SUPER BEAVER 10周年イヤー締めくくりZepp DiverCity大入りワンマン!
SUPER BEAVER | 2016.05.10
このバンドの10年間の歩みを2時間強に濃縮した凄まじいパフォーマンスだった。涙でぐちゃぐちゃになった感情が大スパークし、観客がそれを全力で受け止め、それがまたステージに還元されていく。その感情のキャッチボールが1曲1曲終わるごとに巨大化する空気感に何度ゾクゾクしたことだろう。こんなに泥臭くて、こんなに美しい空間は他にない。そう言い切れるほど、超絶にエモーショナルなライブだった。
SUPER BEAVERの活動10周年イヤーの締め括りとして、「都会のラクダSP~スーパーフィーバー」と題したワンマン公演が行われた。会場に入ると、フロアは四隅までびっしり観客で埋め尽くされ、開演前からステージに熱い視線が注がれている。ちょっと異様な雰囲気が漂っていた。そして、藤原"27歳"広明(Dr)が勇壮なビートを叩き、上杉研太(B)がスラップベースで追いかけ、柳沢亮太(G)がギターを弾くと、最後に渋谷龍太(Vo)が登場。「→」~「361°」と繋ぐ幕開けで、大らかな渋谷の歌声が響き渡ると、早くも会場は沸騰気味になっていた。「鼓動」でさらに場の熱をグッと引き上げ、「後ろまでしっかり見えてるよ!」と渋谷は温かく声をかける。衝動をストレートに吐き出した「言えって」を含め、序盤から歌も演奏も飛ばしまくっている。
それから10年走り続けたからこそ迎えられた、今日の満員御礼の景色を眼前に、バンド自体も感極まるものがあったのだろう。「ことば」の「言葉なんて信じない 信じてるのは あなただけ」というド直球の歌詞は、ここにいる多くの人の心に突き刺さっていた。演奏後、「あなたは俺らに伝えに来たんだろ? 俺らはその何倍も伝えたいんだよ!」と訴える渋谷のMCも胸を打った。「歓びの明日に」、「あなた」と挟み、メジャーデビュー後大きな壁に突き当たり、苦しい時期を過ごした過去の傷さえもポジティブに観客に伝えると、「シアワセ」をプレイ。壮大なスケール感を帯びた曲調に聴き入った後、「らしさ」、「日常サイクル」、「your song」と続く。自分たちの方向性が固まらず、迷走していた時代を振り返り、それでも音楽が好きで好きでしょうがなかったあの時代に思いを馳せながら、今この3曲を堂々と披露する姿も実に頼もしかった。
そして、ここで新曲「人として」を放つ。真意がよどみなく伝わる赤裸々な歌詞はもちろん、力強さと誠実さを握りしめたハートフルな歌声に射抜かれた。新たなバンドの代表曲になりうる名曲だ。すると、「いい歌だね」と渋谷は少し照れ臭そうに自画自賛していたが、聴いた人はみんなその言葉に深く頷いたはず。それくらい楽曲にパワーがあり、途轍もない説得力があった。このタイミングでしか生まれなかった曲だろう。
「まだ盛り上がり足りないだろ?」と呼びかけると、後半に向けてアッパー・チューンを畳み掛けていく。「青い春」、「ルール」と光彩の強いサウンドで攻めまくる。観客も歌い、ハンドクラップし、ジャンプするなど、思い思いに暴れている。その後、ステージに透明の幕を下ろされ、一瞬何が起きるのだろうとザワザワした。すると、幕が下ろされた状態で「うるさい」を演奏。メンバー4人の姿がぼんやりと透けて見える形となり、幕はスクリーン代わりとなり、そこに歌詞が流れていく。自分の奥底にある感情を押し殺すことにNOを突きつけ、もっと解放しろよ、解放していいんだよ、と背中を押す歌詞はインパクト絶大だ。ラストは「僕はあなたの味方なんだよ」と叫ぶような歌声で締め括る。歌詞といい、曲調といい、思わず涙腺が緩むほど人間臭い、いや、人間そのものを掻き鳴らすような楽曲だった。会場も最高潮の盛り上がりを記録したのは言うまでもない。
続いて「証明」で合唱を巻き起こした後、「東京流星群」においてはミラーボールが煌々と会場内を照らしつけ、星空のごとき美しい景色を見せ、観客の合唱をさらに大きくなっていった。渋谷もその光景に感動したのだろうか、これまでの着実に歩んできたバンドの歩みを振り返り、MCの途中で涙ぐみながら言葉を詰まらせる。そこで「計算外だ!」と叫ぶシーンに会場から温かい笑いが起きていた。
