04 Limited Sazabys『AIM tour 2016』ツアーファイナル豊洲PITをレポート
04 Limited Sazabys | 2016.07.20
04 Limited SazabysがMajor 2nd Single「AIM」を携えて展開した全国ライブツアー『AIM tour 2016』。8箇所すべてをSOLD OUTし、ワンマンとなるこのツアーファイナル東京・豊洲PITも同様に満員御礼となっていた。
「今回のツアーは、初めて2マンするバンドや、僕らが憧れてた先輩バンドとの2マンツアーになるんですけど、ライブハウスツアーということもあり、共演というよりは、戦いなイメージだなと思っているんです。本当にみんなすごいバンドばっかなんで、負けないように、死に物狂いで向き合っていきたいなと思ってますね。もちろん勝つつもりで全力で戦いますけど、もしも、戦いに負けたとしても、学ぶことはすごく大きいと思っているので、とにかく必死で戦いたいと思ってます」
ストレイテナー、BIGMAMA、WANIMA、アルカラ、TOTALFAT、ACIDMAN、SiMらとの対バンツアーであった『AIM tour 2016』がスタートする直前、GENは、ここにかける想いをそう語っていた。そして。7月9日。彼らは見事に戦い抜き、ひと回り強くなった姿でファイナルとなった豊洲PITのステージに立った。
2016年初めてのワンマンライブでもあったこの日は、2016年7月9日というこの時間に必然的に届けられた音であったと感じた瞬間の連続だった。
始まりは「climb」。RYU-TAの“行くぞ! ファイナル! 行けますか!?”の煽りから始まった。そのナンバーは、ツアーで蓄え温存していたパワーを、この日のために一気に吐き出したのではないかと感じられるほどの勢いでオーディエンスを煽り立て、暴れさせた。リアルな言葉の中にも、どこか捻くれた感情が見え隠れするモラトリアムなGENの歌詞は、どこか少年のような声質の残るGENの声で歌われると、より深く、より大きく心を揺さぶられる。引き込まれる感覚、と言うのが的確だろうか。
「monolith」「escape」と間髪入れずに届けていく彼らの音に、オーディエンスはありったけの声とクラップを贈った。
「全国各地でしのぎを削って、削って削って、いっぱいやったりやられたりしてここに帰ってきました。前よりも少しずつ強く大きくなってきた僕たちの音を感じて、拳をあげて、あれ? 声出ちゃうとか、あれ? 体揺れちゃうなっていう衝動がある人はそれを全部我慢せず出来るだけ表現して頂いて、一緒にライブして下さい」
情熱がほとばしるビートを刻み続けるKOUHEIの作りあげる土台の上で、手放しで暴れながらRYU-TAとHIROKAZが最強のギターフレーズで最高のノリを描き出していき、GENは野太い低音でサウンドを支えながら、中央で真っ直ぐ声を張る。1ミリの無駄も感じさせない絶対的なグルーヴは、1曲ごとにフロアの温度を確実に上昇させていった。
“対バンは前戯みたいなもので、ワンマンこそが本番です!”というGENの独特な表現によるテンポのいい話術に、熱い歓声を返すオーディエンスは、何よりも、この日の“本番”を待ち望み、楽しんでいたように思う。
「me?」の曲中で、男子、女子と分けてコール&レスポンスする中、KOUHEIが女子高生の声を求めるシーンがあったのだが、その流れを受け、曲終わりでステージにサイレンの音が鳴り響き、警官にKOUHEIが連行されてしまうという小芝居へと繋がれていった。と、次の瞬間、ステージに大きなスクリーンが登場すると、そこに『NEWS04』というニュース番組が映し出されたのだった。なんでも、女子高生の下着を盗んだ罪でKOUHEIが逮捕され、04 Limited Sazabysからの脱退が決定したのだという。キャスターに扮したGENが、スタジオに制服愛好家のブルマンオオタに扮したHIROKAZと、女性を守ろうの会のフェミニン河合に扮したRYU-TAを迎え、KOUHEIの素行についてトークするといった内容のニュース番組は、シュールでありながらも、かなりなクオリティである(笑)。
「それでは、次のニュースです。牡蠣の美味しい季節になってまいりました(おもわず我慢出来ずに苦笑)」
というGENのナレーションでニュースは閉じられ、流れはライブへと戻された。ステージにはメンバーが再登場したのだが、しかし、そこにKOUHEIの姿は無い。ナント、ここからは捕まってしまったKOUHEI抜きでライブを続行するという。そこまで引っ張ると思っていなかったオーディエンスからは、笑い混じりのブーイングが起こる。
「この茶番からのなんとも言えない空気感を一瞬で変える曲を届けたいと思います。ライブハウスで生でしかしか解らない空気感を教えたいので、次の曲は目をつむって聴いてほしいなと思います」
というGENの言葉から始まったのは、柔らかなアルペジオに乗せて歌われた「Buster call」だった。伸びやかに響きわたったGENの声に、フロアは静まり返った。まさに。それは、一瞬で空気を変えた、生でしか解らない空気感だった。アカペラ明けにバンドサウンドが一気にかき鳴らされると、「俺はロリコンじゃねぇ~!」と、出所(笑)してきたKOUHEIが叫び、オーディエンスの心の扉を再び解放させた。
後半戦で届けた「milk」で魅せたギター、ベース、ドラムの順でバトンが渡されていったリレーションも、このメンバーでやり続けてきた歳月の重みを感じる、実に素晴しい瞬間だった。
「全国いろんなところでみんなが待っていてくれたり、“こういうとき、こんなに辛いことがあったけど、この曲の歌詞に救われました”っていうお手紙をもらったりするわけですよ。自分の人生が、こんなに誰かのためになれると思っていなかったので、本当にそうやってみんなが“生きがい”だって言ってくれることが、僕の生きる理由になってます。いつもありがとうございます。本当に最高の職業をさせてくれてありがとうございます! スタッフもみなさんもいつも力を貸してくれてありがとうございます。でも、解ってるんですよ。みんないずれ、いろんな理由でライブハウスに来れなくなる日が来ます。学校卒業とか、出産とか育児とか。でも俺たち、全然人気なくなったとしても、ずっとライブやってると思います。いつでもみんなが帰ってこれるように、受け入れ態勢万全でライブやってたいと思うんで、生きる力が擦り切れてきたら、いつでもここに補充しに来て欲しいなと思います。またみなさんと会えますように。本当に最高の時間と景色をありがとうございます」
