go!go!vanillas、各地で吸収したパワーを大放出!ツアーファイナルをレポート
go!go!vanillas | 2016.06.08
「お待たせ!帰ってきたぜ、東京!今日はいろんな街で吸収したパワーを見せに来ました!」という牧達弥(Vo.G)の感慨深い言葉と共に、3月4日に千葉LOOKからスタートしたgo!go!vanillas史上最長のツアーが、ついに新木場スタジオコーストでファイナルを迎えた。EMTG MUSICではその初日の模様も速報レポート(こちら)でお届けしたが、そこから23公演を経て帰ってきたバニラズは予想以上に劇的な進化を遂げていた。前回のツアーファイナルとなった赤坂ブリッツを超えるキャパシティとなった新木場コースト。ライブハウスの隅々まで熱狂させる堂々としたパフォーマンスは、彼らがここまでの23公演、その1本1本をいかに全力で駆け抜けてきたかを十分に物語っていた。
いつものようにSEはエレクトリック・ライト・オーケストラの「ミスター・ブルー・スカイ」。客席のハンドクラップにのせて、勢いよくステージに飛び込んできた4人はファイナルに臨む意気込みを全く抑えようともせず、1曲目「ラバーズ」からハイテンションなステージを繰り広げた。「踊れー!」、牧の声を合図にジェットセイヤ(Dr)がスティックを頭上に突き上げた「ニューゲーム」では、長谷川プリティ敬祐(B)が「ウォイ!ウォイ!」と力強く叫んだ。ボーカル牧のハスキーな歌声で紡ぐ心地好いメロディ、柳沢進太郎(G)の存在感のあるギターリフと、リズム隊ふたりの軽快なビートが鳴り響く会場では、じっとしてなんかいられない。どんなに沈んだ気持ちでも、ぶわりとすくい上げるような陽気で痛快なバニラズのロックンロールにフロアは踊らされっぱなしだ。
「初日からファイナルみたいな気持ちでやってきたけど、ファイナルは違うね!」。プリティが息を切らしながら声を弾ませたMCのあと、「ビートクラブ」では《ドキドキするような騒がしさが ここ“新木場スタジオコースト”にはあるから》と、歌詞の一部をさらりと変えて歌った。それに会場は一段と湧く。この日のバニラズはいままでに見たどのライブよりもお客さんとの距離が近いような気がした。会場にいる全員がひとつになってライブを作り上げる。進太郎が「学園天国」のメロディを使ったコール&レスポンス……ならぬ“ギター&レスポンス”を巻き起こした「ビッグモンスーン」も、そう思わせた1曲だ。
今回のツアーの中心となった『Kameleon Lights』という作品は、様々に色を変えるカメレオンのようにバラエティ豊かなバニラズの楽曲が収録されたアルバムだった。だからこそ、その1曲1曲をライブという空間で再現することは簡単ではなかったと思う。煌びやかな幸福感に包まれた「セレモニー」や、軽やかなリズムに揺れた「ツインズ」など、様々な表情を見せる楽曲たちのなかで、とりわけ素晴らしかったのが「チルタイム」だった。ボーカルの牧がギターではなくキーボードを弾き、どこか懐かしいメロディにのせて歌うのは、古い友人とお酒を酌み交わして抱くほんの少しの感傷。それは踊れるバニラズ、熱いバニラズとは一線を画すナンバーでありながら、間違いなくハイライトと呼べる名演だった。
そして、今回のライブでその真価を爆発させた飛び切りのファストチューン「デッドマンズチェイス」も最高だった。メンバー全員がボーカルをとり、フロント3人がステージ狭しと動きまわる目まぐるしいステージ。プリティが中央に置かれた牧のマイクで歌おうとすると、牧がさりげなくプリティの身長に合わせてマイクを低く下げる場面も。そんな一幕もなんだか微笑ましい。MCでは今回のツアー恒例の「お悩み相談コーナー」。お客さんの悩みにメンバーがガチでアドバイスをするのだが、「女ばかりの職場で困ってます」という男のお客さんの悩みには、「何が困るの!?最高じゃん」というプリティの素朴な疑問が飛び出したりと、メンバーそれぞれの個性的な回答に会場は和やかなムードに包まれた。
「スーパーワーカー」を皮切りに突入した怒涛のクライマックスでは、バニラズNo.1のお祭りナンバー「ヒートアイランド」の直後、なんとセイヤがスティックを放り投げて、素手でドラムを叩きまくる型破りなパフォーマンスを展開。熱狂はぐんぐん加速して、ライブはフィナーレへと向かった。曲に合わせて息の合ったハンドクラップが響いた「ホラーショー」から、もみくちゃのフロアが盛り上がりのピークへと達した「カウンターアクション」へ。ラストスパートを一気に駆け抜けたあと、最後に「みんなへの感謝の気持ちを書いた曲です」と切り出した牧。だが、「あぁ、終わりたくないんだよ……」となかなか曲に移ることができなかった。意を決して繰り出したラストソングは「ギフト」。《どうかまた会える日まで さよならは言わないよ》。眩しい光に包まれて優しく届けた1曲は、最高のロックンロールが鳴り響く一夜を笑顔で締め括り、また必ず会おうと約束する優しい歌だった。
