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sumikaのワンマンツアー“Oneman Live Tour -Answer-”東京初日の赤坂BLITZをレポ

sumika | 2016.07.04

 多幸感とポジティブな生命力にあふれた、光の塊みたいな空間だった。最新ミニアルバム『アンサーパレード』を携え東名阪を回る、sumikaのワンマンツアー“Oneman Live Tour -Answer-”初日、6月17日の赤坂BLITZだ。昨年の、片岡健太(Vo.& G.)の体調不良による休養期間も乗り越え、第二章に突入したsumika。この5月には結成3周年を迎えた彼らの瑞々しい勢いがオーディエンスを巻き込み、会場一体となって明るくパワフルな気を生み出していく様は大袈裟でなくこの時代の希望そのものに思えた。

 パーティー会場のごとく色とりどりの三角旗やシルバーのモールで飾りつけられた場内、ステージではドレープもたっぷりな真紅のビロード布が華やかさを添えて、開場前からフロアの昂揚感を煽る。まもなくの開演を知らせるアナウンスも本人たちによるものであるなど、隅々まで彼らの想いが行き渡っていることをひしと感じさせる。赤坂BLITZのみならず名古屋も大阪も、さらにはその後に続く対バンツアー“『アンサーパレード』Joint Live Tour -Parade-”においてもチケットは全会場でソールドアウトしたというのだから、その意気込みもいっそう並ならないだろう。

 ゲストメンバーに大澤DD拓海(B.)、三浦太郎(Cho./フレンズ)を迎え、総勢6名の大所帯でステージに姿を現わしたsumika。サビ始まりの歌声を朗々と響かせると「sumikaのライブに初めてくる人は?」と問いかける片岡。フロアのあちこちに挙がった手を愛しそうに眺めやると「ふだんのことは全部忘れて頭からっぽにしてください。sumikaのライブに来慣れてる人は初めて来た人に最高の気持ちで帰ってもらえるように最高のおみやげを渡してあげましょう。ツアー初日! sumika、はりきって始めます!」と開幕宣言。カラフルかつ力強いバンド・サウンドでオーディエンスを牽引、一斉にフロアから沸き起こったクラップもアンサンブルの一員にして場内をsumika色に染め上げていく。

 今ツアーの軸となっているのはもちろん『アンサーパレード』だが、片岡いわく「どの時期の曲を好きになった人にも共感してもらえるセットリストを贔屓目なしで作ってきた」とのこと。その言葉通り、これまでに彼らがリリースしてきた作品からの名曲や人気曲も満遍なく織り込まれたバラエティ豊かな構成と、巨大バルーンや銀テープなどエンタテインメント性も兼ね備えた演出、熱量の高い演奏でめくるめくハイクオリティなライブを展開し、客席に瞬きする間も与えない。「音楽でいただいたものは音楽に還元していきたい」とこの日のMCで語った片岡だが、まさにその意志が反映されたステージだったと思う。

 荒井智之(Dr.)が力強く踏む四つ打ちのバスドラがフロアを波打たせた「カルチャーショッカー」、噴き出したスモークに照明の色が赤く滲んでアグレッシブなムードが俄然、醸し出された「1.2.3..4.5.6.」。「Lovers」ではライブならではの分厚いアレンジとサウンドの贅沢さで、演奏に入る前に片岡が口にした通り“8.5倍増しのハッピー感”で陽気に盛り上がり、小川貴之(Key.& Cho.)と片岡が交互にリードボーカルを取る「enn」にはふたりの声が重なった瞬間のハーモニーにバンドの体温を実感させられた。

「ここから先の時代を作っていくのは俺たちsumikaであり、ここにいるみんな。俺たちの音楽とみんなが大事にしているものを武器にして社会の荒波を打ち破った先に新しい世界があると思うんだけど、そこに行くためにはsumikaクルー全員の力が必要です。力を貸してくれますか?」

