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Eir Aoi Special Live 2015 WORLD OF BLUE at 日本武道館ライブレポート

藍井エイル | 2015.11.13

 象徴的なブルーのサイリウムが真っ青な海のように武道館を染め上げると、ステージの後方、一段高くなった場所から、藍井エイルが登場した。オープニングナンバー「アヴァロン・ブルー」から、へヴィで重厚感のあるロックサウンドが会場の空気をビリビリと震わせる。エイルバンドにはバンマス重永亮介(Key)をはじめ、土屋浩一(G)、新井弘毅(G)、黒須克彦(B)、楠瀬タクヤ(Dr)といったポップス/ロックシーンで重要な役割を担う錚々たるメンツが終結、さらにこの日は12人編成のストリングス隊も加わった豪華な布陣。鋭いレーザーがお客さんの頭上を飛び交い、ステージを華やかに彩る光の演出のなか、「AURORA」「GENESIS」では藍井エイルの歌声が力強くも、どこか儚さと憂いを湛えながら武道館に響き渡った。

 4曲を終えると、客席からは「エイルー!」と熱い声援が飛んだ。「WORLD OF BLUEの世界へようこそ。1週間ぐらい前から眠れなくなって。いつもはたくさん食べるのに、緊張で今日はスープだけです(笑)」と、初の武道館に立つ歓びを語った藍井エイル。「Back To Zero」では、メラメラと燃える炎のなかで、お立ち台の上で膝をつき、激しく感情を叩きつけるように歌えば、ダークな世界観の「クロイウタ」では、その声が妖しげに揺れた。曲によって様々な表情を見せる藍井エイルの変幻自在のボーカルも彼女が愛される理由のひとつだ。そんな藍井エイルが学生時代から大好きだったというバンドAoの安田貴広(Vo・G)と共にセンターステージで披露した「Roses」。ストリングスが重なり合う雄大で美しいシンフォニーを聴かせ、ライブ前半のハイライトとなる光景を生み出した。

 息つく間もないほどスピーディに展開するライブが中盤にさしかかると、世界へと活動の舞台を広げている藍井エイル本人が、各国で撮影したという写真が次々とスクリーンに映し出された。衣装チェンジをして再びステージに姿を現すと、ワールドツアーのなかで自身が感じたことを楽曲で伝えたいという願いを込めて、「青の世界」が披露された。今回のツアーのタイトル“WORLD OF BLUE”にも通じる大切な1曲。スクリーンに映し出された青い地球の前で、《幸せに気付けたなら 目を開いて 明日へと踏み出せるよ》というフレーズを、祈るように歌う姿が印象的だった。

 GLAYのHISASHIが楽曲プロデュースを手がけた最新シングル「シューゲイザー」から、いよいよライブは怒涛のラストスパートへと突入する。歪んだギターにのせた、どこか懐かしさを感じる美しいメロディを伸びやかに歌う藍井エイル。ステージ前方に伸びたセンターステージの先端でアグレッシヴにフロアを煽り、ウォイ!ウォイ!と熱いレスポンスが起こした「INNOCENCE」から、8,000人のシンガロングを巻き起こした「Bright Future」そして「シリウス」「IGNITE」へ、お客さんを巻き込みながらフィナーレに導いていく。その堂々たる存在感は、この武道館で数々の熱き名演を繰り広げてきたロックボーカリストたちの姿に重なる。そして、「夢を叶えてくれたのは、みんなです!ありがとう!!」と叫び、エキゾチックなラストナンバー「ラピスラズリ」を歌い終えると、凛とした表情のままステージ本編を後にした。

 お馴染みの「エイエイ!ルー!」というコールが武道館いっぱいにこだまするなか、アンコールはストリングスの厳かな演奏から始まった。そこにピアノが美しく絡み合い、藍井エイルのボーカルがしっとりと加わる。ステージの天井を夜空のように無数の星を映し出し、披露されたのは、デビュー曲「MEMORIA」のオーケストラバージョンだ。ここまで全20曲を披露してきてなお、全く衰ることない声量と表現力に息を呑んだ。

 メンバー紹介では、バンマスを務める重永が「まだ初めてのワンマンのときに、エイルが3年後に武道館に行きます!と言っていて、それを今日本当に実現させました。」と、藍井エイル自身がこの日の武道館に賭けてきた想いを振り返ると、それまで気丈に振る舞っていた彼女の目から涙があふれ出した。いちばん近くで夢を共有してきたバンドメンバーの言葉に、こらえていた想いが、いっきに溢れ出したのだ。「すごく嫌だけど、次でラストです!」と震える声でラストナンバー「ツナガルオモイ」へ。この日、何度も口にした武道館で歌えることの歓びと感謝をあらためて皆に伝え、「想いはちゃんと歌を通して届けることができましたか? 繋がることができますか?」と問いかけながら、ありったけの力で熱唱。こうしてたくさんの“ありがとう”と“おめでとう”に満ち溢れた藍井エイルの武道館初ワンマンは幕を閉じた。

 いまや海外にも活躍の場を広げ、ますます知名度をあげている藍井エイル。一つの目標だった日本武道館ワンマンを成功させ、これからまた彼女がどんな高みを目指してゆくのか、今後もその活躍から目が離せない。

【取材・文:秦理絵】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル 藍井エイル

リリース情報

シューゲイザー

シューゲイザー

2015年10月28日

SME Records

1. シューゲイザー
2. HaNaZaKaRi
3. 騙された羊
4. シューゲイザー(Instrumental)

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セットリスト

Eir Aoi Special Live 2015 WORLD OF BLUE at 日本武道館
2015.11.2@日本武道館

  1. アヴァロン・ブルー
  2. シンシアの光
  3. AURORA
  4. GENESIS
  5. KASUMI
  6. Back To Zero
  7. クロイウタ
  8. A New Day
  9. Roses
  10. 虹の音
  11. コバルト・スカイ
  12. サンビカ
  13. ゆらり
  14. 青の世界
  15. シューゲイザー
  16. INNOCENCE
  17. Bright Future
  18. シリウス
  19. IGNITE
  20. ラピスラズリ
Encore
  1. MEMORIA-orchestra ver.-
  2. HaNaZaKaRi
  3. ツナガルオモイ

お知らせ

■ライブ情報

Eir Aoi LIVE TOUR 2016 ”D’AZUR-EST”
2016/03/19(土)HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
2016/03/21(月・祝)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2016/03/26(土)仙台 Rensa
2016/03/30(水)名古屋 ダイアモンドホール
2016/04/03(日)Zepp Tokyo
2016/04/08(金)金沢AZ
2016/04/10(日)長野 JUNK BOX
2016/04/14(木)松山 サロンキティ
2016/04/16(土)広島 BULE LIVE HIROSHIMA
2016/04/22(金)福岡 DRUM LOGOS
2016/04/24(日)熊本 Be.9 V1
2016/04/29(金・祝)旭川 CASINO DRIVE
2016/04/30(土)札幌 ペニーレーン24
2016/05/06(金)神戸 VARIT
2016/05/08(日)京都 MUSE
2016/05/11(水)大阪 BIG CAT

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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