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歌の魅力を究極に抽出した、椎名慶治アコースティックライブ「MY VOICE IS MY VOICE」

椎名慶治 | 2016.08.15

 椎名慶治の3rdフルアルバム『MY LIFE IS MY LIFE』(今年1月リリース)のアナザーバージョンともいうべき作品が『MY VOICE IS MY VOICE』(2月よりライブ会場で販売され、のちにオフィシャルサイトで販売がスタート)である。別な角度からアルバム曲を料理したこの作品には、発売後から予想を上回る反響があり、最終的にはその音源をライブで披露(=Yoshiharu Shiina Acoustic Live 2016「MY VOICE IS MY VOICE」)するという展開に発展した。アコースティック・アレンジが施されるなど、歌の濃さを究極に抽出した『MY VOICE IS MY VOICE』の曲たちが生でどんな表情を見せるのか……。7月29日に会場であるMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREまで足を運んでみた。元が映画館というこの会場は、椅子席でじっくり音楽を楽しむタイプの造り。当日、チケットはソールドアウトしたものの、問い合わせが相次ぎ、急遽追加チケットが販売されるという盛況ぶりとなった。

 照明が暗転すると、まずはバンドメンバーの磯貝サイモン(AG&Key)、西村奈央(Key)、坂本暁良(Perc)の3人がステージに現れる。最後に、おだやかな表情で椎名が登場。ステージ・センターのスツールに腰をおろすと、「HIGH&HIGH」でライブがスタート。アコースティック・スタイルでのライブということもあり、椎名も歌にはよどみなく感情を注ぎ込んでいる。2曲目は彼が得意とする等身大の主人公を描いた「人生スパイス-go for broke-」。そして、アルバムの中でも泣かせるバラード曲「言いたくて言えなかった」では、シンプルなアレンジによって、歌の魅力が倍増。改めて歌詞の内容にグッとくる。客席との距離感もいい感じで、5曲目の「MY LIFE IS MY LIFE」では、男性ファンに“ヘイ!”というレスポンスを要求。客席もライブに参加するような感覚で、場内はさらにいいムードに。6曲目の「ささくれ」のあと、磯貝サイモンと坂本暁良はいったん袖へ捌け、ステージには西村奈央と椎名が残った。 「音数が少ないからビシビシくるでしょ? 俺の声が!」と椎名。そして、このあとの「絵空事に」では、西村奈央の奏でるピアノと椎名のボーカルのみで、しっとりと魅了。曲が終わると今度は西村奈央が席を立ち、代わりに磯貝サイモンが登場。このふたりがいるということは、SHINAMON’S(椎名と磯貝のユニット)の時間になるというわけだ。MCではSHINAMON’S結成のエピソードを語り出したのだが……。
椎名「最初は自由が丘のイタリアンの2階で会ってさぁ……」
磯谷「え~? 自由が丘? そうだっけ?」
と、互いの記憶に食い違いはあったものの(笑)、なごやかな雰囲気の中、SHINAMON’Sとして「ホントのハジマリ」をプレイ。息のあったコンビネーションで楽しませてくれた。さらには「悲しきマリオネット~divin’」の2曲をマッシュアップするなど、斬新な試みも。その後、再びバンドメンバーを呼び込み、「お節介焼きの天使と悪魔と僕」をポップに歌い上げた。

 続いて椎名は「もうひとり、ゲストが来てるんだよね!」と前フリして、これまで何度となくコラボしているマルチ・アーティスト、ZEROをステージに招き入れる。このあたりからライブはアクティヴなモードへと変化。「せっかくなんで立ちません?」というステージ上からの誘惑に総立ちになる観客。「フラストレーションNo.5」や「キミノモンスター☆」をZEROのラップを交えながらノリノリでプレイ。アコースティック・セットとは思えない熱い空気が立ちこめる。いい流れを作ってくれたZEROがステージを去るころには、本編は大詰めに。
「盛り上がれる曲、もうちょっとやりませんか!」と椎名が煽り、盛り上がらずにはいられないSURFACEの代表曲「さぁ」につなげた。お笑いコンビのコロコロチキチキペッパーズがネタに曲を取り入れ、話題をふりまいたのは記憶に新しい。もちろん、歌いながら椎名はコロチキの“さぁ”ポーズを取り入れる余裕のパフォーマンス。そして本編ラストは「シャクシャク」でノセまくって終了。ジャンプで曲を終えるという熱いエンディングとなった。

 当然、その熱が急に冷めるわけもない。ほどなく椎名がステージ袖から飛び出してきた。アンコール1曲目は長くファンに親しまれてきた「RABBIT-MAN」でスタート。もちろんオーディエンスはまたしても総立ち。手拍子あり大合唱ありで、完全にスタンディング・ライブ状態となった。そしてラストは、ややテンポを落としつつ、日常のしんどさをフッと笑わせてくれる名曲「ウェザーリポート」。観客も手を左右に振りながら反応。曲を噛みしめながらの締め括りとなった。

 終わってみれば、やっぱりメロディーと歌詞のよさを再認識するという充実の内容だったように思う。 満員の観客も、しっかりと明日へのパワーを受け取ったはずだ。8月10日にはLIVE DVD『MY LIFE IS MY LIFE』をリリースする椎名。より熱いパフォーマンスがお好みの方は、そちらもぜひチェックを!

【取材・文:海江敦士】
【撮影:石黒淳二】

tag一覧 椎名慶治

リリース情報

椎名慶治LIVE DVD「MY LIFE IS MY LIFE」

椎名慶治LIVE DVD「MY LIFE IS MY LIFE」

2016年08月10日

High Wind

[収録曲]
01:key 2 the light
02:HIGH & HIGH
03:人生スパイス-go for broke-
04:Giant Step-SHIINA Ver.-
05:lo0p
06:言いたくて言えなかった
07:ボクのアトラクション
08:フラストレーションNo.5
09:byte × bite
10:Pussy Cat
11:キミノモンスター☆
12:MY LIFE IS MY LIFE
13:絵空事に
14:ささくれ
15:いざ尋常に
16:さぁ
17:WAIT!-transit mix-
18:遮ニ無ニ
19:お節介焼きの天使と悪魔と僕
20:シャクシャク
[ENCORE]
21:RABBIT-MAN
22:ウェザーリポート

セットリスト

『Yoshiharu Shiina Acoustic Live2016「MY VOICE IS MY VOICE」』
2016/07/29@Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

  1. HIGH&HIGH
  2. 人生のスパイス‐go for broke‐
  3. 言いたくて言えなかった
  4. ボクのアトラクション
  5. MY LIFE IS MY LIFE
  6. ささくれ
  7. 絵空事に
  8. ホントのハジマリ
  9. 悲しきマリオネット~divun’
  10. お節介焼きの天使と悪魔と僕
  11. いっこずつ
  12. フラストレーションNo.5
  13. キミノモンスター☆
  14. カタムスビ
  15. さぁ
  16. シャクシャク
Encore
  1. EN01.RABBIT‐MAN
  2. EN02.ウェザーリポート

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