ニュー・アルバム『XENO』を掲げ、東名阪で行われたCrossfaithの国内初ワンマンツアー"Crossfaith Japan Tour 2015"は、9月23日のZepp Tokyoでファイナルを迎えた。海外での大規模フェスへの参加を含め、内外のツワモノ達と張り合ってきた彼らのワンマンである。どれだけのパワーが発散されるのか、期待は高まる。しかもこの日は、脳内出血のために長期療養を余儀なくされたギターのKazuki Takemuraが復帰し、メンバーはもちろん、ファンにとっても非常にメモリアルな公演となった。

　場内の照明が落ちると、“ウォ~！”という地鳴りのような歓声とともに手拍子が起こる。テンションを高めるアルバム1曲目の「System X」に導かれ、メンバーがステージへ。前線に向かって移動するオーディエンスも気合十分。続く「XENO」で、一気にパワーが放出され、Zepp Tokyoはフェス会場のような空間へと変貌していく。ボーカルのKenta Koieが「Tokyo!!! C’mon!!!」と叫び、オーディエンスを焚きつける。その後も『XENO』からのキラーチューン「Raise Your Voice」では、観客から“Raise Your Voice!!”の大合唱が起こるなど、ステージとフロアの距離が瞬く間に縮まっていく。

　最初のMCでKoieは「乾杯！」とビールに口をつけてから、ワンマンツアーに至るまでの思いを語り始めた。

「初めて東京でやったライブは忘れもしません。渋谷Cycloneというライブハウスでした」

　そして、そこで出会った仲間やオーディエンスのおかげでここまでこれたと語りかけた。

「どこでライブしていても、お前らのことを忘れたことはありません」

　そして、次のブロックでは2009年にリリースした1stアルバム『The Artificial Theory For The Dramatic Beauty』から「Blue」を披露。新しい曲の中にあっても、色あせない楽曲のパワーを見せつけた。

　中盤では映像が流れ、そこには何とギターのKazuki の姿が！　次の瞬間、ステージに登場したリアルな彼自身にスポットが当たると、観客からは大きな声援が上がった。その勢いを受け止めるように 「Monolith」「Devil’s Party」「Ghost In The Mirror」など、アグレッシヴでワイルドなパーティーチューンが炸裂。Kazukiが再びプレイする瞬間を待ちわびたファンにはたまらなかったことだ ろう。後半ブロックの前にはKazuki自ら、復帰に至るまでの思いを語った。

「ただいま！　ちょうど去年の今頃、左手が思うように動かなくなって、診断されたのが脳内出血??今まで感じたことのない恐怖と不安で理解しきれないものがあって、人生で初めて心がグシャグシャになって??。バンドをやめてしまおうと思ったこともありました。でも、そんな時でもみんなのメッセージが僕に届いて。それを見た時、俺らがやってきたことが、こんなにたくさんの人に届いていたのかと思ったら、初めて笑いながら涙が出ました」

　KazukiのMCのあと、Koieは「俺らはもっともっと前に進んで行きます。今日、Crossfaithはもう1回始まります！」と、次フェーズへの意気込みを語って、ラストブロックへとつなげた。「Scarlet」「MADNESS」、そして「Snake Code」などでフロアを激しく揺らしていく。ステージ上では、Koieに負けじと動きまくるTeru（Program, Vision）が、フロアにダイブするというおなじみのパフォーマンスで沸かせ、本編はウォール・オブ・デスを引き起こした「Countdown To Hell」で熱く終了。

　熱気はアンコールへと持ち込まれ、まずはドラムのTatsuyaが華麗なドラムソロで魅了する。高速かつパワフル、スティックまわしでも場内を盛り上げる華やかさは、まさに新世代のドラムヒーローだ。ソロを終えるとTatsuyaはドラムセットを離れ、ステージ前方へ。そして、ベースのHiroとともに、左右からゴムボートでオーディエンスの頭上でフローティング。この遊び心ある時間帯のあとは、「Omen」で満員のオーディエンスを踊らせ、いよいよラストナンバーへ。KoieはKazukiのかわりに、サポートギターをつとめてきたTamaを呼び込み、貴重な6人の Crossfaithとして「Liviathan」をプレイ。賑やかにツアーを締めくくった。ヘヴィーな状況を乗り越え、メンバーはもちろん、ファンとの絆を深めた彼らは、これまで以上に逞しくなったように感じる。アルバムからの新曲達も見事にキラーチューンに育て上げ、次へのステップを目指す彼ら。この秋は、SkindredのUKツアーのメインゲストとして英国での公演も決定している。パワーアップした彼らは、より多くのロックファンを魅了することだろう。激しさはもちろんだが、歌えるメロディーラインは、この先も世界各地に飛び火するに違いない。サムライ達が切り開く光景が今後も楽しみだ。

【取材・文：海江敦士】