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電波少女「解散&復活ワンマンライブ”茶番”」渋谷WWWライブレポート

電波少女 | 2016.03.09

 仮面を着用して登場したnicecream(DJ & Performance)のダンスパフォーマンスで幕開けた電波少女のライブ。やがてハシシ(MC)も現れ、観客の盛り上がりに一気に火を点けていた。そして、nicecreamがDJブースにスタンバイ。「INVADER feat. RAq」がスタートした。イントロが鳴り響くや否や、フロア全体から起こった明るい歓声。途中からRAqがラップをしながら合流すると、たくさんの人々で埋め尽くされた会場内の空気は、さらなる熱を帯びていった。そして、この曲を披露し終えると、「とうとう始まってしまったね」と、少々緊張した面持ちで言葉を交わしたハシシとnicecream。「いろいろ準備してきたので、楽しみにしていてください。盛り上がっていきましょう! では、懐かしいのいこうか」とハシシが言い、「ワンダーホエール」へと雪崩れ込んで行った。骨太なビートを乗りこなしながら繰り出されるラップが、とても心地よい。腕を振り上げながら身体を揺らす観客の間に一層爽やかな熱気が広がっていった。

 息の合ったコンビネーションによるラップが炸裂した「蝸牛 feat. Jinmenusagi, コカツ・テスタロッサ」。nicecreamによる切れ味抜群なダンスが飛び出し、観客の《HIP HOP LIFE》という力強い歌声も湧き起った「HIP HOP LIFE Remix feat. Jinmenusagi, NOBY」……盛り上がる見せ場が満載だった2曲の後に迎えたインターバル。まずは5月11日に7曲入りのEP盤『パラノイア』がリリースされることが発表された。そして、「ぜひ楽しみにしていてください。じゃあ、恥ずかしいけどクラブチューンをやります」とハシシが言い、届けられたのは「LIAR GAME Remix」。EDM的なパーティー感も香る華やかなデジタルサウンドが、自ずと力強い手拍子を誘う。nicecreamと4人のダンサーチーム(コイパン、マチャ、マッシュ、SMILY)によるパフォーマンスは各々のソロもバッチリと決まり、観客は大喜びしながら歓声を上げていた。

 「オルタネート feat. トップハムハット狂」と「オルタネートエラー feat. トップハムハット狂」を一気に披露した後、たくさんの人々が集まっているフロアを嬉しそうに眺めたハシシとnicecream。「楽しんでますか? 金返せとか思ってない?(笑)。こんなに集まってくれて、いい友だちにも恵まれて、幸せだなと実感してます。なんで笑うの?」、いつになく真剣な表情でハシシが語ったところ、観客の間から起こった和やかな笑い声。そんな場面を経てユニークな演出が始まったのだが……『電波少女 解散&復活ワンマンライブ“茶番”』という今回のタイトルを反映した小芝居が繰り広げられたのであった。「おかげさまでアルバムやEP盤を出しました。でも、現実は大変なんです。電波少女は今日、解散するんですよ」という突然の発表。どう考えても嘘の解散発表に対して一応付き合いで「ええええー!」と残念そうな声を上げた観客の間からくすくす笑いが起こっていた。

 「電波少女でした! タバコ吸ってきます」と言い、ステージから去った2人。彼らによる小芝居は、その後も続いたのだが……場面は切り替わり、「楽屋にて」という設定になったらしい……マネージャー(抹 a.k.a ナンブヒトシがこの役を担当していた)との間で起こった口論と掴み合い。しかし、マネージャーからある事実を告げられると、すぐ様「やります! がんばります!」と、ハシシとnicecreamは解散をあっさり撤回したのであった……という文字通りの「茶番」。その事実が明らかになるのは、その時に発表された、5月22日開催の電波少女 EP “パラノイア” Release Party at clubasia』との事。このリリースパーティーで共演するのは、ぼくのりりっくのぼうよみとMINAMI NiNEだという。電波少女と関係性の深い2組だけに、観客の期待もかなり高い様子であった。

