今年7月に、ミニアルバム「OLest」でメジャーデビューを果たしたCharisma.comが、そのリリースを記念したワンマンツアー「No more ZANGYO！」を開催した。大阪、名古屋、福岡、そして東京。ファイナルとなった恵比寿LIQUIDROOMには、週末だし、カリスマだし、残業なんてしてられないし！と駆けつけたオーディエンスがギッシリ!!なんかもう、今夜はすんごいことになりそうだなという予感ヒシヒシで開演を迎えた。

　フロアに鳴り響く電話、キーボードを叩く音、窓際の観葉植物、人のざわめき。明かりが点いたそこは、まさしくオフィス。ロボットのように働く3人のOL、そのうちのひとりがDJ ゴンチだ。さまざまな電子機器の音がやがてリズムを刻み始め、盛り上がりが最高潮に達したところで「ごきげんようーー！！」とゴンチが叫ぶ。「東京ファイナル！恵比寿LIQUIDROOM、最後まで盛り上がって行きましょうーー！！」。1曲目「イイナヅケブルーremix」のイントロが始まっても姿が見えなかったMC いつかは、なんと、ただのセットだと思っていたロッカーの中から姿を現した。オーディエンスの予想と期待を遥かに上回る演出に、歓声とざわめきが止まらない。前のめりで攻撃的、バッキバキないつかのマイクパフォーマンスに釘付けだ。ロックなギターのフレーズがクールな2曲目の「お局ロック」では、真っ赤に光る特製脚立が登場。いつかは「準備はいいか！恵比寿！歌え！」と煽りながら、OL姿の２人のダンサー(ナノイ＆マルコ)とともに目でも楽しめるステージングで沸かせていく。「やれよ。」、「超絶に胸が痛んでるあなたの上司」と最新作からのナンバーを連打。Charisma.comの本気を見せつけるような、痛快な前半4曲だった。

　MCでは、「みんな残業しないだけあったね。金曜日の7時半にこんなとこに来れるなんて、そうとう仕事が出来るんだね(笑)。でも大体腰掛けって顔してるかな(笑)」、「みなさん持ち物大丈夫？1個目は日頃のうっぷんなんだけど、尋常ならぬオーラを感じるよね(笑)。2つめはお金ですよ。え？給料日なの？じゃあ全部下ろしてきてグッズ買ってください(笑)」と、いつかが毒づくほど爆笑になる会場。「今日はここでどんなに中指立てても怒られないから！」と前置きして日頃のうっぷんを晴らす為の新曲「GODcustomer」では、その言葉どおり、オーディエンスが一斉に中指を立てて「FUCK YOU BABY！」を連呼した。

　セットリストではカウントされていないが、中盤のMCのコーナーは、鍵盤にキクチ部長(＝きくっちゃんfrom夕食ホット)を迎え、味気ない事務椅子に腰掛けながらいつかが雰囲気たっぷりに「黄昏各位」を披露。その後は「ゴンチの婿探しの歌」という「マメマメBOY ガサツGIRL」を挟んで、ゴンチのDJ TIMEへ。”給水タイム”も兼ね、渋家のVJでガッツリ空間を演出しながらオーディエンスを踊らせつつ、後半はいつかがDJお局、ゴンチがMC腰掛けとなってグダグダなラップを披露した「ダリぃだらりん」で盛り上げる場面も。”とんがりポーズ”で会場がひとつになった「とんがりヤング」、カオスなエネルギーが渦巻いた「こんがらガール」?「GEORGE」、ダンサーと共に4人で踊った圧巻の「イイナヅケブルー」。曲のメリハリだけじゃなく、トークもダンスも演出も、とことん振り切って観客を楽しませようというスタンスが絶妙なバランスで詰め込まれた中盤戦だった。

　「Charisma.comって、ちょっとコワいってイメージが定着してるらしいんですよ。それ、遺憾です。まぁ私の要因がすごい強いんですけど。私は怒れるOL代表。で、今日わかったと思うけど、あっちはイカれてる代表ね(笑)」といつかがトークを展開していくが、ゴンチにペースを乱され、またまた怒るいつか(笑)。マイペースなゴンチの態度に噛み付きながら「どう思う!?そりゃ、曲書けるわみたいなところ、あるでしょう!?」とオーディエンスを味方に付けて笑わせながら、テンポよく後半へ突入。「さっきの「イイナヅケブルー」まではデトックスゾーンで、ここからはヒーリングゾーンだから。Charisma.comにそんなのねーじゃんって思ってると思う。そうです(笑)。現実を突きつける歌詞を、柔らかな音で歌ったみたいな感じ(笑)？」ということで、「Mr.BEER」、「OL HERO」、「アラサードリーミン」の3曲を。リアルなOLあるあるで日々のうっぷんを晴らすだけじゃなく、それでもやってくる明日への活力をくれるのもまたCharisma.comの曲の軸となっている効能だ。本編を終え、「今日はどうもありがとうございました。定時なので帰ります(笑)」と２人はステージを後にしたが、アンコールを意味する「残業コール」がさっそくわき起こる。

　銅鑼を合図にどデカいフラッグを掲げたダンサー２人が登場し、サービス残業という名のアンコール1曲目は新曲！その名も「豚」！「マジでエラそう何様のつもり」「いい年こいて永久にヒラ」といった痛快なワードとファンキーなコール＆レスポンスで盛り上がる1曲だ。「私、最近そんなに怒ってなくて。怒ってるイメージ付いてるから、みんなが腫れ物に触るような感じで全然ストレスがたまってない(笑)。ごめんなさい、ハッピーです(笑)。曲書けなくなるんじゃないって心配されたけど、それで出来たのが「お局ロック」と「豚」だったから安泰だなと(笑)。あたしってあたしだと思った(笑)」といつか。2曲目の「HATE」ではお客さんに1フレーズを歌ってもらうというあらたなコーナーが設けられ、抽選で選ばれた女性が見事な「が・め・つ・く・ストロング！」を披露。会場を盛り上げた。ツアーファイナルのアンコール、最後の最後はズンズン響く低音がフロアを揺らした「100％ブービー」。気が付けば”オフィス”は完全にクラブと化し、週末の夜を熱狂の渦に巻き込みながらCharisma.comのZANGYOは終了した。

　終演後のスクリーンでは、来年春にミニアルバムをリリースすることと、詳細はクリスマスに行なわれるザ・チャレンジとの「ツーマンミュージカル「Christmas Kiss 2015」」で発表されることがアナウンスされた。このツアーはもちろん、今年はチボマットらを迎えたツーマンライブ「Charisma.GUEST」や、フランス・パリでのイベント出演など、ライブの面でもたくさんの挑戦と試行錯誤を重ねてきたCharisma.com。彼女たちが挑む次なるアクションに期待したい。

【取材・文：山田邦子】
【写真提供：ワーナーミュージック・ジャパン】