 そう呼びかけ、“Yo!”“Ho!”のコール&レスポンスで一体感をさらに高めた「チェスターコパーポット」では激しいプレイで魅せた黒田隼之介(G.& Cho.)が足をひねってしまうというオチまでついた。「マイリッチサマーブルース」ではこれまでにライブグッズとしてタオルを出し続けてきた成果としてついにsumikaにとっては初となるタオル回しを実現。昨年発表された楽曲ながらここにきてようやく夏ソングの面目躍如を果たすという快挙も。フロア一面にタオルが回る光景を前にして無邪気に喜ぶメンバーがまた微笑ましい。

「みんなはみんなのやりたいことをやればいいんだよ。そうしてたら俺はきっとどこかで交わると思ってる。sumikaのためにではなく、みんなはみんなのためにやりたいことをやれば世界がすごく楽しくなるんじゃないかな。やっぱり“楽しいな”って気持ちが原動力だと思うから。だから、もしも何かに圧し潰されそうになったらいつでもライブハウスに来てください。俺ら全力で好きなことしかやってないから。音楽にすがりたいときはすがってください」
 
 本編ラストを目前にした少し長めのMCの中で片岡はそう言った。「あなた方が幸せだったら、それが一番」とも。この一連の言葉にsumikaの覚悟が込められている気がした。自分たちの音楽で聴く人を幸せにしたい、そんな願いと覚悟が。そう思うと同時に彼らを支えるファンへの想いの深さにも改めて感じ入る。

「あなた方の声がないと今日は完成しないんだ。手拍子もそう、タオル回しもそう。あなた方の声がないとここはただの空間なの。今日が思い出になるようにあなた方の声が聴きたい」

 その言葉にオーディエンスも全身全霊で応えた。赤坂BLITZの空気を震わせる大きなシンガロングに耳を澄ませ、「これが俺たちだ!」と誇らしげに叫ぶ片岡。その笑顔こそが『アンサーパレード』という作品の答え、そしてツアータイトルに掲げた“-Answer-”そのものなのではないだろうか。バンドとゲストメンバー、彼らを取り巻くたくさんのスタッフ、そして何よりかけがえのないオーディエンス、その全員で作り上げた空間、そこに満ちていたのは“愛情”に違いない。

「人生が変わる瞬間を残り1曲だけど作らせてください。雨が降っても槍が降ってもやめない覚悟で俺たちはsumika(住み処)を作って待ってるから、あなた方はあなた方の勝負を。そしてこれから先、倒すべき相手、倒すべき世界を一緒に探していこう!」

 ステージの熱意がフロアに降り注ぎ、誓いとなって結実したアンコール。オーディエンスから立ちのぼる水蒸気さえキラキラと輝いて見えた。初日にしてすべての力を出し切ったメンバーの表情も清々しい。

 9月19日には彼らの地元、神奈川県川崎市のクラブチッタ川崎にてツアーファイナル“「アンサーパレード」Release Tour Final OnemanLive -Answer Parade-【Little crown #3】”が開催されることも発表された。旅を終えた彼らが次に見せてくれる世界が楽しみでならない。

【取材・文:本間夕子】
【撮影:後藤壮太郎】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル sumika

リリース情報

アンサーパレード

アンサーパレード

2016年05月25日

[NOiD]/murffin discs

1.sara
2.Lovers
3.明日晴れるさ
4.1.2.3..4.5.6
5.enn
6. 溶けた体温、蕩けた魔法
7.「伝言歌」-Answer Parade ver.-

セットリスト

Oneman Live Tour -Answer-
2016.06.17@赤坂BLITZ

  1. M-1 ソーダ
  2. M-2 カルチャーショッカー
  3. M-3 FUN
  4. M-4 グライダースライダー
  5. M-5 1.2.3..4.5.6
  6. M-6 Lovers
  7. M-7 リフレイン
  8. M-8 sara
  9. M-9 enn
  10. M-10 溶けた体温、蕩けた魔法
  11. M-11 チェスターコパーポット
  12. M-12 マイリッチサマーブルース
  13. M-13 ふっかつのじゅもん
  14. M-14 「伝言歌」
ENCORE
  1. EN-1 雨天決行

お知らせ

■ライブ情報

地元・川崎でツアーファイナル決定。
『アンサーパレード』Release Tour Final OnemanLive -Answer Parade-【Little crown #3】
2016/09/19(月・祝)神奈川 クラブチッタ川崎 〜ONEMAN〜

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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