イ・ホンギ ファーストソロツアー 12月17日のパシフィコ横浜公演をレポート
イ・ホンギ(From FTISLAND) | 2015.12.26
ライブは、ホンギがインタビューで話していた通り彼がラジオDJに扮し、観客をリスナーに見立て、ファンからの相談に応えながらそれにふさわしい曲を次々パフォーマンスしていくというスタイルで進行していた。そのコンサートも後半に差し掛かった頃、再び舞台端に設置されたラジオブースに移動し、ホンギはメガネをかけてDJホンギに。このとき読んだ投稿は片思いの恋の相談。“好きなのに告白できないでいる相手を友達から紹介して欲しいと頼まれたら、紹介してあげるべき?”という投稿を読みながら「こういうことあるよね」といった後、真剣な顔つきでこの相談とじっくり向き合う。自分の恋愛話も交えながら、まずは自分を相手の立場に置き換え「こうなる前に“好きだ”と気づいたときにすぐ気持ちを伝えて欲しかった」と話し、次は気持ちを伝えられないでいる投稿者の立場になり代わり「でも、言わなかったってことは自分に勇気がなくて言えなかったってことだから、僕だったら友達を紹介するよ」とアドバイスした。「でも、僕も好きだとは言えないから」とホンギがいうと、客席があんなに普段から自由奔放に何でも話すホンギがなぜ? といわんばかりにざわめいた。
「だから、みんなにも“愛してるよ”って言わないでしょ?“サランヘヨ”(韓国語で愛してるという意味)とか聞いたことないでしょ?(みんなウンウンと頷く)他の人たちが“愛してるよ!”とかステージでいってるの見ると、ホントかなって思うもん。軽いわって。俺は、本当に愛していると思った瞬間にだけ勇気だして言います」
その瞬間、会場中から「カッコいいよー!」とホンギを讃える悲鳴とわれんばかりの盛大な拍手がステージに降り注いだ。そうして、韓国で発表したソロ・デビュー「人の気も知らず」を投稿者に向けて贈ったホンギ。
いつもはFTISLANDのフロントマン、ボーカリストとして威勢よくロックに、カッコよくフリーダムにアクトして、そのスター然としたオーラでオーディエンスを沸かしていくホンギ。そんな彼の素顔、パーソナルな人間性――――彼の自由奔放なキャラクターの裏にある真っ直ぐな男気であったり、人との真剣な向き合い方、温かい人柄。様々な音楽性にどこまでもチャレンジしていくミュージシャンシップとともに、イ・ホンギという一人の人間をとてつもなく身近で感じられた素晴らしいアクトだった。
初の単独コンサート<LEE HONG GI 1st Concert~Merry 302 MHz~>も12月24、25日グランキューブ大阪で開催したXmas公演でファイナルを迎えたイ・ホンギ。その記念すべきツアー、その2公演目として12月17日にパシフィコ横浜で行なわれたライブ。男女のコーラス+DJ+生バンド、総勢8人の大所帯を従え、最後に舞台上段から黒いチェスターコートに白シャツで大人っぽくきめたホンギが優雅に登場。客席もFTとは違い、幅広い年齢層のお客さんが集まり、ペンラの色も赤だった。ライブはソロ・アルバム『AM302』の「LOL」「Be Your Doll」というシンセポップ2曲からスタート。相談に対するコメントはいろいろ脱線しながら10分以上一人トークを展開。その間すべてアドリブ、すべて日本語(丁寧語に若者のしゃべり言葉もフィーチャー)。普段から日本語トークには定評があるホンギが、その語彙力を屈指しながら、笑いをまじえつつ真摯に相談に応え、その応えをさらに次の曲紹介へとつなげていく。こんなワザは、ホンギにしかできない。「じゃあ娘にまだいってなかった僕の話をします」といって、ホンギは自身が主演したドラマ『百年の花嫁』から「まだ言えない言葉」を始め、ホンギの真骨頂であるバラード3曲をハスキーな声を細いやわらかなトーンにしたり、せつない泣きの成分を加えたり、ときにはダイナミックなビブラートで震わすなど唱法を繊細に操り分け、圧倒的な歌唱力で観客を見事に魅了。
