「FTISLAND Arena Tour 2016 -Law of FTISLAND:N.W.U -」4月30日 (土)の東京体育館をレポ
FTISLAND | 2016.05.19
「今回、新曲ほとんど持ってきました。自分たちも大好きなアルバム(『N.W.U』)だから、それを早くみんなに聴かせるために。今回はライブの本数が少ないから、全部みんなに見せてあげたいなと思って頑張って用意しました」と、ライブ中に話したホンギ(Vo)。
FTISLANDが4月6日にリリースした初めて全曲をメンバーが手がけた記念すべきアルバム『N.W.U』を携えて、4月27日に大阪・大阪城ホールよりスタートした最新ツアー<FTISLAND Arena Tour-Law of FTISLNAD:N.W.U->は、4月30日に開催した東京・東京体育館まで全3公演とコンパクトだったこともあって、どこもはちきれんばかりの観客で埋め尽くされた。オーディエンスの期待感に包まれるなか、彼らは「俺たちはこんなツアーもできるようになったんだよ」といわんばかりに、自作曲で埋め尽くされたセットリストで、1本のライブ全体を通してニュー・アルバムに刻み込んだN=泣いて、W=笑って、U=歌うという世界観へオーディエンスを導いていくというステージを堂々展開して見せたのだ。
この日のアンコールで、ツアーの追加公演を6月24日に日本武道館で行なうことが発表されたため、セットリストや演出の詳細についてはここでは割愛。一部の楽曲に触れながら東京体育館最終日のライブを振り返ってみたいと思う。
ホンギの「東京、今日はみんなの力を貸してくれよ! いこうか」という合図で、ライブはアルバム曲「AQUA」で幕開け。すると、客席一面から“ウォーオーオオオオー”というシンガロングが勢いよくわき起こる。新曲も準備万端といわんばかりのオーディエンスの熱唱に応え、FTは次々とアップテンポのロックチューンを投下。アグレッシブでキレのあるドラミングがひときわ迫力に満ち溢れていたミンファン(Ds)。ジェジン(B)は伸びある歌声がさらに説得力を増し、ボーカルでも人々を魅力しながらグルーヴィーなビートを作り出す。正確なカッティングでボトムを支え、音程がぶれないハーモニーで歌を支えるスンヒョン(Gt)に、プレーヤーとしてはその立ち姿、サウンドまで色気と男臭さをたっぷり醸し出すリーダーのジョンフン(Gt)。冒頭から彼らがロック・アンサンブルを轟かせ、場内は早くもヒートアップ。
序盤から汗だくになることを考え、ホンギは頭にバンダナを巻いて登場。
数曲歌い終えた後にサングラスを外し、挨拶を終えるとホンギはおしゃべりもそこそこに客席とコール&レスポンスを開始。それに続けて、ジョンフン(Gt)が「じゃあ男だけ!」とオーダーを入れて男性ファンを盛り上げるなど、本ツアーでは「海の声」をファンミーティングでカバー(この日も少しだけ歌ってみせた)して以降「日本語が楽しくなった」というジョンフンの日本語MCが随所で炸裂!!「元々クール(なキャラ)だったのに、今回のフニ(ジョンフンの愛称)はヤバイ!」とホンギにいわれ、ジョンフンがドヤ顔で(親指と人差し指をクロスさせて)ハートマークを客席に送っていると「“ロックバンド”なんだからそれはやめて」とホンギがバッサリ(笑)。
ホンギが疲れてドラム台に座り「みんなちょっと休憩しようよ。椅子に座って」とお客さんに提案していると、ジョンフンが驚いた声で「なんでみんな座ろうとしてるの! 僕は立ってるのに!!(笑)」と切り込むなど、これまでのFTとは違うホンギ&ジョンフンのコンビネーショントークで笑いをとり、ファンを楽しませるスタイルを新しく確立(微笑)。
そうして本編が進行していくなかでも、ホンギが「みんな叫べー」「まだまだ、もっと強めで!!」とアグレッシブに客席を駆り立て、曲のコーラスパートを一緒に歌うようにとオーディエンスの歌声を呼び起こしていった今回のライブ。メンバーと一緒にハイジャンプしたりタオルを投げたりハンドクラップして盛り上がるところに、“一緒に歌う”というアルバムに刻まれた世界観が加わることで、これまで以上にステージと客席が連帯感を持って開放感に満ちた音楽空間を生み出せるということを、彼らはこのライブで証明していった。
そして、このようなシンガロングで盛り上がる部分とは裏腹に、バラードで聴かせるところはメンバー各々が定位置でプレーヤーとしてのパフォーマンスに集中。楽器一つ一つのフレーズ、繊細な音色、歌詞に描かれた言葉一つにかけるメンバーの気迫のこもった演奏で、観客を楽曲の深い世界へと引きずり込んで心を揺さぶり、1曲また1曲と深い感動を与えていった。そして、本編ラストは「YOU DON’T KNOW WHO I AM」で再び歌い、騒いで締めくくった彼ら。
何より、この日のアクトでひときわ驚いたのは、冒頭に書いたようにこのライブを彼らが既存のヒットシングルや定番曲をほとんど外して、数曲以外はライブ初披露となるアルバム収録曲と(11曲中10曲を演奏)、ここ2、3年で彼らが作った自作曲からチョイスした楽曲だけでライブを成立させて見せた部分だ。
“FTISLAND”のコールを受け、再び舞台に戻ってきた彼ら。
ビジョンを通して<6月24日 日本武道館 追加公演決定!!>というサプライズ発表を行なった後、ホンギはいまの自分たちの状況を「みなさんの熱い反応でメンバーが手掛けた曲だけのアルバムを作れて、みなさんの熱い反応でこうしてライブができて。“心配”がどんどん減ってます」と微笑みながら話し、最後に「だから、いまは幸せです」といってのけたのだ。
その後にジョンフンがピアノを弾き、メンバー全員でボーカルリレーしてをして届けた「We are‥」は、泣き崩れながら歌うしかなかった観客たち。10代の頃、日本でロックバンド・カルチャーを学んだ彼らは、日本では若いロックバンドが普通に自作曲でライブをしていたことに強い衝撃を受けた。あれから8年---。彼らは、その間どんなことがあっても絶対に諦めなかった。そうして、昨年は韓国の音楽シーンで、今年は日本の音楽シーンで自分たちが最初に目指したロックバンドのあるべき姿へとたどり着いた。
『N.W.U』というアルバムタイトルに刻まれた泣いて/笑って/歌うというのは、ここまでたどり着いたFTISLNADの生き様そのものを表していたのだ。
こんなFTISLANDを、いまこそその目で、彼らの聖地・日本武道館で目撃してみて欲しい。
【取材・文:東條祥恵】
リリース情報
N.W.U
2016年04月06日
ワーナーミュージック・ジャパン
2. PUPPY
3. COME ON GIRL
4. 素晴らしい人生を
5. AQUA
6. アイデンティティ
7. imagine
8. Walking Dead
9. Time
10. Cycle
11. We are...
お知らせ
「FTISLAND Arena Tour 2016 -Law of FTISLAND:N.W.U-」FINAL公演
2016/06/24(金)日本武道館
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。