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KEYTALKインディーズ時代の曲オンリーで作り上げた超スペシャルライブ!

KEYTALK | 2016.08.05

 開演直前の影アナを担当したのは、巨匠こと寺中友将(Vo・G)&八木優樹(Dr・Cho)。時々つっかえそうになりながらも無事に諸注意を読み上げた八木に対して、「八木ちゃん、甘噛みした?」と巨匠が容赦なく突っ込むのが妙に面白い。観客は和やかに笑いながらスタートを待ちわびていた。そして、突然会場内が暗転して、ステージを覆っている白い幕に投影されたVTR。それは、2011年11月19日・下北沢シェルター……KEYTALKのインディーズ時代、初ワンマンライブの様子であった。本番直前に所属事務所社長の古閑さんから心境を訊かれ、少し緊張気味に話をする巨匠、小野武正(G・MC・Cho)、首藤義勝(Vo・B)、八木の表情が初々しい。そんな貴重映像を経て、ついに演奏が始まった。幕が切って落とされ、大音量で届けられた1曲目は「アゲイン」。パワフルなダンスビートと華麗なメロディが響き渡り、満杯のフロアは早くも熱いダンス天国と化していた。

 KEYTALKのインディーズ時代の4作品をまとめた『KTEP COMPLETE』の発売を記念したこの日のライブ。昔の自分たちに立ち還ろうとするかのように、いつにも増してダイナミックに演奏していた4人の姿が眩しかった。2曲目に披露された「祭りやろう」以降も、「太陽系リフレイン」「S.H.S.S.」「A型」……強力なナンバーたちが一気に駆け抜け、観客もメンバーたちもすっかり汗だく。6曲目「color」の後に最初のインターバルを迎えるまで、圧倒的な興奮が溢れ返り続けていた。

 「今日はインディーズの曲しかしません! 『MONSTER DANCE』はやりません!」と宣言しつつ、ギターを弾きながら軽く『MONSTER DANCE』を歌った武正。「ペーイ!」と叫ぶコール&レスポンスを挟み、その後もパワフルな演奏が続いた。義勝が歌う英語詞の「amy」など、普段のライブでは滅多に聴くことができない曲が飛び出すのが楽しい。そして、中盤のMCタイムでメンバーたちは改めて自己紹介をした――好きな食べ物がペペロンチーノであるという理由で、「ギターのペペロンチーノです!」と名乗っていた武正。インディーズ時代の曲を演奏することへの感慨を「曲たちが報われる瞬間。曲がたくさんの人に飛んでく感じ」と表現していた巨匠。「インディーズ時代にさかのぼろうと思います!」と言い、気弱なキャラクターになって挨拶をした義勝。「あス! あス!」と観客に元気いっぱいに呼びかけてドラムを連打。「かかってこいよ!」と皆を煽った八木――メンバー各々の個性が冴え渡っていた。

 「今日は5人目のメンバーが。田上さんです!」と武正に紹介され、インディーズ時代のKEYTALKを支えたプロデューサー・TGMXこと田上修太郎(FRONTIER BACKYARD)が登場。TGMXのキーボードが加わったスペシャル編成による「orange and cool sounds」を皮切りに突入した後半戦も、レアなナンバーを織り交ぜたセットリストであった。そして「アーカンザズ」を披露した後、インディーズ時代の曲を演奏することへの想いを語り合ったメンバーたち。スタート直前に流れた映像で少々はにかんだ様子だったため、武正に「よっ! はにかみ王子」と呼ばれた巨匠は、缶ビールを一気に飲み干して喝采を浴びた。そんなインターバルを経て、次に演奏する曲のタイトルコールを担当したのは義勝。組み合わせた両掌を頭上に掲げ、人差し指を真っ直ぐに伸ばして「ビーム!」と高らかに叫んだのだが、次の曲は「BEAM」(メジャーでリリースした2ndフルアルバム『OVERTONE』に収録されている)ではなくて「UNITY」……これは『OVERTONE』リリース直後のツアーでの伝説的アクシデントを踏まえたもの。名古屋クラブクアトロ公演の際に義勝が、「UNITY」の曲頭で「ビーム!」と、先述のポーズをしながら叫んでしまい、しばらくの間、あだ名が「ビーム」になってしまった……という「義勝ビーム事件」として語り継がれている出来事を思い出させてくれた。

 終盤は熱いナンバーが激しい勢いで駆け抜けて行った。「zero」「ストラクチャー」「fiction escape」……エネルギッシュなサウンドを浴び続けて、観客は果てしなく昂ぶっていく。踊りまくる観客を眺めながら、嬉しそうに演奏する4人の姿が印象的だった。そして、本編を締めくくったのは「MABOROSHI SUMMER」。インディーズ時代から現在に至るまで、ライブで欠かせない存在となっているこの曲の盛り上がりは、やはり桁外れだった。

 アンコールを求める手拍子に応えてステージに戻ってきた武正、義勝、八木。あれ? 1人足りないようだが……。「巨匠いないね。ええと、今日、発売したものが。ディズニーロックコンピに1曲入ってます」、KEYTALKが参加したコンピレーションアルバム『ROCK IN DISNEY ~Season of the Beat』について触れた武正。「実はもう1人、スペシャルゲストが。せーの、ミッキー!」、彼が観客と一緒に名前を呼んでステージに招いたのは、ミッキーマウス風の衣装を身に着けた巨匠。「ミッキーマウス・マーチ」が披露された。

