Czecho No Republic 対バンツアー・ファイナルでTRICERATOPSと共演。
Czecho No Republic | 2016.03.03
Czecho No Republicの対バンツアー「1 ON 1 TOUR」のファイナル、渋谷CLUB QUATTRO公演。Mrs. GREEN APPLE(名古屋CLUB QUATTRO/2月15日)、Shiggy Jr.(梅田CLUB QUATTRO/2月16日)に続くこの日のゲストバンドは、TRICERATOPS。「FUTURE FOLDER」(2008年)「Raspberry」(1997年)などのシングルを次々と披露、キャッチーなギターリフ、骨太のバンドグルーヴ、きらびやかなポップセンスに溢れたメロディによって若いオーディエンスの身体を揺らす。「チェコもさ、ロックでみんなを踊らせたい、ハッピーにさせたいと思ってるバンドでしょ? すごく俺らと共通してると思うわけ。きっとみんなは僕らのことを好きになるんじゃないかな」(和田唱/V&G)というMCも印象的だった。ラストはソウルフルなメロディを軸にした「TRANSFORMER」でシンガロング状態を演出。デビュー20周年を目前にした(!)TRICERATOPSはいま、何度目かのピークを迎えつつあるようだ。
そして8時15分過ぎ、ついにCzecho No Republic のステージが始まる。オープニングはメジャー1stアルバム「NEVERLAND」のタイトルチューン「ネバーランド」。カラフルなバンドサウンド、ファンタジックなムードを生み出すメロディ、“イメージしよう 本当のLOVEを”というフレーズによって、音楽の楽しさだけが広がっていく。さらにスカのビートを取り入れた軽やかなギターポップチューン「Festival」、オルタナカントリーのエッセンスをポップに昇華した「Amazing Parade」を連発、会場全体が圧倒的な多幸感で包まれる。メンバーもオーディエンスも全員が笑顔。シリアスな要素はすっきりと取り除かれ、“この時間だけでは徹底的に音楽を楽しむんだ”という空気に満ち溢れていく。
最初のMCで武井優心は「『1 ON 1 TOUR』をやるにあたって、いちばん最初に“呼びたい”と思ったのがTRICERATOPSさんだったんです。出てくれたことがホントに嬉しくて」とコメント。Mrs. GREEN APPLE、Shiggy Jr.を含め、この対バンツアーには明確な意図があったことが伝わってくる。それはつまり、ヘンに深刻ぶらず、優れてポップなバンドと一緒に祝祭的な空間を作りたいということだったのではないだろうか。
ストレンジなニューウェイブ感覚に満ちた「Crazy Crazy Love」、エッジの効いたギターサウンドとアッパーなメロディが響き渡る「Call Her」など、その後も独特のハイブリッド感覚に貫かれたナンバーが続く。Czecho No Republic の最大の音楽のルーツはおそらく2000年代以降の海外のインディーロックだ(たとえばフランツ・フェルディナンド、ヴァンパイア・ウィークエンド、ザ・ドラムスなど)。しかも彼らは、それらのルーツミュージックをJ-POP、J-ROCKに寄せるのではなく、あくまでも“自分たちが楽しめるかどうか、カッコいいと感じられるかどうか”を基準にしたサウンドメイクを追求しているように見える。その結果、Czecho No Republicの音楽にはブッ飛びまくったオリジナリティと誰もが楽しめるポップ感が共存しているわけだが、その効果がもっとも発揮されるのはやはりライブ。この夜も彼らは“他のどこにもないけど、どんな趣味の人も楽しめる”という不思議なバランスを当たり前のように体現していた。
(ジャケットを着ている八木類に向かって)「トライセラの和田さんを意識してるの?」(武井)「正直、しました。ステージを見て、ジャケットしかないなって思って」(八木)というリラックスしたトークも印象的。さらに「『Oh Yeah!!!!!!!』というシングルに『Come On』という曲がありまして。タカハシマイにウンコって歌わせたいがために作ったんですけどね」という楽曲のイメージが台無しになりかねない(?)コメントも。ここでも彼らはマジメな話やこれみよがしな“ファンに向けた感謝”などを口にしない。そんなスタンスもまた、このバンドの上質なポップを支えているひとつの理由なのだと思う。
