韓国の２ndアルバム『２gether』とオリコンチャート１位を獲得した日本の４thアルバム『colors』、日韓合わせて新作２枚を引っ提げて開幕したCNBLUEのアリーナツアー　＜CNBLUE2015 ARENA TOUR~Be a Supernova~＞。12月3日、そのファイナルとなった東京・日本武道館公演で彼らは、エレクトリック色を増した最新のCNサウンドでよりきらびやかなステージングを見せながらも、ライブハウスさながらの熱量で1万3000人の観客と一緒に、ファイナルならではの祝祭感溢れる空間を作り上げた。

　最終日ということでこの日は昨年同様、武道館にセンターステージが登場。開演前からオーディエンスの手拍子が響く光景は、このツアーでお客さんたちが作ったものだ。場内暗転後、アリーナ席後方の扉からメンバーが歩いて舞台へ向かう演出で、武道館の熱気はすぐさま沸点を越える。オープニングの「Supernova」で壮大な宇宙空間をゆったり音で描き、“まだ見ぬ世界へ”と観客を連れ出す。大音量で電子音が舞い散る「WHITE」で舞台が回転し始めると、メンバーが全方向の観客と次々とコンタクト。続く「ひとりぼっち」では観客が満場のシンガロングでメンバーに応え、序盤から場内にものすごい一体感が生まれる。ヨンファ（Vo&Gt）がギターではなくキーボードやシンセを弾き、CNサウンドに華やかさが加わる分岐点となった「Can’t Stop」は、いまや彼らのライブアンセム。この日はヨンファが長い前奏を弾き忘れ、リプレイしたことでいつも以上に凄まじい大合唱へと展開。繊細なギターのアルペジオを奏でるジョンヒョン（Gt）のデリケートな歌からストレートなヨンファの歌へとリレーする「HEART song」はジョンシン（Bs）とミンヒョク（Ds）が２人の声質に合わせ、アイコンタクトを送りながらリズムの強弱をコントロール。普段は見られない角度からこのようなメンバーの姿を見られるのも、センターステージならではの醍醐味だ。

　「全員でいいライブを作りましょう」。本ツアー中、各地でこの言葉を伝えてきたヨンファが、ユニークなコール＆レスポンスで客席の熱量をさらに引き出し、ライブは「Where you are」からステージがライティングで真っ赤に染まりロックモードへシフト。とたんにミンヒョクのスネアがパワフルに響き出し、間奏ではジョンヒョンのギターが炸裂。「IN MY HEAD」はスモークが吹き上がるなかバンドのテンションはエモーショナルに高まり、ダイナミックな爆発力で客席を圧倒。ファンキーチューン「Lady」では、ニューソウルの洒落たアプローチが効いたタイトなリズムでバンドをグルーヴさせ観客を踊らせるなど、自分たちは“バンドサウンド”だけでも観客とひとつになれるという彼らの基盤を見せつける。

　「５年ぶりに僕からのプレゼント」といってプレイしたジョンシン作曲の「Daisy」からライブはバラードパートへ。ジョンヒョンのアコギの弾き語りから始まる「IRONY」では穏やかな旋律のギター・ソロをヨンファが弾き、アジアらしい柔かなメロディで観客を優しく包み込んだあとは、憂いある「STAY SOBER」「realize」とブリティッシュテイストを備えたバラードを２連発。ヨンファのブレスを含んだボーカリング、ジョンヒョンの泣きのギターフレーズ、エフェクティブな音響などサウンドで目の前の景色をどんどん変え、観客を魅了していった。

　「holiday」で炎が立ち上がると、武道館は再び熱狂。ジョンシンのファンキーなベースラインにシンセ音が重なるディスコチューン「Catch Me」、そこにさらにエレクトロな音が派手に重なる「Cinderella」で歌い踊ったあとは、ヨンファが鍵盤で弾くイントロから多彩なシンセサウンドとバンド音が入り乱れる「Radio」へ。最後にヨンファが舞台を下り、アリーナフロアを駆け回り熱狂に包まれたまま本編は終了した。

　アンコールは「Try again, Smile again」を観客と一緒に大合唱するところからスタート。最終日ということで「Love Light［愛光］」ではアドリブでメンバーが担当楽器をチェンジ。さらにラストの「Hold My Hands」では２コーラス目からヨンファが突然日本語で歌い出すというサプライズに観客は狂喜乱舞。そしてメンバーが最後の挨拶をしようとすると、場内から再度熱狂的なアンコールが起こり、その場で４人が相談し「Radio」を再演。本ツアー最後にして最大級の一体感を作り上げた素晴らしいステージだった。

【取材・文：東條祥恵】
【写真提供：©FNC MUSIC JAPAN INC.】