 「a picture book」と「トラベリング」も届けられた後、「楽しんでもらえましたか? もう24曲もやりましたよ。またこういう日を作ってもいいですか? KEYTALKは90曲くらいあるので、いろいろ織り交ぜて今後もやれたらいいなと思ってます」と観客に語りかけた武正。巨匠は「たけちゃん、いつもの」と言い、武正のギター伴奏に合わせて缶ビールを一気飲み。すると、「俺もやります!」と八木が突然、ステージの前方へと飛び出した。ボトルの水を飲み干そうとしたものの、途中で断念する姿に盛り上がったところで、いよいよラストの曲「物販」へ。演奏がスタートすると、事務所社長の古閑さんが《イラッシャイ~ イラッシャイ~》とハンドマイクで歌いながら駆け込んできた。メンバーたちが轟かせる爆音、古閑さんのスクリームが渦巻くステージ上はアグレッシヴにビリビリ震えている。しかし、インディーズ時代から苦楽を共にしてきた5人の信頼関係も自ずと映し出しているように感じられて、とても心温まるものがあった。

 演奏終了後は、客席を背景にして記念撮影。カメラマンは、インディーズ時代からKEYTALKを撮り続けている後藤壮太郎さん。「3・2・1 あス!」、八木の合図で撮影が行われた後、メンバー4人と古閑さんが横1列で手を繋ぎ合って挨拶。彼らに向かって届けられた拍手喝采は特大級だった。こうして終演を迎えた『KTEP COMPLETE』発売記念ワンマンライブ。インディーズの頃から丹念に磨き上げてきたオリジナリティ、大切にし続けてきた様々な絆が、現在のKEYTALKを築いたことを示すステージだったと思う。

【取材・文:田中大】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル KEYTALK

リリース情報

KTEP COMPLETE [CD+DVD]

KTEP COMPLETE [CD+DVD]

2016年07月06日

KOGA RECORDS

[CD]
1. orange and cool sounds
2. 消えていくよ
3. amy (KTEP ver.)
4. A型
5. MABOROSHI SUMMER
6. color
7. 祭りやろう
8. アーカンザス
9. 太陽系リフレイン
10. マキシマム ザ シリカ
11. zero
12. happy end pop (KTEP3 ver.)
13. おはようトゥエンティ
14. 東京Star
15. 桜の風吹く街で
16. 物販
17. MABOROSHI SUMMER (Altanative ver.)

[DVD]
既に廃盤となった「SUGAR TITLE TOUR DVD」「オムスターの逆襲DVD」からのダイジェストLIVE映像
KEYTALK TV 2010-2013 抱腹絶倒のディレクターズカット版(計約60分)

お知らせ

■ライブ情報

お台場みんなの夢大陸2016 めざましライブ
2016/08/05(金) お台場みんなの夢大陸

ROCK IN JAPAN FES.2016
(※てんぷらDJアゲまさ出演)
2016/08/06(土) 国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)

KOGA RECORDS NIGHT VOL.4 〜CHEER UP KUMAMOTO SPECIAL〜
2016/08/10(水) 下北沢SHELTER

ROCK IN JAPAN FES.2016
2016/08/13(土) 国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)

Fear, and Loathing in Las Vegas企画 "MEGA VEGAS"
2016/08/19(金) 大阪 舞洲サマーソニック大阪特設会場(府民共済SUPERアリーナ内SONIC STAGE)

MONSTER baSH 2016
2016/08/20(土) 国営讃岐まんのう公園 (香川県仲多度郡まんのう町)

WILD BUNCH FEST. 2016
2016/08/21(日) 山口きらら博記念公園

RUSH BALL 2016
2016/08/27(土) 泉大津フェニックス

TREASURE05X 2016
2016/09/03(土) 蒲郡ラグーナビーチ

ベリテンライブ2016
2016/09/04(日) 栃木県真岡市・井頭公園 運動広場

KEYTALK 秋の大収穫祭〜そなたが落としたのは金の松茸か?銀の椎茸か?それとも白いしめじか?〜
2016/09/17(土) Zepp Nagoya
2016/09/24(土) Zepp Tokyo
2016/09/30(金) なんばHatch

〜50th anniversary〜 Yamaha Acoustic Mind 2016(巨匠弾き語り出演)
2016/09/19(月) 中野サンプラザ

KEYTALK LIVE at 川崎学園祭
2016/10/08(土) 川崎学園総合体育館 (岡山県倉敷市)

ビクターロック祭り×MBS音祭〜2016大阪・秋の陣〜supported by uP!!!
2016/10/09(日) 大阪城ホール

第55回 下関市立大学「馬関祭」
2016/10/10(月) 下関市立大学

KEYTALK×ねごと「ONE NIGHT ROCK CARNIVAL in 井波」
2016/10/21(金) 富山県砺市井波総合文化センター

日本大学工学部 北桜祭 ”KEYTALK Live 「咲け」「踊れ」北桜祭 〜KEYTALKと僕らがつなぐ橋〜”
2016/10/22(土) 日本大学工学部 学内大講堂(体育館)

常磐大学・常磐短期大学 ときわ祭 ”TOKIWA FES.「KEYTALK LIVE」”
2016/10/23(日) 常磐大学・常磐短期大学 体育館(C棟)

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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