「楽しいねえ! 幸せな夜です、ホントに」(タカハシ)、「メガネ曇り方が尋常じゃないよ。おまえらが熱いからだよ!」(砂川一黄)というハッピーなMCから始まったライブ終盤では最新アルバム「Santa Fe」の楽曲を次々と披露。タカハシのキュートなボーカルが気持ちよく広がるポップナンバー「For You」、脳内の快楽物質がゆっくりと増えていくようなダンスチューン「エンドルフィン」、バウンシーに飛び跳ねるビートを軸にしたサウンドと色彩豊かなメロディがひとつになった「Firework」、そして、“戦うより 楽しんでみよう”という彼らのスタイルをダイレクトに示すフレーズが印象的な「Oh Yeah!!!!!!!」。最新のCzecho No Republicに直結する楽曲によってオーディエンスの高揚感も一気にピークへと達した。
アンコールではまず「夏のビーチの曲をやります」という新曲「Dream Beach Sunset」(ラテン、ハウスミュージック、エレクトロが混ざり合ったリズムアレンジが素敵!)を披露。さらに煌びやかな音像とアンセム的なメロディラインを共存させた「ダイナソー」を放ち、心地よい開放感とともにライブはエンディングを迎えた。
3/30には初のDVD映像作品「NAKA TO SOTO」(昨年7月の日比谷野外音楽堂、10月のZepp Divercityでのワンマンライブを完全収録)をリリース。新曲の発表を含め、精力的な活動を続けるCzecho No Republic。ロックシーンの潮流に迎合せず、カラフル&ポップな音楽性によって鮮烈な存在感を示す彼らはいま、さらなる充実期に突入しつつあるようだ。
【取材・文:森朋之】
【撮影:Daisuke Sakai】
リリース情報
NAKA TO SOTO
2016年03月30日
日本コロムビア
[DISC 1]
2015年7月12日 日比谷野外大音楽堂
「帰ってきたドリームシャワー 夏だ!野音だ!Czecho No Republicだ!初の日比谷野音ワンマン」
01. ネバーランド
02. Festival
03. Crazy Crazy Love
04. Call Her
05. 絵本の庭
06. Don’t Cry, Forest Boy
07. トリッパー<br>
08. Nowhere Boy
09. レインボー
10. Field Poppy
11. P.I.C グアム
12. 日曜日よりの使者
13. ABCD Song
14. Amazing Parade
15. 幽霊船
16. Summer Love
17. For You
18. JOB!
19. RUN RUN TIKI BANG BANG
20. ダイナソー
21. MUSIC
22. No Way
<アンコール>
23. Firework
24. Oh Yeah!!!!!!!
<ダブルアンコール>
25. ショートバケーション
[DISC 2]
2015年10月17日 Zepp DiverCity Tokyo
「聖なる行進TOUR スーパーファイナル×一夜限りの結成5周年スペシャル」
01. Oh Yeah!!!!!!!
02. Amazing Parade
03. Heart Beat
04. ネバーランド
05. イメージ
06. 絵本の庭
07. Fun, Fun, Fun, Fun, Fun
08. マサチューセッツ
09. 魔法
10. クワーキーワールド
11. エンドルフィン
12. Clap Your Hands
13. Empty Your Mind
14. MUSIC
15. Call Her
16. Festival
17. No Way
18. Firework
19. Beautiful Days
20. For You
21. オルゴール
<アンコール>
22. Good Bye
23. 幽霊船
<アンコール>
24. ダイナソー
お知らせ
ガリゲル音楽祭「おとあい5」
2016/03/12 (土) 大阪府・なんばHatch
FX 2016
2016/03/19 (土) 福岡県・Zepp Fukuoka
SANUKI ROCK COLOSSEUM ~BUSTA CUP 7th round~
2016/03/20 (日) 香川県・高松オリーブホール、高松 DIME、高松 MONSTER、高松 SUMUS CAFE 他
音流大演会2016
2016/03/21 (月) 東京都・恵比寿LIQUIDROOM
GO OUT JAMBOREE 2016
2016/04/16 (土) 静岡県・ふもとっぱら
※武井・八木・タカハシ3名でのアコースティックセットでの出演
そうだ!LOTSへ行こう!!
2016/04/29 (金) 新潟県・新潟LOTS
rockin’on presents JAPAN JAM BEACH 2016
2016/05/03 (火) 千葉県・幕張海浜公園JAPAN JAM BEACH特設会場
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。