Zepp DiverCity が“フレデリック・ワールド”に! 不可能を可能にした感動のツアーファイナル公演をレポート!
フレデリック | 2016.07.15
「俺たちな、7年間バンドをやってて『Zeppなんて絶対に埋まらない』って言われてました。俺たちを変えてくれたのは“あなた”だから。フレデリックはあなたにとって、たったひとつの……たったひとつのオンリーワンなんです!」。ずっと不可能と言われ続けたZepp DiverCityのステージに立ち、しかもソールドアウトとなった満員のフロアを見渡して、喜びの声をあげた三原健司(Vo ・G)の姿が印象的だった。フレデリックが東名阪で開催してきた「フレデリズムツアー2016」の東京ファイナル。6月15日にリリースされた初シングル「オンリーワンダー」にちなんでサブタイトルに“オンリーワンダーランド”と名づけられた今回のライブは、本編でのMCはほぼなし。舞台演出を随所にちりばめた構成に加え、ダンサーらを迎え、ひたすらフレデリックの音楽で踊らせる、かつてないフレデリックのライブだった。
まさに“フレデリック・ワールド”と呼べる摩訶不思議なショータイムは「オワラセナイト」から、いきなり最高潮のテンションで幕を開けた。健司と康司(B)の三原兄弟と赤頭隆児(G)に加えて、サポートドラムに高橋武を加えた4人編成によるステージ。「トウメイニンゲン」や「FUTURE ICE CREAM」などアルバム『OTOTUNE』からのナンバーが連続で披露された序盤は、スリーピースとは思えない緻密なバンドアンサンブルと、ダンサブルなビート、抜けるようなサビのキャッチーさでフロアに熱狂を生み出していく。
初期フレデリックのアンニュイな童謡的ナンバー「人魚のはなし」からは少し会場の空気が変わった。ステージ背面には潜水艦の小窓のような楕円形のスクリーンが現れ、康司がミュージックビデオで手がけたアニメーション映像が流れた。フレデリックのライブには映像もよく映える。さらに白いワンピースを着た三つ編み姿のダンサーが登場した「みつめるみつあみ」、ステージが見えなくなるほどのスモークがフロアを包み込んだ「うわさのケムリの女の子」へ。音を聴くだけでなく、それを全身で体感するようなステージはまるで遊園地のアトラクションのよう。そんなことを考えていたら、のちのMCで今回の「オンリーワンダーランド」というライブを作り上げるために、メンバー3人で揃ってディズニーランドに行った話を明かしたものだから、その勉強熱心さには驚かされた。
「フレデリズムツアー後半戦!俺たちと踊ろうぜ!」。健司の声を合図にステージに電飾が光り出すと、「WARP」からノンストップでディスコタイムへと突入した。「FOR YOU UFO」ではレーザーがお客さんの頭上を走り、「プロレスごっこのフラフープ」では、健司の「オンベース、康司!」の声でパワフルなスラップベースも炸裂。もはや踊らせること以外に考えていないと言っても過言ではないセットリストには曲ごとに区切り目もなく、さながらライブハウスというよりダンスホールにいるような喧騒が広がった。汗と歓声。興奮と感動。明滅する光。それらがもみくちゃになったまま、ラストナンバーへ。総勢16名の“オンリーダンサーズ”を迎えて披露したのは、フレデリックが葛藤の果てに生み出した最強のダンスナンバー「オンリーワンダー」だった。《1番なんかならなくたって 君が笑ったんだ》。圧倒的な狂騒と快楽のなかで、そこには“オンリーワンこそNo.1だ”という、今回のツアーでバンドがいちばん伝えたかったメッセージが確かに込められていた。
アンコールではひとりギターを弾きながら、健司が語りかけた。「今回は俺たちフレデリックを肯定するツアーをしたかった」と。フレデリックの音楽は良くも悪くもクセがある。それゆえに冒頭でも書いた健司の“Zeppが難しい”という言葉は、つまり“一般化しない”という評価でもあり、そこに悩みもあったのだろう。「もしかしたら、このなかでフレデリックを人に勧めたら、センスが悪いとか、変な声って言われたり、プライドを傷つけられた人がいるかもしれない。それは申し訳ないと思う。でも、俺たちは2014年にデビューしてからめっちゃ成長してきた。Zepp DiverCityにも立てた。俺たちはやり続けて何も間違ってないと思いました」。そんな健司の言葉のとおり、今回のツアーはフレデリックがフレデリックを受け入れたツアーだった。バンドがその個性を認められたことで、「これがフレデリックなのだ」とあらゆる雑念を捻じ伏せてしまう説得力が備わっていた。
そうやって健司がフロントマンとして溢れる想いを吐露したあと、ラストナンバー「ハローグッバイ」で全17曲のライブの幕を閉じたフレデリック。音楽で誰かの味方になることが自分たちの“戦わない戦い方”であると歌う力強くて優しい1曲は、この日のライブの締めくくりに相応しかった。
「俺はこの声で武道館に立ってやろうと思ってる!」。すっと息を吸い込んでから、覚悟を決めたように発した健司の言葉。彼らが今回のツアーで得ることができた“オンリーワンであるという絶対的な自負”は、その夢を実現するための大きな原動力になるはずだ。
【取材・文:秦 理絵】
【撮影:鈴木公平】
リリース情報
オンリーワンダー(初回限定盤)[CD+DVD]
2016年06月15日
A-Sketch
2. プロレスごっこのフラフープ
3. みつめるみつあみ
4. オワラセナイト(Live Ver.)
5. 愛の迷惑(Live Ver.)
[DVD]
スペシャ列伝ツアー2016よりライブ映像4曲を収録
お知らせ
秋の全国ワンマンツアー開催決定!
2016/11/12(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
2016/11/19(土) 高松 MONSTER
2016/11/20(日) 岡山 IMAGE
2016/12/03(土) 新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
2016/12/04(日) 金沢 vanvan V4
2016/12/11(日) 札幌 Sound lab mole
2016/12/17(土) 福岡 BEAT STATION
2016/12/18(日) 広島 SECOND CRUTCH
2017/01/08(日) 大阪 なんばHatch
2017/01/09(月・祝) 名古屋 DIAMOND HALL
2017/01/22(日) 東京 新木場STUDIO COAST
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。