2016年1月1日以来、妄想キャリブレーションの約半年ぶりのワンマンライブである「妄想キャリブレーション1st single発売記念ライブ～ちちんぷいぷい♪～」が、2016年6月17日に渋谷TSUTAYA O-EASTで開催された。そこでは新曲の初披露もあり、さらにはファンのクリスマスの予定をいきなり押さえてしまう驚きの展開もあった。
　この日は、会場限定CDの販売もあり、開演前から会場は混雑して熱気に満ちていた。そして、開場すると「妄想族」と書かれたTシャツを着たファンたちが次々とフロアへ流れ込む。

　1曲目は、2016年6月1日に発売された、Sony Music Records所属後の第一弾シングル「ちちんぷいぷい♪」。会場が暗転すると、大歓声の中、DJブースに牛のキャラクターの妄想（モウソウ）の「ソウくん」が現れた。

　そして、妄想族による激しいクラップの中、メンバーがステージに登場。妄キャリならではのEDM＝“MOSO EDM”サウンドの「ちちんぷいぷい♪」では、ドロップ前・ビルドアップ部分の「恋よ」と繰り返す部分で妄想族も大歓声をあげ、ジャンプもする盛りあがりとなった。

　DJ・ソウくんがステージを去って、「何故なら私、妄想少女ですの」が始まると、会場はさらにヒートアップ。会場に鳴り響く妄想族の声量にも感心してしまった。

　そして、ここで早くもこの日のハイライトが訪れた。落ちサビで、星野にぁの誕生日（6月21日）を祝う黄色い生誕サイリウムが一斉に光ったのだ。TSUTAYA O-EASTは一瞬にして黄色で埋め尽くされてしまった。

　MCでは、星野にぁが「こんなに歌えなくなったのは初めてかもしれない」と語り、サプライズ生誕への驚きと感謝を述べていた。

　「妄想プロミネンス」では、楽曲の歌謡性と妄想キャリブレーションのダンスが溶け合い、フロアを熱狂させていた。落ちサビを歌うメンバーが入れ替わるごとに、4色のサイリウムが入れ替わりで点灯されていたのも美しい光景だった。

　曲名通りにスケールが広い楽曲が「はじまりがはじまる」だ。妄想キャリブレーションのダンスは、ステージの幅や奥行きを効果的に使うフォーメーションが美しかった。数々のライブで磨きあげられてきたこうしたフォーメーションの美しさは、妄想キャリブレーションのライブでの大きな強みだ。

　「おもてなでしこ伝承中」では、間奏における妄想族の口上も激しく、痛快な光景だった。

　MCでは、「ちちんぷいぷい♪」のリリース後の変化についてメンバーが感想を述べていた。それは、「これまでは東京だけでライブをしていると『来てください』としか言えなかったけれど、全国各地に行けるようになったので『行くから来てください』と言えるようになった」という主旨だった。SonyMusic Recordsに所属することを元日に発表して以降、さまざまな場所でステージに立ってきたメンバーの想いが詰まったMCでもあった。

　さらに、「夏のイベントも続々と決まる妄想キャリブレーションについてこれるか、チェックとして歌います」というMCから「YOUをちぇっくします!」が始まった。フロアは充分夏のイベントについていけそうな盛りあがりだった。

　そして「悲しみキャリブレーション」へ。メンバーが冒頭のフォーメーションを組んだだけで大歓声が起きた。この楽曲では、直列を多用したフォーメーションが美しい。そして、憂いのあるメロディーとダンスで妄想族を熱狂させる光景は、妄想キャリブレーションの本領発揮だと感じた。間奏では、フロアでMIXの円陣がいくつも発生していた。

　そして、MCで「新曲を持ってきました！」と新曲初披露が発表された。新曲は、制作段階から妄想キャリブレーションも関っているという。「ちちんぷいぷい♪」を作詞した加藤哉子とメンバーがともに作詞をして世界観を作っているそうだ。作曲は、「ちちんぷいぷい♪」同様にDJ’TEKINA//SOMETHING。「ゆよゆっぺ」名義でBABYMETALへも楽曲提供をしているアーティストだ。

　その新曲「アンバランスアンブレラ」は、「ちちんぷいぷい♪」の路線を踏襲した“MOSO EDM”サウンドだったが、よりポップでキュートになり、セリフも挿入されていた。ドロップの盛りあがりのピークにサビが来る構成は、「ちちんぷいぷい♪」以上に盛りあがりやすいと感じた。リリースされる日が楽しみだ。その新曲とともに本編は終了した。

　アンコールの前、あるひとりの妄想族の声が演説のように会場に響いた。その中でも最後の「妄キャリはライブだよな！」という言葉は、この会場の熱気のすべてを言い表しているように感じたのだ。

　アンコールでは、Tシャツ姿に着替えたメンバーが登場。さらに、最近妄想キャリブレーションに導入されたという自撮り棒で、会場の妄想族との撮影も。

　そして、2016年12月25日に新木場STUDIO COASTでワンマンライブ「君に魅せたい！妄キャリが贈る今夜かぎりの、、、ULTRA MOSO ∞ PARTY！！！！！！」を開催することを発表した。「もうクリスマスの予定が決まってるとかかっこいいでしょ？」と、いきなり妄想族のクリスマスの予定を押さえた妄想キャリブレーション。クリスマスへの期待の中、DJブースに戻ってきたソウくんとともに再び「ちちんぷいぷい♪」を歌い踊った。この日のライブで印象的だったのは、胡桃沢まひるが語った「私たちはステージから恩返しをすることしかできない」という言葉だった。これは、妄想族が叫んでいた「妄キャリはライブだよな！」という言葉と対をなすもののように感じられた。「アンバランスアンブレラ」という新曲を武器に、妄想キャリブレーションがどんなワンマンライブを新木場STUDIO COASTで見せてくれるのかを楽しみにしよう。

【撮影：チェリーマン】　
【取材・文：宗像明将】