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Mrs. GREEN APPLE主催、SAKANAMONとの2マンツアー東京公演を完全レポート!

Mrs. GREEN APPLE | 2016.07.01

 例えばメンバー編成も志向するサウンドもスタイルもそれぞれに違う。それでも、ただ一点、“音楽を鳴らす”という揺るぎない共通項で結ばれた者同士が本気でぶつかり合う。そこに生まれる、その瞬間だけの熱がツーマン、いわゆる対バンライブの醍醐味だろう。しかも、今をときめくMrs. GREEN APPLEが主催し、彼らと、彼らのラブコールに応えた精鋭バンドによる最強タッグが展開されるツアーとなれば、もはや期待しない理由がない。  

 名古屋公演には04 Limited Sazabys、大阪公演にはキュウソネコカミをそれぞれに迎えて大成功に収めた“Mrs. TWOMAN TOUR ~初夏とリンゴとロックバンド~”の3公演目にして最終日、6月16日の渋谷CLUB QUATTRO(なお、今ツアーは3公演とも各地のCLUB QUATTROにて開催)。ツアーのトリを飾る東京公演の先攻を務めるのはSAKANAMONだ。バンド同士の面識は実はあまりないそうだが、次のMrs. GREEN APPLEのターンで大森元貴(Vo.&G.)と若井滉斗(G.)が「中学生の頃から聴いていた」と口を揃えて語った通り、Mrs. GREEN APPLEにとっては敬愛してやまない先輩3ピースバンド。先の2公演も含め、純然たるリスペクトがこのツアーの柱となっているのだ。  

 盛大な歓声と拍手の中、登場したSAKANAMON。いきなりの大歓迎ぶりに「なんか……すごいですね」と思わず恐縮する藤森元生(Vo.&G.)だったが、ひとたび演奏に突入すれば当然のごとく全力全開だ。「マジックアワー」では藤森が歌詞の“愛してるよビール”を“愛してるよミセス”に替えて野太く絶叫、あっという間に場内をSAKANAMONワールドに染め上げる。さらに「アリカナシカ」「幼気な少女」と畳み掛け、3ピースらしいプリミティブな遮二無二さ、しかし単に勢いで押すだけではない構築感のある分厚いサウンドをガツガツとフロアに投げ込んでゆく。

 MCでは森野光晴(B.)が「呼んでいただけたと言うことはミセスは僕らの音楽を好きでいてくれるのかなと。みなさんにも好きになってもらえるように頑張ります」と意気込みつつ、両バンドの共通点はボーカリストの名前が似ていることくらいと続け(ちなみに藤森は“げんき”、大森は“もとき”)、「元生くんにないものを全部持ってる元貴くんですけども、元生くんにしか歌えないラブソングをやります」と告げて「君の○○を××したい」を披露。これほどに切実で身も蓋もないラブソングはたしかにSAKANAMONでしか鳴らせないだろう。ラスト「TSUMANNE」では客席を巻き込んだ“つまんねぇよ”の大コール&レスポンスで日頃の鬱憤を歓喜へと昇華させ、控えるMrs. GREEN APPLEに最高のバトンを渡した。  

 尋常ならざる熱量と生身のエモーション。敬愛する先輩バンドから受け取った本気が彼らのポテンシャルの火にさらなる油を注いだ。そう確信するほどにMrs. GREEN APPLEのステージにはのっけから鬼気迫るものがあった。とはいえ思い詰めたような切迫感とは種類が異なる。動きを揃えたキャッチーなパフォーマンスやメンバーの誰が誰に絡んでは仲のよさを客席にもお裾分けする場面などは相変わらず満載だったし、また歌われている内容や曲調がどれだけシリアスでも根底には必ず希望が携えられた真性にポジティブなMrs. GREEN APPLEならではのポップネスもそのまま、しかしこの日の彼らはより自らの内面を剥き出そうとしているように思えた。そうすることで、よりオーディエンスに踏み込んでいきたい、そんな意志を感じたのだ。