だが、その後再びラジオDJコーナーが始まると空気は一転。次の投稿が“ファスナーが開いてたら言ってあげるべき?”という内容で、観客からは間髪入れずに“ホンギ開けてみて!”“今日のパンツは何色?”という質問が飛び出す。「お前ら変態!」と笑いながらもちゃんとズボンの中をのぞき込み(微笑)「今日は黒と緑」と応えてあげるホンギ。こうしてホンギと客席の距離がいっきに縮まったところで、次は「マリア」(『相続者たち』)「Still」(『美男(イケメン)ですね』、ここでは間奏で「ジェルミ」コール!)「One Word」(『オンエアー』)という人気ドラマのOST曲を原曲を一新するようなアコースティックアレンジで次々披露。ベテラン勢を揃えたバンドメンバーがボサノヴァ、ジャズなど原曲を大人っぽく、オシャレなサウンドに仕上げたこの曲たちをこれ以上ない穏やかな表情でホンギは楽しそうに歌っていた。
この後、ソロ制作の現場を追った映像をはさみ、カジュアルな洋服に着替えたホンギはゲストのJamil(Vo)を招き入れアルバム唯一のロックチューン「King For A Day」 をタオルを踏み回しながらジャンプを繰り返してパフォーマンス。客席も温まってきたところで「Do or Die」(『モダンファーマー』)へとつなぎ、その勢いを「Let’s Seize The Day」からはサウンドをDJ主体に切り替え、FTの「FREEDOM」(映像でFTのジェジンが登場し、この日は彼らの誕生日で大いに盛り上がった)、「Siren」などをきらびやかなEDM仕様のパーティーチューンにして届け、ホンギは場内をアゲアゲムードへと導く。ロックバンドではない音でも観客をクライマックスまで持っていける。ここではそんなフロントマン・ホンギとしての実力を証明してみせた。そして、ライブは冒頭に書いた投稿を挟み「人の気も知らず」から終盤へ。「オレンジ色の空」はこの日のサプライズとして観客みんなの大合唱をホンギに届けて、本編ラストは日本ソロ・デビュー曲「モノローグ」でしっとり締めくくった。
「アンコール」に替わる「イ・ホンギ」のコールに呼ばれ、再び舞台に現れ「Just Please」と「Miss X-mas」を歌ったホンギ。最後の締めのMCで「一人でこんなライブをやってもいいのかなと最初は思ったんですけど、これもFTISLANDの力になると思うし。だから、もうちょっとみなさんが楽しめるように頑張ります」と素直にFT愛を伝え、ファンの感動を誘った。
この後、ホンギはソロでアジアを巡り、2月からはFTISLANDのホンギとして<オフィシャルファンミーティング2016 -G5-」の舞台に立つ。
【取材・文:東條祥恵】
【写真提供:(c)FNC MUSIC JAPAN INC.】
リリース情報
AM302(初回限定盤)[CD+DVD]
2015年12月09日
ワーナーミュージック・ジャパン
1. モノローグ
2. Anywhere
3. Let’s Seize The Day
4. Kings For A Day
5. Be Your Doll
6. LOL(loudness of love)
7.雨が降ります
8. Miss X-Mas
[DVD]
1. モノローグ(Music Video)
2. モノローグ(Studio Session)
3. モノローグ(The Making Of -モノローグ-)
※初回限定盤:2枚組[CD+DVD] / 豪華フォトブックレット44p / 歌詞カード16p / 三方背 / デジパック仕様
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セットリスト
LEE HONG GI 1st Concert
~Merry 302 MHz~
2015.12.16@パシフィコ横浜 国立大ホール
- LOL(loudness of love)
- Be Your Doll
- まだいえない言葉
- 雨が降ります
- Addicted To Love
- マリヤ
- Still
- One Word
- Kings For A Day
- Do or Die
- Let’s Seize The Day
- FREEDOM
- Siren
- Anywhere
- 人の気も知らず
- オレンジ色の空
- モノローグ
- Just please
- Miss X-mas
お知らせ
FTISLAND オフィシャルファンミーティング 2016 -G5-
2016/02/01 (月)オリックス劇場
2016/02/02 (火)オリックス劇場
2016/02/04 (木)パシフィコ横浜国立大ホール
2016/02/05 (金)パシフィコ横浜国立大ホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。