この言葉の奥に秘められた深い愛情と、バンドに対する深い想いを、どれだけの人が深く受けとめていただろう。GENのそんなメッセージから、4人は“ありがとうとさようなら”を込めた再会の歌「Terminal」へと続け、本編ラストを「swim」で締めくくったのだった。
説明する必要を感じなかった。それほどまでに、潔いライブだった。ダイレクトに体の中心部分を貫くように潔く響いた彼らのサウンドと、“生きる力が擦り切れてきたら、いつでもここに補充しに来て欲しいなと思います”というGENの言葉が、心地良く記憶に残った時間だった。
まさに、04 Limited Sazabysというバンドの生き様を感じさせてくれたライブであったと言えるこのライブは、この日ここに集まった3,103人のオーディエンスの人生の1ページにしっかりと刻まれたに違いない。
純粋に音楽の力を感じた。純粋に彼らの可能性を感じたライブだった。
そして彼らはこの日、アンコールで9月14日に2ndフルアルバム『eureka』をリリースすることを発表した。
“最高のアルバムを作る”と約束した彼らは、リリース後、9月20日から対バン形式での全国ツアー「eureka tour 2016」をスタートさせ、12月7日からは同じく『eureka』を引っさげた全国ワンマンツアー「eureka tour 2016-2017 ~one man series~」を行なう。
彼らの勢いは、ますます加速しそうである。
【取材・文:武市尚子】
【撮影:Viola Kam (V’z Twinkle Photography)】
リリース情報
AIM(初回限定盤)[CD+DVD]
2016年06月01日
日本コロムビア
1. climb
2. fog
3. cubic
4. Give me
[DVD]
YON FES 2016ライブ映像、ドキュメント映像など収録予定
セットリスト
04 Limited Sazabys
「AIM tour 2016」
2016.7.9@東京・豊洲PIT
- 01.climb
- 02.monolith
- 03.escape
- 04.Remember
- 05.nem...
- 06.medley
- 07.Chicken race
- 08.Now here, No where
- 09.labyrinth
- 10.teleport
- 11.me?
- 12.Buster call
- 13.knife
- 14.fiction
- 15.cubic
- 16.fog
- 17.Letter
- 18.compact karma
- 19.milk
- 20.hello
- 21.Terminal
- 22.swim
- 01.midnight cruising
- 02.Give me
お知らせ
04 Limited Sazabys
「eureka tour 2016」
2016/09/20(火) 千葉 LOOK
2016/09/22(木・祝) 水戸 LIGHT HOUSE
2016/09/24(土) HEAVEN’S ROCK 宇都宮
2016/09/25(日) 高崎 club FLEEZ
2016/09/28(水) F.A.D YOKOHAMA
2016/09/30(金) 北浦和 KYARA
2016/10/06(木) 豊橋 club KNOT
2016/10/07(金) 松阪 M’axa
2016/10/09(日) 岐阜 CLUB-G
2016/10/10(月・祝) 浜松窓枠
2016/10/13(木) 北見 ONION HOLL
2016/10/15(土) 旭川 CASINO DRIVE
2016/10/16(日) 帯広 MEGA STONE
2016/10/22(土) 秋田 club SWINDLE
2016/10/23(日) 盛岡 club change WAVE
2016/10/27(木) 富山 Soul Power
2016/10/28(金) 金沢 Eight Hall
2016/10/30(日) 長野 CLUB JUNK BOX
2016/10/31(月) 甲府 KAZOO HALL
2016/11/02(水) 京都 MUSE
2016/11/09(水) 滋賀 U☆STONE
2016/11/10(木) 神戸太陽と虎
2016/11/12(土) 周南 RISING HALL
2016/11/13(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
2016/11/17(木) 徳島 club GRINDHOUSE
2016/11/19(土) 高知キャラバンサライ
2016/11/20(日) 松山 WstudioRED
2016/11/23(水・祝) 宮崎 WEATHER KING
2016/11/24(木) 鹿児島 CAPARVO HALL
2016/11/26(土) 熊本 B.9 V1
2016/11/27(日) 佐賀 GEILS
eureka tour 2016-2017
~one man series~
2016/12/07(水) Zepp Tokyo
2016/12/09(金) 仙台 Rensa
2016/12/11(日) Zepp SAPPORO
2016/12/16(金) 新潟 LOTS
2017/01/07(土) 高松オリーブホール
2017/01/13(金) 広島 CLUB QUATTRO
2017/01/15(日) 福岡 DRUM LOGOS
2017/01/20(金) なんば Hatch
2017/01/22(日) Zepp Nagoya
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。