前へ

次へ

次世代を担うロックバンドが下北沢に集結!NOWEATHER自主企画をレポート

NOWEATHER | 2016.06.27

 次世代を担うロックバンド、4組が集結するイベント<NOWEATHER presents未完の映画上映日 東京編>。梅雨の只中、ひどく蒸し暑い夜に、その宴は行われた。強い冷房と地下のライヴハウス独特の匂い。ステージも低く、決して広くはない会場。だが、闇雲に蒼いエネルギーが渦巻いている。

 その空気を一瞬で自分たちの色に染め上げたのが、一番手の4ピースバンド、モノレコード。爽やかな白で揃えた出で立ち、1曲目から明るさと眩しさを備えたポップロックチューンで手拍子を煽る。森(Vo&Gt)の、ギミックのない真っ直ぐな声が後ろまで届く。正確なビートを刻む紅一点の関(Dr&Cho)のコーラスは、風となってそよぎ渡った。渾身の歌と真摯な言葉、ブライトなポップ性を突き詰めたモノレコード。語りかけるようなラストナンバー「少年」をオーディエンスの心に深く刻み、5曲のステージを終えた。

 切り刻まれるギター、心拍数より速いビート。緊張感あるダークな世界観で押し切ったのは2番手、羊の群れは笑わない。。『全力でやって帰る』。そう言い放ち、それぞれがテクニカルな演奏で圧倒し、芯と揺らぎのある歌声を聴かせる木谷(Vo&Ba)。アグレッシヴな躍動と内省的な空気感、観念的な歌詞の中に感じさせるひと匙の人間味に強く惹きつけられる。6曲を畳み掛け、音の波紋と残像の中、ステージを降りた3人。固有の色をどれほど濃くするか、または広げていくのか、先が楽しみなバンドだ。

 疾走感あふれる「ともる」で幕を開けたギターロックバンド、tonetoneのステージ。サポートベーシストを加えた4人編成での登場だ。甘くほろ苦い田村(Vo&Gt)のイノセンスを感じさせる特徴的な歌声とポップな演奏、スタンダード性の高いソングライティングは、再び会場の空気をカラフルに一変させた。この日は、久しぶりに演奏するという「天使じゃない」から、メンバー紹介を挟んで、新曲「さよならロックンロール」も披露。田村の弾き語りでライヴを行っている一方、バンドでは高い演奏力を見せつけるのが強みでもある。誰にも描けない情景を見せてほしい。そう思わせる昨今稀有な3人組だ。

 『お待たせ-!』の声と共に、今日のハイライトである4ピースバンド、NOWEATHERが登場。オープニングナンバー「残像、街灯」「赤い青春」と、冒頭から立て続けに攻めまくる。シニカルかつ冷静な目線で現実を見つめ、もがきながら、ここではない場所へと突き抜けようとする、今のバンドの視点が曲に投影された「赤い青春」。そのヒリヒリ感とともに突き刺さってくるメロディ、一筋縄ではいかない各々のプレイ、練り込まれた曲構成は、現時点での彼らの代表曲であるといっていい。頭と耳にこびりついて離れない大畑(Vo&Gt)のエキセントリックなハイトーンは、野性味すら感じさせる。スピーディーなドラムの上を這うベースが印象的な「境界線」。あっち、そっち、こっち、どっちと指を指し、髪を振り乱しながら歌う大畑。

 千葉から何度も下北沢に来るうちに、道を覚えたと話すMCの後は「染まる街、変わらない僕」。展開にフックがあるこの曲で、大畑のナイーヴな声のよさが明白となる。イベントという短い時間の中、MC後にミドル曲をもってくるという流れに大器の予感を感じさせた。この曲で会場を取り巻いたミラーボールはまだ小さい。だが、いつの日か、もっと大きな光に包まれる日がやってくるだろう。それはそんなに遠い未来の話ではないだろう。

 右へ左へと首を振りながら歌う大畑のスタイル。白熱のプレイと絶唱が響き渡った「スターゲイザー」から、あっという間に後半戦へ。ここで今回の<未完の映画上映日 東京編>への思いが初めて吐露された。ひとつ目は「音楽には完成がない」ということ。ふたつ目は「人生は映画のよう。知らないことは書けない。今まで育ってきた中で知っていることを皆さんに伝えたい」というものだった。“リアル”という言葉は、もはやステレオタイプになってしまっているが、作品と生き様にブレがない彼らのリアルは、真実味をもって受け止めることができる。

 大畑の作るメロディにある歌心が全面に現れた「空の随に」。手拍子を送った手のひらがステージを向いているのは『届いているよ』の証。そのオーディエンスに体を傾ける大畑。『ここに立つことで自信がもてるようになりました』。そんな言葉から始まった「人たち」。歌を支える演奏は、どんどんスケールを広げていく。静寂の中、残った歌声は、間違いなくオーディエンスだけに向けられていた。『今ならきっと分かりあえる気がするよ』。

 アンコール。いつの時代のものなのか、今どきめずらしいインスタントカメラで客席を写真に収めた大畑。『俺たちはこれからもこの景色を忘れずに、もっと大きいところでやりたいんだよ』。現実と渇望と希望の言葉、そして歌「blue」。この曲はもしかしたら今しか演奏できない曲になるかもしれない。その今を歌うために大畑はマイクを手にオーディエンスの中に飛び込みそうになりながら、最後に声の限りを振り絞った。

 モノレコード、羊の群れは笑わない。、tonetone、そしてNOWEATHER。バンドが大きくなるにつれての変化も当然あるだろう。“ポップに寄ることの難しさ”という壁に突き当たることもあるかもしれない。けれど今日の物販で、財布の中身を確認しながら思い切ってCDを求めていた少女がいたことを、どうか忘れないでいてほしい。

【取材・文:篠原 美江】

tag一覧 NOWEATHER ライブ 男性ボーカル

リリース情報

タワーレコード限定フリーサンプルCD

タワーレコード限定フリーサンプルCD

2016年04月08日

-

01.blue
02.空の隨に

お知らせ

■「NOWETHER」ライブ情報

「今、」-乙15th ANNIV!-
2016/7/5(火)渋谷CLUB KINOTO

『KNOCKOUT vol.31』-Anniversary Special-
2016/7/11(月)下北沢MOSAiC

Break of dawn
2016/7/12(火)下北沢DaisyBar

RINGOOO A GO-GO 2016
2016/7/16(土)新宿JAM

CLUB CRAWL pre.「SAKIDORI!!!!!」
2016/7/27(水)渋谷CLUB CRAWL

mock heroic New Single Release Party 〜NATSUDAKEDO?〜
2016/7/29(金)千葉LOOK

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る