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a flood of circle、9mmとのリベンジ対バンで燃え尽きたツアーファイナル

a flood of circle | 2015.12.09

 ブルースをベイスにしたR&Rを追求する“a flood of circle”の対バンツアーAFOC presents VS tour“BATTLE ROYAL 2015”のファイナルをZepp DiverCity TOKYOで観た。
 この日の相手は9mm Parabellum Bullet。開演前のアナウンスが、8年前にデビューして間もないa flood of circle(以下、AFOC)が9mm Parabellum Bulletの前座を務めたとき、見事にノックアウトされたと告げる。そのリベンジでもあるまいが、この対バンが実現したということだ。

 先に登場した9mm Parabellum Bulletは、全力でパフォーマンスする。いつもどおりの凄さなのだが、前述のアナウンスを聞いた後だけに、手に汗を握ってしまう。そう思っていたら、ボーカル&ギターの菅原卓郎が口を開いた。
「AFOCとは、新宿ロフトで一緒にやりました。あれから8年、俺たちのコブシが再び交わるところを見て下さい。前口上でノックアウト勝ちって言ってたけど、俺たちはチャンピオンのつもりはない。俺たちとみんな、俺たちとAFOCのガチのぶつかり合いです。今日は真っ白に燃え尽きたい。みんな、行けるかぁ?!」。
  その言葉に偽りなしの全力ライブ。先入観なしのガチンコ対決となった。

 主催者にして挑戦者のAFOCがステージに現われる。対バンの意図をしっかり受け取ったオーディエンスが大歓声で迎える。
「おはようございます。AFOCです。BATTLE ROYAL 2015に、ようこそ。最高の時間にしましょう」と、ボーカル&ギターの佐々木亮介がいつもの口調で後半戦の開始を宣言。“最高の時間”=「Golden Time」からライブがスタートする。
 渡邊一丘のタイトなドラムに、弾むグルーヴを付け加えるようにベースのHISAYOがピョンピョン跳ねながらプレイする。右端に陣取る若いギタリストは、ゴールドトップのレスポールがオーセンティックなロックのフレーズを繰り出す。爆弾ジョニーのギタリストのキョウスケだ。

 前半戦とはタイプの違う爆音がDiverCity TOKYOに響き渡る。佐々木の歪みの少ないギターと、キョウスケの少し歪んだギターが合わさったサウンドが、スリリングなアンサンブルの中心を司る。
「改めましてAFOCです。みんな、よく来たね。こんなヤバい闘いはないよ。9mm Parabellum Bulletのセットリストは、完全に俺たちを殺しにきてた」と、嬉しそうに佐々木がオーディエンスに語りかける。次の瞬間、「R&Rは好きですか? R&Rは好きですか? 行くぜ!」とアオって「鬼殺し」になだれこんだ。ドラムがさらにタイトになる。今日のAFOCは単刀直入。バトルモードで飛ばしていく。
 「Trash Blues」でギアチェンジして、このバンドの繊細な一面をのぞかせる。「このバトルのために、滅多にやらない大事な曲を」と言って始まったのは、佐々木の柔らかい声が魅力的な「アンドロメダ」だった。

 フロアにはAFOCのファンだけではなく、9mm Parabellum Bulletのファンも詰めかけている。佐々木の目指すR&Rは、激しいものもあれば繊細なものもある。彼の言うR&Rは、表面的な音楽スタイルではなく、音楽の底に流れるスピリットのことなのだ。それを自分たちのファンにも、対バンのファンにも伝えたくて実行したのが“BATTLE ROYAL 2015”だ。
 その仕上げとしてAFOCは、終盤に初期の「プシケ」と、最新ミニアルバムからの 「ベストライド」を立て続けに演奏した。そして本編ラストは、最新シングルの「花」。こんなに筋の通ったセットリストは滅多にない。

 アンコールではAFOCの「Human License」の途中で、9mmのキラーチューン「Black Market Blues」にスイッチ。2コーラス目からは菅原も飛び入りして一緒に歌い、オーディエンスはこのセッションに大喜びだ。イベントのラストを「理由なき反抗」で締めくくった。

 AFOCは今年、この対バンツアーに向けて突っ走ってきたという。さらに、来年はもっといろいろなピークがAFOCを待ち受けているという。波乱に富んだバンドの歴史は、確実にAFOCを鍛え、じりじりと押し上げている。2016年のAFOCを期待させる に充分なファイナルだった。

【取材・文:平山 雄一】
【撮影:山川 哲矢】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル a flood of circle 9mm Parabellum Bullet

リリース情報

“THE BLUE”ーAFOC 2006-2015ー(初回限定盤 CD3枚組)

“THE BLUE”ーAFOC 2006-2015ー(初回限定盤 CD3枚組)

2016年02月24日

Imperial Records

[Disc1]
01.花
02.シーガル
03.Buffalo Dance
04.博士の異常な愛情
05.Human License
06.I LOVE YOU
07.Blood Red Shoes
08.The Beautiful Monkeys
09.理由なき反抗(The Rebel Age)
10.Dancing Zombiez
11.I’M FREE
12.月面のプール
13.KIDS
14.GO
15.Golden Time
16.ベストライド
17.ブラックバード

[Disc2]
01.青く塗れ
02.Miss X Day
03.プシケ
04.God Chinese Father

[Disc3]
01.象のブルース
02.SWIMINNG SONG
03.ノック
04.月に吠える
05.コインランドリーブルース
06.Yu-rei SONG
07.オーロラソング
08.The Cat Is Hard-Boiled
09.ホットチョコレート
10.花
11.ファイト!

お知らせ

■ライブ情報

AFOC x Shelter presents"ROCK’N’ROLL NEW SCHOOL <’15-’16 Count Down Party!!!>"
2015/12/31(木)下北沢SHELTER

AFOC 10th Anniversary“THE BLUE TOUR -青く塗れ!-”
2016/04/02(土)千葉LOOK
2016/04/03(日)水戸LIGHT HOUSE
2016/04/09(土)郡山HIPSHOT JAPAN
2016/04/10(日)盛岡the five morioka
2016/04/14(木)金沢vanvanV4
2016/04/15(金)新潟CLUB RIVERST
2016/04/17(日)長野J
2016/04/22(金)宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
2016/05/01(日)岡山PEPPER LAND
2016/05/03(火)鹿児島SR HALL
2016/05/05(木)大分club SPOT
2016/05/07(土)松山W studio RED
2016/05/08(日)高松DIME
2016/05/13(金)札幌cube garden
2016/05/15(日)仙台CLUB JUNK BOX
2016/05/19(木)高知X-pt.
2016/05/21(土)広島SECOND CRUTCH
2016/05/22(日)大阪なんばHatch
2016/05/27(金)名古屋DIAMOND HALL
2016/05/29(日)福岡CB
2016/06/04(土)新木場STUDIO COAST
2016/06/11(土)沖縄Output

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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