 思えば1曲目「愛情と矛先」から前のめりだった。山中綾華(Dr.)のカウントを合図に軽快に溢れ出すアンサンブル、ぐいぐいとフロアをたぐり寄せるかのような力強さでまずは1コーラス歌い上げた大森。直後叫んだ「会いたかったー!!」にはまさに想いが堰を切ったと言わんばかりの迫力が宿っていた。となれば、もちろんオーディエンスが全力で応えないわけがない。まるで客席も楽器の一部であるみたいに満場のクラップがステージの演奏に融け合って大きなアンサンブルを奏で、ジャンプに、シンガロングにと一気にボルテージが上がる。のっけからこの一体感!会場の規模など物理的にもそうではあるが、それ以上にステージとフロアの距離が実に近い。

 「我逢人」「アンゼンパイ」「キコリ時計」とアッパーに盛り上がった前半戦を一転させたのは「L.P」だ。大森のハイトーンなスキャットが藤澤涼架(Key.)が紡ぐ鍵盤の旋律に絡む。イントロのシーケンストラックが流れ出すとフロアのあちこちから小さな悲鳴のような、あるいは息を呑むような声が漏れ聴こえた。疾走感はたたえながら痛切なまでの焦燥ややりきれなさを歌のみならず演奏の細部にまで行き渡らせた静かな迫力に目をみはる。光と影で言うならば、この楽曲は影だろう。その両方があるからこそ、そしてそのコントラストが鮮やかだからこそ、Mrs. GREEN APPLEの音楽は人を惹きつけてやまない、そう思う。  

 張りつめた余韻は前日にリリースされたばかりのニューシングル「サママ・フェスティバル!」に収録のカップリング曲「ノニサクウタ」がほっこりと解きほぐし、続く「VIP」では曲中、「本日、ここしか見せ場はありません!頑張ってます!」と大森に茶化されつつも髙野清宗(B.)がパワフルなベースソロを披露。大合唱の「Speaking」のあとは「うブ」がますますフロアを熱狂させた。若井が刻むザクザクとしたギターリフ、がっつりとエフェクトをかけたボーカルも印象的なダンサブルなロックチューンであり、もとよりアグレッシブに突き抜けた曲だが、この日は一段と挑発的。大森が歌の合間にも「いけるか!」「聴こえないなぁ!」と煽れば、バンドも一丸となって音とプレイで暴れまくる。高速で瞬くストロボライトがまた容赦ない。

「夏は好きですか?なら、この曲しかないですよね」  

 本編ラストは「サママ・フェスティバル!」で最高潮に盛り上がった。梅雨の季節、外はあいにくの雨模様だが、この瞬間、渋谷CLUB QUATTROはたしかにピーカンのサマービーチと化していたはずだ。

 「また、みなさんと一緒に楽しみたい。また会えるようにこの曲を」と「庶幾の唄」で再会を約束したアンコール。“温かなバンドアンサンブルに藤澤が吹くフルートの音が色を挿す。“ほら 愛に満ちたこの日々/では また会いましょう”、5人とオーディエンス、集った全員の願いがこの一節に集約されていたに違いない。最後はツアーの大団円を祝してSAKANAMONのメンバーも呼び入れ、客席と一緒に記念撮影。一夜を通じてお互いの間にしっかりと結ばれた絆を見た気がする。  また、この日には10月29日に赤坂ブリッツとMrs. GREEN APPLEの共同企画でハロウィンパーティーを開催することも発表された。仮装の彼らを想像するだけでワクワクするではないか。奔放自在に大きくなる5人からますます目が離せなくなりそうだ。

【取材・文:本間 夕子】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル Mrs. GREEN APPLE

リリース情報

サママ・フェスティバル!

サママ・フェスティバル!

2016年06月15日

ユニバーサル ミュージック

1.サママ・フェスティバル!
2.umbrella
3.ノニサクウタ

お知らせ

■ライブ情報

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※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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