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GLIM SPANKY、plentyと迎えた「“ワイルド・サイドを行け”ツアー」ファイナル公演

GLIM SPANKY | 2016.04.28

 GLIM SPANKYが2マンツアー「“ワイルド・サイドを行け”ツアー」ファイナルの相手に指名したのはplenty。対照的な2バンドの共演は、思いの外さわやかなものだった。
 まずはPlenty。定番のSEイモージェン・ヒープの“hide and seek”が流れ、江沼郁弥(Vo・G)、新田紀彰(B)、中村一太(Dr)が登場、幕開けは「スローモーションピクチャー」だ。1stアルバム収録の曲だが、同期ものを加えて洗練されたアレンジになっており、オーディエンスを幻想的なサウンドスケープへと誘う。最新作『いのちのかたち』収録の「体温」「シャララ」は、力強さを増した江沼のヴォーカルとホーンやピアノのトラックを加えた演奏で、バンドがまた前進していることを感じさせた。
 「plentyです、今日はGLIM SPANKYさん、呼んでいただいてありがとうございます。楽しんでまいります、よろしくどうぞ」
笑顔であいさつした江沼は「待ち合わせの途中」を歌い出す。土台となるバンドサウンドはシンプルだが力強く、「さよならより、優しいことば」は、どこか危うさを残しながら安定感のある演奏で手拍子を誘った。デビューEPからの「枠」はドラムとベースがダイナミックなイントロで熱量を上げ、「最近どうなの?」では澄んだ高音で熱唱する一方、ベースの短いソロに江沼が笑顔を浮かべていた。楽しそうな彼らに、オーディエンスも笑顔で体を揺らしている。
「楽しい時間はあっという間です。次の曲で最後です。ありがとうございました、楽しかった!」
と江沼が言ったラスト・ソングは「蒼き日々」。これも1stアルバム収録の曲だが、その初々しさを失わずに3人は成長し、歌い演奏している。そんな彼らの持ち味が、短い時間ながらしっかりと伝わった。

 GLIM SPANKYは、お馴染みのスティーライ・スパン「gower wassail」に乗ってステージに現れると、大きな歓声と拍手や指笛でオーディエンスは歓迎した。オープニングはツアータイトルにした「ワイルド・サイドを行け」。ダイナミックなバンドサウンドにオーディエンスが揺れ、松尾レミ(Vo・G)のタフでキュートなハスキーボイスがフロアを満たす。赤いロングヘアと赤いドレスがライトに映えて、一気にグラマラスな世界に塗り替えた。さらに加速した「褒めろよ」ではフロントに出た亀本寛貴(G)がレスポール・ゴールドトップでイカしたソロを聴かせ、「リアル鬼ごっこ」は松尾がシャウトすると、オーディエンスは手拍子で応えた。亀本がソロから松尾と向き合い、気を合わせて入った「ダミーロックとブルース」の、GLIM SPANKYらしいオーセンティック・ロックのグルーヴにフロアは揺れ続けた。何度かツアーを共にしてきたサポートメンバーに今回からキーボードも参加、一段とカラフルなサウンドで松尾と亀本を支えている。後半のサイケデリックなライティングが曲のイメージを深め、続く「夜明けのフォーク」は落ち着いたスケール感がオーディエンスを包んでいた。
「こんばんは、GLIM SPANKYです。リリースツアーファイナルで、こんなにいっぱい集まってくれて本当に有難うございます。すごいギュウギュウでお客さんもきついと思うんですけど、怪我しないように最後まで楽しんでください。では『ワイルド・サイドを行け』から新曲を」
 気持ちのいい横揺れロックンロール「BOYS&GIRLS」はオーディエンスも手を挙げながら一緒に歌い、まだリリース前の曲ながら「時代のヒーロー」は、そのグラマラスな熱気が自然とオーディエンスを引き込んだ。そしてブラインドサッカー日本代表公式ソング「NEXT ONE」は松尾が思いを込めて力強く歌い上げ、亀本がメロディアスなギターリフを弾くとオーディエンスから歓声が上がり、バンドとフロアが一つになってサッカー場さながらのような熱気になった。