これからはバンドのスピードを上げていくから、絶対に付いて来てほしいと訴えると、精一杯の感謝の気持ちを乗せた「ありがとう」、「愛する」でライブ本編を終える。この2曲はまさに彼らが観客に一番伝えたいことに違いない。バンドとリスナーが楽曲を通し、より一層固い絆で結ばれていくような連帯感に満ち溢れていた。
その余韻も冷めないまま、再びアンコールを受け、ステージに現れたメンバーはここでニュー・アルバム『27』(6月1日発売)、それに伴う全国ツアーを行うことを告知した。そのツアーファイナルはまた今日と同じZepp DiverCityで行うことについて、会場も若干おや?となる。渋谷曰く、今日ソールアウトするとは思っていなかったという。嬉しい誤算なのだ。本当はソールドせずに、次回リベンジという筋書きまで脳裏に描いていたことを素直に告白する。そんなことまで、あけっぴろげに話すところも彼らの魅力と言えるだろう。 ニクめないというか、良い意味で不器用なバンドなのだ。
初めて披露する曲と前置きして新曲「秘密」、「ILP」と2曲をやり遂げ、ショウは終了。そう言えば、最後にメンバーは「今が最高に楽しい」と口にしていた。この言葉にすべてが集約されているように感じる。躓き、転んだ時もあっただろうが、それを経て今があるのだ。何ひとつ無駄なことはなく、プラスもマイナスも力に変えていくエネルギッシュなライブに釘付けになった。今のSUPER BEAVERは絶対に観ておいた方がいい。今年も大暴れしてくれることだろう。
【写真:Suzuki Kouhei/青木カズロー/MAYUMI -kiss it bitter-】
【取材・文:荒金良介】
リリース情報
セットリスト
SUPER BEAVER10周年記念〆
「都会のラクダSP 〜スーパーフィーバー〜」※ワンマンライブ
2016.4.10(日)Zepp DiverCity
- 1.→
- 2.361°
- 3.鼓動
- 4.言えって
- 5.ことば
- 6.歓びの明日に
- 7.あなた
- 8.シアワセ
- 9.らしさ
- 10.日常サイクル.
- 11.your song
- 12.人として
- 13.青い春
- 14.ルール
- 15.証明
- 16.東京流星群
- 17.ありがとう
- 18.愛する
- 1.秘密
- 2.ILP
お知らせ
NEW アルバム「27」発売&SUPER BEAVER 『 27 』Release Tour
2016/06/16(木) 千葉LOOK 《ワンマン》
2016/06/18(土) 横浜F.A.D
2016/06/19(日) 越谷EASY GOINGS
2016/06/24(金) 長崎STUDIO DO!
2016/06/25(土) 熊本Django
2016/06/26(日) 鹿児島SR HALL 2016/07/09(土) 水戸Light House
2016/07/10(日) 宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
2016/07/13(水) 神戸 太陽と虎
2016/07/14(木) 広島セカンド・クラッチ
2016/07/16(土) 松山サロンキティ
2016/07/17(日) 高知X-pt.
2016/07/18(月祝) 高松DIME
2016/09/02(金) 静岡Sunash
2016/09/03(土) 京都MUSE
2016/09/10(土) 金沢vanvan V4
2016/09/11(日) 長野J
2016/09/16(金) 高崎club FLEEZ
2016/09/18(日) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE《ワンマン》
2016/09/22(木祝) 仙台MACANA《ワンマン》
2016/09/24(土) 札幌COLONY《ワンマン》
2016/10/08(土) 岡山CRAZY MAMA 2nd room 《ワンマン》
2016/10/09(日) 福岡BEAT STATION《ワンマン》
2016/10/15(土) 名古屋CLUB QUATTRO《ワンマン》
2016/10/22(土) 大阪BIGCAT《ワンマン》
2016/11/05(土) Zepp DiverCity《ワンマン》
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