのうえで今、こうして目の前のステージに彼らはいる。本編ラストに演奏されたのは「パブリック」、バンドを組んだ当時からやっていて、最近はやれていないというこの曲にほとばしる遮二無二な情熱がダイレクトに響いた。
アンコールでは12月に東名阪でのワンマンツアーが決定したという、うれしいニュースも発表された。開かれたばかりの扉の先に広がる世界を、駆け出したMrs. GREEN APPLEの道のり、その先の景色を、彼らとともに是が非でも見たい。
【取材・文:本間夕子】
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リリース情報
お知らせ
赤色のグリッター×Mrs. GREEN APPLE presents 「赤と緑のホショクツアー」
2015/08/18(火) 福岡 graf
2015/08/20(木) 香川 TOONICE
2015/08/24(月) 愛知 CLUB ROCK’N’ROLL
2015/08/25(火) 長野 ALECX
2015/09/01(火) 広島 CAVE -BE
2015/09/02(水) 京都 MOJO
2015/09/04(金) 宮城 PARK SQUARE
Mrs. GREEN APPLE presents 「Mrs. ONEMAN LIVE ~武装と創と造~」
2015/09/26(土) Shibuya WWW
Mrs. GREEN APPLE presents 「Mrs. ONEMAN TOUR~東と名と阪~」
2015/12/16(水) 大阪 Music Club JANUS
2015/12/17(木) 名古屋 ell. fits all
2015/12/24(木) 東京 ebisu LIQUIDROOM
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。