 一息入れて松尾がアコースティック・ギターに持ち替えて始めたのは「太陽を目指せ」。少し落ち着いたテンポで気持ちを落ち着かせながらも、歌は前に進み続ける。歌い終わると、大きな拍手に「ありがとう」と松尾は答えた。そして、次で最後の曲、と告げると「えーっ」「もっと」などと声が飛び交う。それを笑顔で聞きながら松尾は続けた。
 「いいね、こういう好き勝手言えるライヴは。ライヴってそういうものだよね。振り付けがあったり、ここで手をあげるとかいろんなライヴがあるけど、GLIM SPANKYは好き勝手に楽しんで。曲の中でみんなが声を出してくれると、めっちゃ勇気もらえるね」 「今日はみんな飲んでないでしょ。次はもうちょっと酒が飲めるぐらいのスペースで」
と亀本も空気をほぐす。そして松尾が7月9日に鶯谷の東京キネマ倶楽部でライヴをやると告げると、大きな歓声があがった。 「“GLIM”は幻想的な、灯火という意味。“SPANKY”は音楽業界にSPANKする。その“GLIM”の方をやる感じ。幻想的でちょっと不思議な感じでやろうと思います」
 喜びの声が落ち着くと本編最後の曲について松尾は話し始めた。 「デビュー前からずっとやっている曲。まだお客さんが数人しかいないライヴの後で、安い居酒屋に朝までいたり、ずっと下北沢の街を歩き続けたり。ずっと音楽をやりたいと思って、今はこうしてやらしてもらってるけど、私はいつまでもキッズの心を持った大人というか、そういう人間になりたいと思って」
 大きく息を吸って松尾が歌い出したのは「大人になったら」。弾き語りで始まった曲に次第にバンドが入っていくと、落ち着いた演奏に歌が引き立ち、松尾のハスキーな声が染みた。松尾と亀本が向き合ってギターを弾くと、二人のシルエットが浮かび上がった。それを見るオーディエンスの顔はキッズのように輝いていた。

 アンコールに応えて現れた二人は、この日の対バン相手をしてくれたplentyと、大阪・名古屋でのavengers in sci-fiへの感謝の言葉が送られた。そして「人生で初めてやります」と松尾が言った、NHKのアニメ「境界のRINNE」エンディング・テーマになった新曲「話をしよう」。松尾がアコースティック・ギターを弾きながら優しく歌い、亀本はスライドギターを聴かせる新鮮な曲だ。じっくりと聴かせた後は、オルガンも入った華やかな演奏で「Gypsy」。メンバーを紹介しながらのパワフルなロックンロールにフロアも揺れ、GLIM SPANKYらしい熱気を溢れさせてこの日のステージは幕となったのだが、いつまでも更なるアンコールを求める拍手が鳴り止まなかった。
 次に彼らに会えるのは7月9日東京キネマ倶楽部。昨年5月に続く「Velvet Theater 2016」だ。

  

【取材・文:今井 智子】
【撮影:KAMIIISAKA HAJIME】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル バンド GLIM SPANKY plenty

リリース情報

話をしよう/ 時代のヒーロー(配信限定)

話をしよう/ 時代のヒーロー(配信限定)

2016年05月13日

ユニバーサル ミュージック

1.話をしよう
2.時代のヒーロー
3.踊りに行こうぜ(2015.10.17赤坂BLITZ Live版)
4.FLOWER SONG (2015.10.17赤坂BLITZ Live版)
5.ロルカ(2015.10.17赤坂BLITZ Live版)

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お知らせ

■ライブ情報

Velvet Theater 2016
2016/07/09(土)東京キネマ倶楽部

三者会談
2016/05/03(火)新宿レッドクロス

J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S EIJI KAMEDA EDITION
2016/05/04(水・祝)、05(木・休)六本木ヒルズアリーナ

ビーストウォーズ復活祭
2016/05/07(土)舞浜アンフィシアター

OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2016
2016/05/14(土)、15(日)METROCK大阪特設会場

TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2016
2016/05/21(土)、22(日)新木場・若洲公園

Eggs presents SAKAE SP-RING 2016
2016/06/04(土)、05(日)名古屋市中心部、栄・矢場町・新栄、大須地区のライブハウス&クラブ

Shakermaker Presents LOVE the ROCK
2016/06/05(日)梅田NOON+CAFE

HOTSTUFF presents TUMBLING DICE 5
2016/06/10(金)恵比寿LIQUID ROOM

YATSUI FESTIVAL! 2016
2016/06/18(土)渋谷界隈ライブハウス

Live Sparkling supported by ピーチケMusic
2016/06/22(水)梅田クアトロ

音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2016
2016/08/18(木)神奈川県鎌倉市由比ガ浜海岸

WORLD HAPPINESS 2016
2016/08/28(日)夢の島公園陸上競技場

Slow LIVE’16 in 池上本門寺
2016/09/02(金) 〜 2016/09/03(土)
「池上本門寺」 野外特設ステージ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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