「"PLAYGROUND"は遊び場、最高の遊び場を作りに来た！」というKOJI（Vo/B、SWANKY DANK）の言葉に嘘偽りはなかった。バンドと観客が泥んこになり、時が過ぎるのを忘れて一緒に汗をかく濃密な場所を作り上げた。

　SWANKY DANK主催の東名阪の４カ所で行われる初のイベントツアー「SWANKY PLAYGROUND TOUR」２日目は、あのバンドと初の２マン形式となった。そう、トップを飾ったのはMY FIRST STORYだ。彼らは先月、Sho（G）が年内を最後にライヴ活動休止というニュースが飛び込んできた。しかし、ライヴ自体はそんな陰を微塵も感じさせない凄まじいライヴだった。９月のZepp Tokyo公演はパイロとスモークを大量に導入したエンタメ性の強いステージだったが、今日はシンプル極まりない真っ裸のマイファスをとことん堪能できた。

　「飛ばして行こうぜ、リキッド！」というHiro（Vo）の掛け声を合図に「ALONE」で幕を開けると、重厚な演奏力で爆音を轟かす。Shoはその場でクルクル回ってギターをプレイするなど、華やかなパフォーマンスでも耳目を奪った。「最終回STORY」では剛柔のギャップ激しい音像で観客をグイグイ引き込む。また、同期を用いた「monologue」の曲中にHiroは「リキッド一切休ませないぞ。お前らの顔を見たらアガッた。最高のセットリストを持って来たからな！」と煽りまくる。そのロックスター然とした威風堂々たる佇まいは、観る者に無限のパワーを注入してくれるようだ。ラスト曲「不可逆リプレイス」まで１秒も隙を与えず、全力疾走で獲物を捕らえる野獣のごとき攻撃力を見せつける。

　そしてSEが流れると、観客の熱いハンドクラップが沸き起こり、遂にSWANKY DANKの登場だ。KOJI&YUICHI（Vo/G）兄弟とKO-TA（G）が円陣を組むようにSHUN（Dr）の元に集まり、「リキッドルーム元気ですかー！」とKOJIが挨拶すると、「misery」で豪快にスタートを切る。blink-182に通底する爽快な歌メロとダイナミズム溢れる演奏は、理屈なしに心も体もムズムズ騒ぐ。曲中にツインリードで見せ場を作ったり、途中でSHUNは立ち上がってドラムを叩くなど、ショウアップされた演出もかっこいい。「number」では観客総出でジャンプする光景が広がるなど、右肩上がりの熱気が生み出していく。 　それから音楽とはこういうもんだろ！と楽曲で示した「music」の突き抜けるようなアッパー感も爽快極まりない。フロアはもみくちゃで暴れる人が増え、体全体で歓喜をアピールしている。バンドと観客がお互いに熱をキャッチボールしながら、その相乗効果で会場はますますヒートアップ！

　「リキッド」、「恵比寿」とKOJIは観客とコール＆レスポンスを交わし、ここで今日の対バン相手のHiroを迎え、「Sink Like a Stone」がここで炸裂。KOJIとHiroの掛け合いやソロ・ヴォーカルパートを織り交ぜ、ラウドにポップに振り切れた曲調は赤い照明も相まって、灼熱の盛り上がりを見せる。演奏を終えると、KOJIは感慨深げに「４年前はそんなに仲良くなくて、『BONEDS』（今日出演の２バンドにBLUE ENCOUNT、AIR SWELLを加えたスプリット作）のツアー中に曲を作り、歌ってくれとお願いした」とエピソードを挿入する場面もあり、今や最高の仲間＝ライバルとしていい関係を築き上げていることが伝わってきた。

　後半は日本語がまっすぐ胸に響く「the answer」のスケール感に引き込まれ、さらに「Listen to the Radio」に代表されるようにバンドの駆動力を遺憾なく発揮した爆走チューンを連発。激しいサークルモッシュが巻き起こり、笑顔で大騒ぎする観客の姿が実に眩しかった。SWANKY DANKの底抜けの明るさとエネルギーに満ち溢れたサウンドは、まさにイベント名の"PLAYGROUND"という言葉がピッタリだ。ジャンル関係なく、無条件でアガれる楽曲ばかりなのだから。このイベントツアーは大阪、名古屋と続くので、是非とも彼らのハジケまくったパフォーマンスを体感してほしい。

【取材・文：荒金良介】