Charisma.comのアルバム「愛泥C」リリースツアー「FATです。PIGです。フィットネスツアー」が、5月15日・渋谷O-EASTでファイナルを迎えた。前回のツアーではステージをオフィスに見立て、MCいつかがロッカーから登場するというオープニングだったが、今回の舞台はフィットネスジム。DJゴンチのDJブースの脇にバランスボールやルームランナーがあり、ダンサーたちが思い思いに体を動かしているところに、やる気まんまんといったポージングのいつかとゴンチが現れライブがスタートした。1曲目はもちろん「サプリミナル・ダイエット」。ダンサーとともに消費カロリー高めなエクササイズダンスをクールにキメるいつか、DJブースからオーディエンスを煽るゴンチ、渋家による映像効果に照明などなど、どこを見ても何を感じても興奮しかない最高のオープニング。ゴンチが見事な縄跳びエクササイズを披露した「sodaiゴミの恋」、Charisma.comらしさ全開で痛快な「豚」と全力で飛ばしていく。

「ごきげんよう！ようこそ「FATです。PIGです。フィットネスツアー」へ！今日が最後です。みなさん、準備運動は完璧ですか？(客「イエーイ！」)嘘つくんじゃないよ！全然動いてなかったでしょ！先に言っときますけど、Charisma.comは聴かせるライブでもなければ見せるんでもない。見てちゃダメなんだよ？やるんです！どんどん自分から動いてってくださいね！」(いつか)

　“インストラクター”いつかの厳しいチェックを受け、さらに盛り上がる”子豚ちゃん”たち（笑）。中指立てまくりの「GODcustomer」から始まり、全員参加のとんがりポーズが圧巻だった「とんがりヤング」など、会場全体を巻き込んでのパフォーマンスが続いたかと思えば、「等身大グレー」ではいつかとダンサーだけで完璧なフォーメーションダンスで魅(見)せる。その後はゴンチによるビリーズブートキャンプばりのエクササイズDJタイムへと続き、メリハリの効いた流れと演出であっという間に前半戦を駆け抜けた。

　8曲目の「ベルサッサ」では、トレンチコートにハットをかぶったシンガー優がゲストとして登場し、ミニシンセを弾くいつかと2人でボーカルを。いつものように自撮り棒で撮影タイムを満喫した「自撮ール」に続いて「HATE」のイントロが始まると、今度はこの日の”特別インストラクター”がステージに現れた。昨年のクリスマスに行われた「ツーマン・ミュージカル」の時にもこの曲をコラボしたバンド「ザ・チャレンジ」のヤンキーチャレンジ(B.)とタラコチャレンジ(G.)だ。めまいがするほどカッコよかったあのバンド・バージョンを、フルメンバーじゃないとは言えまた聴くことが出来るとは！2人はそのまま「お局ロック」にも参加し、オーディエンスを大いに沸かせる。続く「腰掛けRAP」では、いつもの赤い脚立に腰掛けるいつかと、台車に乗せたパイプ椅子に座るゴンチが”お局VS腰掛け”バトルを展開する場面も。曲は再び「お局ロック」へと戻っていき、スペシャルな演出と演奏で構成された中盤戦を大歓声とともに締めくくった。

「あれ？痩せたんじゃない!?後ろの方の人とか結構ガリガリなんじゃない？ま、全然見えてないけども（笑）」(いつか)

　そんなトークで始まったMCのコーナーでは、友達が話す会社のグチで「お局」の先に「屍(シカバネ)」があることを知って衝撃を受けたといういつか（笑）。「「豚」ってタイトルもひどいけど、「屍」もヤバいでしょ!?曲作りますから。…メタルかな（笑）」なんて言いながら笑っていたが、まさにCharisma.comのためにあるかのようなワード！こちらの期待や想像をはるかに超える角度と切り口で仕上がってくる日が、勝手に待ち遠しくなった（笑）。

「なんでやってないの!?見てるからね？やってないと1回1回止めるからね？Charisma.comは強要するからね？煽りもすごい強引だし！」(いつか)

　オーディエンスのリアクションに何度もチェックを入れながら振付けをレクチャーした「骨抜きに恋して」、そこから「GEORGE」、「こんがらガール」と一気に畳み掛けて本編を終えると、この日ももちろん「残業！残業！」が繰り返されたアンコールへ。ステージには椅子が５脚用意され、いつかとゴンチ、ゲストの優、ヤンキーチャレンジとタラコチャレンジによる「アラサードリーミン」が披露された。アコースティックギターとベースによるシンプルなサウンド、3人の声とオーディエンスの手拍子だけで作り上げたスペシャルバージョンだ。

　マイペースぶりがすでに芸人のような域に達しているゴンチとともにグッズの紹介をしたりしつつ、「またお会い出来る時には、若干のストレスとか心の闇を抱えて来ても大丈夫です。Charisma.comのライブは平気で「FAQ(ファッキュー)」とか言いますし、「豚」って曲を皆さんに浴びせたりします。どんと来いって感じですから」と最後のMCを始めたいつか。そして、自分が書く曲は正論だと思ってるんだけど、正論は世の中があまり求めてなかったりする。正論を掲げると若干生き辛かったりもするけど、間違ってはないと思うからこれからも書いてっていいよね？と話を続けた。いやもう、そのとおりだと思う。いつかが切り取ってくる情景は手っ取り早い共感を欲しがるブラックな「あるある」ではなく、臭いものにフタはしたくないし、王様にだって裸は裸だと言わなきゃおかしいし、「それはわかるけど」って目をつぶりたくないから物申す「正論」。だから「楽しかったね」だけじゃなく、心のどこかがキリリと引き締まるような感覚でライブ会場を後にするのだと思う。

「今日は本当にありがとうございましたーっ！痩せましたかーっ!?(客「イエーイ！」)ウソつけーっ!!」(いつか)

　最後の最後までインストラクターいつかにしごかれながら、ライブはこの日2度目となる全身全霊の「サプリミナル・ダイエット」で幕を閉じた。

【取材・文：山田邦子】
【撮影：Megumi Suzuki】