今注目のレーベルCONNECTONEが、衝撃的なイベントを開催!
ぼくのりりっくのぼうよみ | 2016.05.27
“ぼくのりりっくのぼうよみ”という変わった名前のヒップホップ・アーティストが音楽シーンで大きな注目を集め出したのは昨年の秋だった。もともと2年前に10代向けのオーディション「閃光ライオット」で大きく知名度をあげていた彼が、いきなり9曲入りフルアルバム『hollow world』でメジャーデビューを果たしたのだ。その作品は、当時まだ高校生でありながら、圧倒的な言語感覚に裏打ちされたハイクリオリティなポップアルバムで、多くのメディアの賞讃の的となった。あれから半年。大学受験もあり、ライブで見るチャンスが少なかったぼくりりだったが、ついにその機会が訪れた。本人もこれほど大きなライヴは初めて。新世代アーティストの筆頭とも言われるぼくりりが、どんなライブをするのか。この日の会場には早耳のリスナーをはじめ、業界関係者も多く詰めかけていた。
ぼくりりが立ったステージは、所属するビクター内の新レーベル・CONNECTONEが初めて主催したレーベルイベント「CONNECTONE NIGHT Vol.1」だった。大トリとして登場したRHYMESTERが王者の貫禄をステージで示す圧倒的なステージを見せたほか、メインステージでは軽やかなシティポップでフロアを解放的なムードで包み込んだAwesome City Club、ジャズやソウル、ファンクを取り入れた豊潤なグルーヴ感で湧かせたSANABAGUN.など、自身のアティチュードをはっきりと打ち出すクセ者揃いのレーベルメイトたちが、その個性を次々にぶつけ合っていく。一方、会場脇に設置されたサブステージには、路上育ちのロックンロール魂でフロアの喝采を攫ったTHE THROTTLEと、ピュアで体当たりなステージが魅力的な高知発の女の子4人組sympathyら新人が、無名ながらもその場所に爪痕を残そうという気合の入ったライブを展開。初のレーベル主催オーディションで優勝を獲得し、オープニングアクトで出演した鹿児島在住のギターロックバンドArt Buildingは美しくも刹那的な音像とエモーショナルな歌のパワーが印象的だった。
そんなイベントのメインステージのトップバッターとして登場したのが、ぼくのりりっくのぼうよみだ。SEは自身の楽曲「Venus」。その第一印象は、ほんの数ヵ月前までは高校生だというあどけなさと、パフォーマーとしての落ち着いた存在感とが入り混じったものだった。鳴り物入りの新人がどんなライブをするのか、会場にはどこか異様なほどの期待感と緊張が渦巻いていた。そんななか、ぼくりりが無言のまま繰り出した1曲目「Black Bird」は、《お前ら全員バカばっか》、そんな強烈なリリックから始まった。ピアノの旋律にのせて、歌うようにラップする。淀みなく言葉を操る独特のラップスタイルは、軽妙なビートにのせた攻撃的なナンバー「A prisoner in the glasses」でいっそう聴き手の心をぐっと掴んでいった。
昨年12月にリリースしたアルバム『hollow world』の収録曲がメインとなるセットリストで、とりわけイントロの一音目から大きな歓声が湧いたのが、代表曲「sub/objective」だった。ハンドマイクで軽くステージを移動しながら歌うぼくりりの脇でサウンドを支えたのは、DJのヒロロンとキーボードのタケウチカズタケ。《人からどう見えてんのか それだけが気になる》、自分探しの混沌とした心情を描く繊細で隙のないリリックは、優しくて素朴なぼくりりの声ともよく似合う。と同時に、「Collapse」で感じたのは、彼とピアノとの抜群の相性の良さだった。時々、ピアノと声だけの弾き語りスタイルで聴かせた楽曲はとてもドラマチックで、ぼくりりの最大の武器である言葉をいっそう引き立たせる名演だった。
身振りを大きく使ったエモーショナルな歌唱で届けた「CITI」のあとは、熱烈な拍手喝采に「うわっ、すごい!」と戸惑いながら、「思ってたより30倍ぐらい暑いです(笑)」と見せた素の笑顔も印象的だった、ぼくりり。およそ30分ほどのステージのラストは、会場が一体となって左右に大きく腕を振った「Sunrise(re-build)」で締めくくった。そのライブは肉体的というよりは文学的。身体に訴えるのではなく、心を強烈に揺さぶるものだった。
ここから、ぼくのりりっくのぼうよみは春~夏フェスで全国の会場を席巻する。一足先にぼくりりのライブ見た立場から言えば、ぜひ目撃してほしい。このテキストの出だしにぼくりりを“ヒップホップ・アーティスト”と称したが、その存在は“詩人”と呼ぶほうがしっくりとくる気がする。現代の詩人が紡ぐ静かな叫びをぜひ受け止めてほしい。
【取材・文:秦理絵】
【撮影:小見山峻】
リリース情報
ぼくのりりっくのぼうよみ『hollow world』
2015年12月16日
ビクターエンタテインメント
2. パッチワーク
3. A prisoner in the glasses
4. Collapse
5. CITI
6. sub/objective
7. Venus
8. Pierrot
9. Sunrise (re-build)
お知らせ
SEKAI NO OWARI主催
clubEARTH 10th Anniversaryイベント
2016/06/10(金) 新木場Studio Coast
JOIN ALIVE 2016
2016/07/16(土) いわみざわ公園
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2016/08/20(土) 国営讃岐まんのう公園
WILD BUNCH FEST. 2016
2016/08/21(日) 山口きらら博記念公園
SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2016
2016/08/27(土) 山中湖交流プラザ きらら
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