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グッバイフジヤマらしい成功のカタチ。渋谷クアトロツアーファイナルワンマン!

グッバイフジヤマ | 2015.11.16

 グッバイフジヤマが渋谷クアトロのステージに立つ1ヵ月ぐらい前、中山卓哉(Vo・G)は、クアトロワンマンに向けてTwitterでこんなことをつぶやいていた。「まだ僕等には早すぎるけど、すごく頑張って成功させたい」。バンドマンにとって渋谷クアトロは、東京での大きな目標となる会場でもあり、多くの人気バンドの通過点となったハコでもある。キャパシティはおよそ800人。結成4年目でグッバイフジヤマが挑んだ初の渋谷クアトロワンマンは、惜しくもソールドアウトこそならなかったが、多くのお客さんが駆けつけたフロアには、この世代のバンドには珍しく、若い世代のみならず幅広い年代のリスナーが集まるという、このバンドらしい「成功」を収めたライブだった。

 最新ミニアルバム『スイートセブンティーン』の1曲目でもある「HELLO」からライブはスタートした。ビートルズやフジファブリックといった、ルーツに根差したグッバイのポップミュージックが瑞々しく会場に響き渡った。「赤い自転車」や「レノンとマッカートニー」で、中山がまくしたてる早口のボーカルスタイルはandymoriを彷彿とさせる。歌うように奏でる小島“lue”秀和(G)のギター、グッバイのタイトなビートを支える中澤健介(B)と高原星美(Dr)のリズム隊。「スイートセブンティーン」では、ゲストで迎えたTHEラブ人間・谷崎航大によるバイオリンもその賑やかなサウンドに彩りを添えた。

 「今日は最後まで楽しんでくれますか?」と問いかけたMCもそこそこに、続けて披露されのは、東京で生きる葛藤を歌った「戦争しましょう」、《退屈を殺す 僕のギターで》と繰りかえす「This is pop!」といったナンバー。聴けばつい楽しくなってしまうような陽気なサウンドがグッバイの魅力だが、ときどき顔を出すグサッとくる言葉遣いは、ソングライティングを手がける中山の内に秘めた激しさが表れている。「バンドを続けたい」という想いを込めて、新曲として披露された「BOYS IN THE BAND」では、「拍手なんかいらないんだよ!拳を握れ!歌えるだろ!?」と、叫ぶ中山。この瞬間が、この日、中山にエモいスイッチが入った瞬間だったと思う。大学のとき、彼女にフラれて作ったという「きるみべいび」にしても、軽やかでポップな曲すら、中山が歌うとやたらやるせない曲になってしまう。

 ドラムの高原が振り付けをレクチャーした「やまぐちみかこに騙された」、みんなで歌うサビが楽しいライブの人気曲「ひばりくんの憂鬱」、さらに、この日2曲目の新曲として披露された性急でノリのいいナンバー「でぃすとらくしょん!」(しかし、この曲も歌詞がシニカルだった)など、1曲1曲がとても短く、完結に綴られるグッバイの楽曲がテンポよく次々と披露されていった。そして、来年の活動に向けての告知で会場を湧かせたところで、「ぼくらが旅に出ない理由」や「いつかのリグレット」などのミディアムなナンバーをしっかりと聴かせる。繊細に重なり合うギターのリフと、シンプルの演奏のなかで、一層映えるセンチメンタルなメロディにフロアはうっとりと聴き入っていた。

 ワンマンでは恒例となっているギターの小島による桑田佳祐のカバー「TSUNAMI」から、いよいよライブは終盤へと突入していった。あの夏の甘酸っぱい気持ちが蘇る「あの日の僕等に会いに行く」、そして「生きてるとよく道に迷うときがある。そういう曲です」(中山)と言って、ピンク色の照明を受けながら披露した「さくらの唄」へ。季節をめぐるナンバーを情感豊かに届けると、ラストナンバー「はっぴいえんど」では、ミュージックビデオにも出演した、ゆるめるモ!の”あの“が登場。サポートのバイオリン谷崎と、キーボード0°C PARADEのmisao も招き入れて、総勢7人がステージに立つ華やかな大円団となった。

 アンコールでは『スイートセブンティーン』のレコーディングの合間に4人で作ったという「オレンジ」が披露された。ドラムの高原もタンバリンを手に前に出て、4人全員がステージ前面で一列に並ぶというアコースティック編成。そして最後にバンドの演奏をバックに中山が、「4年前にサラリーマンを辞めると言ったとき、お母さんは「好きにしなさい」と言ってくれました。だから、全力でやらなきゃと思ってここまできて、今日はたくさんの人に来てもらえて嬉しいです」と語りかけると、バンドをはじめたとき、いちばん最初にできた曲「星めぐりのこどもたち」が披露された。《いま僕はこんなところで燻ったまま 絶望ごっこを繰り返してるのでしょう/「うるさいな」 そんなこと言ってかっこをつけるのはもうんざりなのです》。そんなふうに歌うグッバイフジヤマ夜明けの1曲は、ここから何かが始まっていく、そんな胎動するエネルギーと衝動を秘めていて、この渋谷クアトロから、また新たな一歩を踏み出していくであろうバンドの姿にとても相応しかった。

 グッバイフジヤマは来年2月から、全国の初めてライブをやった会場を訪れるワンマンツアー「初心を大事に!」が決定。東京はもちろん彼らのホーム、高円寺CLUB LINERだ。

【取材・文:秦理絵】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル グッバイフジヤマ

リリース情報

スイートセブンティーン

スイートセブンティーン

2015年09月09日

Ladder Records

1.HELLO
2.レノンとマッカートニー
3.やまぐちみかこに騙された
4.はっぴいえんど
5.めんどくさがりな僕とおせっかいな君
6.スイートセブンティーン

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お知らせ

■ライブ情報

グッバイフジヤマ ワンマンツアー2016
“初心を大事に!”

2016/02/06(土)新高円寺CLUB LINER
2016/02/11(木・祝)名古屋・栄TIGHT ROPE
2016/02/12(金)大阪・南堀江knave
2016/02/14(日)福岡・薬院UTERO
2016/02/19(金)仙台PARK SQUARE

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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