アンコールでは7月20日にTHE BAWDIESとのスプリットシングルとしてリリースする「ヒンキーディンキーパーティークルー」がいち早く披露された。間もなく今回のツアーを終える4人だが、その心は途切れることなく次の目的地へと向かっている。最後に、「俺が家でアコースティックギターで作った曲が、こんなにたくさんの人に聴いてもらえて本当に幸せです」と心底嬉しそうに感謝の気持ちを伝えた牧。ラストナンバーは巨大なミラーボールが作り出す魔法のような美しい景色のなかで届けた「マジック」だった。牧、プリティ、進太郎の3人がセイヤを取り囲むようにドラム台に乗り込んで一斉に大ジャンプ。汗と熱気に包まれて、2時間以上にわたるロックンロールパーティーは幕を閉じた。
「いままででいちばん楽しいツアーでした!」。全24公演を振り返って、牧はステージでそんな言葉も口にした。より豊潤な音楽と、かつてないバンドの一体感。それを得た実感がきっと大きな喜びに繋がったのだろう。4人全員がツアーを通じて確実にパワーアップしたことで、よりバンドとしての地力が上がったのがいまのgo!go!vanillasだ。昨年は渋谷クアトロから赤坂ブリッツへ、そして今年は新木場コーストへと、一歩ずつ着実にバンドの立つステージを広げてきたバニラズ。彼らの進化はまだまだ止まりそうにない。
【取材・文:秦理絵】
【撮影:浜野カズシ】
リリース情報
Kameleon Lights(初回限定盤)
2016年02月10日
ビクターエンタテインメント
1.ラバーズ
2.ニューゲーム
3.スーパーワーカー
4.バイリンガール
5.ビートクラブ
6.チルタイム
7.セレモニー
8.ツインズ
9.ヒートアイランド
10.カウンターアクション
11.ギフト
12.デッドマンズチェイス(kameleon version) ※初回盤限定ボーナストラック
[DVD]
「COUNTER ACTION TOUR 2015 Tokyo Akasaka Blitz 2015.12.03」
1.バイリンガール
2.セルバ
3.ハイテンション
4.メリーメリーメリー
5.カウンターアクション
6.ティーンネイジャーズノイズ
7.ライクアマウンテン
8.マジック
リリース情報
お知らせ
ジャイアンナイト feat. go!go!vanillas
〜Kameleon Lights Tour 2016 After Party〜
2016/06/09(木) 吉祥寺 CLUB SEATA
BLUE ENCOUNT 「TOUR2016 THANKS」
2016/06/17(金) 富山 SOUL POWER
2016/06/18(土) 金沢 vanvan V4
OTOSATA ROCK FESTIVAL
2016/06/25(土) 長野県 茅野市民館
Czecho No Republic presents
『ドリームシャワー 2016』
2016/07/03(日) 新木場 STUDIO COAST
JOIN ALIVE 2016
2016/07/17(日) 北海道 いわみざわ公園
rockin’on presents
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016
2016/08/06(土) 茨城県 国営ひたち海浜公園
MONSTER baSH 2016
2016/08/20(土) 香川県国営讃岐まんのう公園
SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2016
2016/08/27(土) 山梨県 山中湖交流プラザ きらら
RUSH BALL 2016
2016/08/28(日) 大阪府 泉大津フェニックス
THE BAWDIES × go!go!vanillas
“Rockin’ Zombies Tour 2016″
2016/10/14(金) 仙台 Rensa
2016/10/15(土) 新潟 LOTS
2016/10/22(土) 名古屋 ZEPP NAGOYA
2016/10/23(日) 大阪 なんば Hatch
2016/10/25(火) 広島 CLUB QUATTRO
2016/10/27(木) 熊本 DRUM B.9 V1
2016/10/29(土) 東京 ZEPP DIVERCITY TOKYO
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。