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『ROCKIN’ON JAPAN』の新世代先取りプロジェクト「JAPAN’S NEXT TURBO」完全レポート

JAPAN’S NEXT TURBO | 2015.12.15

 「ロックの明日へ行こう!」をキャッチフレーズに、音楽雑誌『ROCKIN’ON JAPAN』が取り組む新世代先取りプロジェクト「JAPAN’S NEXT」。略してジャパネク。誌面での特集のみならず、ライブハウスでの定期的なイベントや、EMTG MUSICでもお馴染みのラジオ番組『ジャパネクレディオ』など、メディアをクロスオーバーしたプロジェクトとして、面白い展開を見せている。ライブイベントは2014年のスタートから10回を数え、11回目となる今回は、「JAPAN’S NEXT TURBO」として会場は豊洲PITで開催。これまでジャパネクの歴史をともに築き上げてきた8組のバンドが熱いライブを繰り広げた。

 オープニングアクトは、元さよなら、また今度ねの菅原達也(Vo・G)が新たに始動した男女混成5人組バンド、め組。まだリリースもなく、本格的なライブ活動も少ないバンドながら、1曲目の「マイ・パルプフィクション」が始まると、その歌い出したくなるような瑞々しいポップソングがフロアを穏やかに揺らした。「みんな僕ら目当てじゃないんでしょ(笑)?」と、MCで菅原は言っていたが、この日のお客さんは新しいバンドとの出会いに貪欲だ。温かい歓迎ムードのなか、「500マイルメートル」まで5曲を終えると、見事オープニングアクトの大役を務めため組に大きな喝采が贈られた。

 「踊ってない豊洲が気に入らない!」と、1曲目「オドループ」の歌詞を一部変えて歌い出した三原健司の声とともに始まった、本編トップバッターのフレデリック。「ディスコプール」から「プロレスごっこのフラフープ」へと、まるでDJがダンスフロアで踊らせるように、切れ目なく中毒性の高い人力ダンスロックを連発していく。「今日は俺たちの“ワンマン”に来てくれてありがとう(笑)!」と、三原。その言葉すら冗談に感じないほどの一体感をフロアに生み出すと、ラストはステージをエメラルドグリーンに染めたエモーショナルなナンバー「ハローグッバイ」。《ハローグッバイ 生きる》と滾る生命力をメロディに託した1曲には、いまバンドが伝えたい大切なメッセージが詰まっていた。

 直前の音出しで披露した楽曲では、ここぞという盛り上げポイントでばっさりと演奏を中断。一斉に手を挙げたお客さんに「ひっかかったー(笑)!」と悪戯っぽくイジったのは、次に出演するMrs. GREEN APPLEだった。変幻自在なサウンドに爆発的なサビが映える「リスキーゲーム」、藤澤涼架(Key)が弾くピアノのフレーズが印象的な「アンゼンパイ」と、絶妙なバランスで織り重なる5人のバンドアンサンブルがとてもスリリングだ。そして、12月16日にリリースする新曲「Speaking」の解放的なムードから、ラスト「StaRt」のファンタジックなムードへ。まるでアドベンチャーワールドみたいなMrs. GREEN APPLEの“魅せる”ステージは、その中心にいる大森元貴(G・Vo)の存在感が大きかった。

 米田貴紀(Vo・G)が開口一番、「踊る準備はできてますか?」と言って幕を開けた夜の本気ダンス。いきなりコール&レスポンスを交えた「WHERE?」から、ハイテンションなパフォーマンスに豊洲PITは瞬く間にダンスフロアへと仕上がっていく。「壁を一緒に乗り越えていきませんか?」と、米田が問いかけて畳みかけたのは「By My Side」。マイケル(B)と町田建人(G)のリフがユニゾンする骨太なダンスロックに、オーディエンスは盛大なクラップでこたえた。会場に漂うあまりの熱気に「マイナスイオンがスゴイね」と、鈴鹿秋斗(Dr)。ファンキーなグルーヴを聴かせた「fuckin’ so tired」、攻撃的な曲調の「戦争」まで、潔いまでに本気でダンスを踊らせる、その名に恥じないステージだった。

 日常にある悲しみや歓びを何倍にも増幅させる圧巻のボーカルでフロアを打ちのめしたのはGOOD ON THE REELだ。《どこに向かえばいいですか?》と、人生の迷い子が問いかける「迷子センター」を皮切りに、ゆったりと、しかしエモーショナルなGOOD ON THE REELの歌がじんわりとフロアに沁み渡っていく。ハンドマイクで歌う千野隆尋(Vo)はステージを奔放に動き、聴き手の心をこれでもかとかき乱す。「サーチライト」から「いらない」へ。“自分自身の居場所”を探すようなナンバーが続いた。「あなたらしく、僕たちを受け取ってほしいと思います」と、静かに語りかけた千野。すべてのマイナスの感情を浄化してくれるような新曲「素晴らしき今日の始まり」の輝かしい希望の色はとても美しかった。