 「MO feat. NIHA-C」を皮切りに突入した後半戦。「RY feat. Jinmenusagi」や「Earphone feat. Jinmenusagi」、新曲も披露され、観客は元気のよい歓声を上げ続ける。「今日、解散して再結成しました(笑)。俺たち、ナヨっとして見えるけど、リアルでしょ?」というハシシのMCを挟んで突入した「Re:カールマイヤー」と「Munchii Bear Cookiies 2015」も実に力強く迫って来た。そして、本編ラストを飾ったのは「COMPLEX feat. Jinmenusagi, NIHA-C」。大音量のサウンドを浴びながら踊る人々の一体感がすさまじい。アウトロに差し掛かると、Jinmenusagi,とNIHA-Cとハグを交わし合ったハシシ。信頼し合っている音楽仲間同士の絆が自ずと窺われる心温まる場面であった。

 アンコールを求める歓声に応えてステージにまず戻ってきたのはnicecream。「電波のテーマ」のトラックに合わせて彼が踊り始めると、ハシシもラップをしながら登場した。鳴り響くエネルギッシュなサウンドが観客の手拍子と笑顔を誘う。そして、ラストに届けられたのは「TAKE IT ALL feat. Jinmenusagi, NIHA-C, トップハムハット狂, RAq, コカツ・テスタロッサ, NOBY, 抹 a.k.a ナンブヒトシ」。ラッパーからダンサーチームの面々まで、ゲスト全員が集合したステージから漂ってくる熱気がものすごかった。一緒に歌いながら踊る彼らの楽しそうな姿がまぶしい。「ありがとう。最高の眺めだ!」、終演を迎えると、実に満足そうな表情でフロアを見回して手を振った電波少女の2人。ハシシは仲間のラッパーたちにいきなり取り囲まれ、高々と胴上げをされていた。どこかホームパーティーのようなアットホームな雰囲気も感じた賑やかなエンディング。電波少女の音楽から着実に広がりつつある幸福な輪をハッキリと感じることができたワンマンライブであった。

【取材・文:田中 大】
【撮影:新倉映見】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 電波少女

リリース情報

パラノイア(初回限定盤)[CD+DVD]

パラノイア(初回限定盤)[CD+DVD]

2016年05月11日

redrec / sputniklab inc.

[CD]
1. 拝啓
2. COMPLEX
3. RY feat. Jinmenusagi
4. オーバードーズ feat. NIHA-C
5. Mis(ter)understand
6. 笑えるように
7. 追伸

[DVD]
電波少女 解散&復活ワンマンライブ“茶番” at Shibuya WWW(2016.02.27)
1. INTRO
2. INVADER feat. RAq
3. LIAR GAME Remix (dance showcase)
4. MO feat. NIHA-C
5. Earphone feat. Jinmenusagi
6. Mis(ter)understand

セットリスト

解散&復活ワンマンライブ?茶番”
2016.2.27@Shibuya WWW

  1. INTRO
  2. INVADER feat. RAq
  3. ワンダーホエール
  4. 蝸牛 feat. Jinmenusagi, コカツ・テスタロッサ
  5. HIP HOP LIFE Remix feat. Jinmenusagi, NOBY
  6. LIAR GAME Remix(dance showcase)
  7. オルタネート feat. トップハムハット狂(dance showcase)
  8. オルタネートエラー feat. トップハムハット狂
  9. MO feat. NIHA-C
  10. RY feat. Jinmenusagi
  11. Earphone feat. Jinmenusagi
  12. 新曲(タイトル非公開)
  13. Re:カールマイヤー
  14. Munchii Bear Cookiies 2015
  15. COMPLEX feat. Jinmenusagi, NIHA-C
アンコール
  1. 電波のテーマ
  2. TAKE IT ALL feat. Jinmenusagi, NIHA-C, トップハムハット狂, RAq, コカツ・テスタロッサ, NOBY, 抹

お知らせ

■ライブ情報

電波少女 E.P “パラノイア” Release Party
2016/05/22(日)clubasia
出演:電波少女, ぼくのりりっくのぼうよみ, MINAMI NiNE

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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