 イベントも終盤へと突入したところで、自称“ジャパネクの主”ことSAKANAMONが登場した。ジャパネクには4回目の出演。いきなりガツンと感情を叩き付けた「マジックアワー」、どこか懐かしくなるメロディの「ミュージックプランクトン」と、聴き手の懐にするりと入り込んでくるSAKANAMONのライブはとても居心地がいい。12月9日リリースのタワレコ限定シングル「PLAYER PRAYER」は、「ジャケットがイカです!」と紹介して、ひとしきりフロアは笑いに包まれたが、披露された楽曲はエモかった。強靭なビートにのせて、「音楽は人を救うものであってほしい」と、藤森元生(Vo・G)が願いを込めたその曲は、日頃の怒りや不満、痛みを根こそぎ吹っ飛ばす痛快なロックンロール讃歌だった。

 Czecho No Republicは、最新アルバム『Santa Fe』で結実したバンドの圧倒的なダイナミズムを豊洲PITに見せつける最強セットリストを用意してきた。色鮮やかな照明を受けて、めくるめくチェコワールドが花開いた「Amazing Parade」、軽やかなメロディが心踊らせる「Festival」に、武井優心(Vo・B)とタカハシマイ(Cho・Syn・Per)のツインボーカルが瑞々しい「MUSIC」から、シンセの音色が重なり合って昂揚感を煽る「エンドルフィン」へ。矢継ぎ早に楽曲を畳みかけたこの日は、たくさんの曲を聴いてもらうためにと、MCはほぼなし。メンバーが楽器を持ち替えながら、全身を使った熱いパフォーマンスを見せた「Firework」からラストの「ダイナソー」へ。チェコの音楽と遊ぶ、至福の時間は一瞬のようだった。

 大トリはいよいよ先日の武道館ワンマンを見事大成功のうちに終わらせたKEYTALKだ。1曲目の「トラベリング」を皮切りに、首藤義勝(Vo・B)と寺中友将(Vo・G)のツインボーカルが鮮やかに駆け抜ける「桜花爛漫」「スターリングスター」といったキャッチーなKEYTALK真骨頂のナンバーがフロアを熱狂の渦へと叩きこんだ。「fiction escape」では、ぐるぐると自転しながら華麗なギターさばきを見せた小野武正(G・MC・Cho)が、直後のMCで「目がまわるね(笑)」と漏らす場面も。「太陽系リフレイン」「MONSTER DANCE」と、最強のダンスロックで本編を締めくくると、すかさずアンコールへ。この日の出演者、総勢20人以上がステージに登場して、MONGOL800「小さな恋の歌」のカバーを披露した。バックバンドを務めたKEYTALKはメンバーが担当楽器をシャッフルするレア編成で演奏を繰り広げ、各バンドのボーカリストたちが代わる代わるマイクをとる、とてもハッピーで贅沢な大団円。それはロックの最前線で多くの新人アーティストを追い続ける『ROCKIN’ON JAPAN』の主催イベントらしくもあり、その雑誌が読者はもちろん、アーティストからも信頼され、愛されているからこそ実現した素晴らしい景色だった。

【取材・文:秦理絵】

tag一覧 ライブ イベント ジャパネクレディオ KEYTALK フレデリック Mrs. GREEN APPLE SAKANAMON Czecho No Republic GOOD ON THE REEL

セットリスト

『JAPAN’S NEXT TURBO』
2015.11.29@豊洲PIT


<め組>
  1. マイ・パルプフィクション
  2. クラシックダンサー
  3. 余所見
  4. 独りな武士
  5. 500マイルメートル

<フレデリック>
  1. オドループ
  2. DNAです
  3. ディスコプール
  4. プロレスごっこのフラフープ
  5. トウメイニンゲン
  6. オワラセナイト
  7. ハローグッバイ

<Mrs. GREEN APPLE>
  1. 愛情と矛先
  2. リスキーゲーム
  3. アンゼンパイ
  4. VIP
  5. ナニヲナニヲ
  6. Speaking
  7. StaRt

<夜の本気ダンス>
  1. WHERE?
  2. B!tch
  3. By My Side
  4. Too Young
  5. fuckin’ so tired
  6. 戦争

<GOOD ON THE REEL>
  1. 迷子センター
  2. サーチライト
  3. いらない
  4. 素晴らしき今日の始まり
  5. ハッピーエンド

<SAKANAMON>
  1. マジックアワー
  2. ミュージックプランクトン
  3. ぱらぱらり
  4. 花色の美少女
  5. PLAYER PRAYER
  6. 幼気な少女
  7. アリカナシカ
  8. TSUMANNE

<Czecho No Republic>
  1. Amazing Parade
  2. Festival
  3. MUSIC
  4. エンドルフィン
  5. No Way
  6. Firework
  7. ダイナソー

<KEYTALK>
  1. トラベリング
  2. sympathy
  3. 桜花爛漫
  4. スターリングスター
  5. fiction escape
  6. パラレル
  7. 太陽系リフレイン
  8. YURAMEKI SUMMER
  9. MONSTER DANCE
Encore
  1. 小さな恋のうた/MONGOL800

お知らせ

■ライブ情報

ジャパネクレディオライブ powered by EMTG MUSIC
2016/01/29(金)渋谷CLUB QUATTRO
出演:LAMP IN TERREN / Mrs. GREEN APPLE …and more!!

※ライブ詳細はこちら

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