富士山の麓で行われたSWEET LOVE SHOWER、快晴となった初日をレポート!
SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER | 2016.09.08
今年(2016年)で10回目の開催となったSPACE SHOWER主催の夏の野外フェスティバル「SWEET LOVE SHOWER」。 8月26日(金)、27日(土)、28日(日)という夏休みの最終を飾る3日間に、会場となった山梨県・山中湖交流プラザきららには、のべ5万人の音楽ファンが集結。その広大な敷地にはLAKESIDE STAGE、Mt.FUJI STAGE、FOREST STAGE、そしてWATERFRONT STAGEの4つのステージが設置され、富士山を臨む最高のロケーションのなか、素晴しい音楽が途切れることなく鳴り続けた。ここではとくに快晴に見舞われた初日の模様をいくつかのアクトをピックアップしながらレポートする。
朝いちばんの Mt.FUJI STAGEでオープニングアクトを務めたのは神戸発の新星ロックバンド、パノラマパナマタウン。「こんなに富士山がキレイに見えるのは初めてだそうです!」と、その背中に富士山が見える絶景のステージに初めて立った岩渕想太(Vo/Gt)の声でライヴはスタートした。新曲「シェルター」から神戸のフェイバリットタウン・新開地を歌った「SHINKAICHI」へと、エッジの効いた泥臭いグルーヴに攻撃的なライムが転がる独特のスタイルでフィールドにその存在を知らしめていく。まだまだ無名。だが、ラストの「世界最後になる歌は」で、岩渕がステージの縁に腰を降ろし、しっかりとお客さんと目を合わせて届ける姿はとても不敵で、この先に大きな可能性を感じさせるものだった。
10:30。いよいよLAKESIDE STAGEからフェス本編の始まり告げたのは、昨年Mt.FUJI STAGEに出演した際に山中拓也(Vo/Gt)がポリープ手術をすることを発表したTHE ORAL CIGARETTESだった。“1年後にオーラルを大きくして、LAKESIDE STAGEに帰ってくる”。その約束を果たしてステージに現れた4人は意外にもバラード曲「エイミー」からライブをスタート。フェスの1曲目にこの選曲は挑戦的だ。山中の艶やかな歌声がフィールドに沁み渡ったところで、「起死回生STORY」や「STARGET」というアップナンバーで一気に猛攻をしかけていく。緩急をつけながら激しく揺さぶりをかける楽曲の展開も決して王道ではないが、そのやり方がオーラルにとって正しかったことを証明する圧勝のステージ。「狂乱 Hey Kids!!」まで終えて“あなたたちのおかげでオーラルはひとつ前に進めました!”と締め括ったオーラル。またひとつこの場所に感動のドラマを完結させた。
続けて、Mt.FUJI STAGEでは「Survivor」を皮切りにBLUE ENCOUNTが強靭なロックサウンドでフィールドを熱くしてくれる時間が訪れた。オーラルとブルエンは、このフェスの前日に新木場スタジオコーストで04 Limited Sazabysを加えた合同主催イベント「ONAKAMA」を終えたばかり。MCでは田邊駿一(Vo/Gt)が「新木場に衣装を忘れてきた!」と明かしたまさかにエピソードには、新木場から山中湖へとバンドを追いかけるように移動してきた熱心なオーディエンスも大喜びだった。サビで盛大なシンガロングを起こした「NEVER ENDING STORY」、田邊が突如見せた側転パフォーマンスに湧いた「LIVER」と、オーディエンスを巻き込みながら作り上げるステージのラストを飾ったのは「もっと光を」。「ボロボロになってもあなたを守るために音楽をやっているバンドがいることを忘れないでくれ!」。思いの丈を全力でぶつける田邊の言葉は照りつける太陽のように熱かった。
昨年に続いて2度目のLAKESIDE STAGE登場となったKANA-BOONは1曲目から「フルドライブ」でいきなりトップスピードへと昇りつめると、あっと言う間にフィールドはジャンプにツーステップにと自由に体を動かすオーディエンスでお祭り状態だった。谷口鮪(Vo/Gt)のハイトーンヴォイスが繰り出す圧倒的に訴求力のあるメロディと、疾走感のあるバンドサウンドを武器に、全ロックファンのアドレナリンを瞬く間に全開にするKANA-BOONの即効性は本当にすごい。10月5日にリリースされるニューシングルとしていち早く披露された「Wake up」は何かを掻き立てるような強いメロディがとても印象的だった。さらに元祖キラーチューン「ないものねだり」では、“ラブラブシャッシャ~♪”というコール&レスポンスでも沸かせたKANA-BOON。会場のフードコートで展開するバンド考案のフェス飯“タコスーン”もきっちり宣伝してステージを後にした。
「日本でいちばんSWEET LOVE SHOWERが好き!」。いまや夏フェスの超人気者バンドへと成長したWANIMAは、どのイベントに出演したときもそんなふうに言ってオーディエンスの心を一瞬にして鷲掴みにする。KENTA(Vo/Ba)、KO-SHIN (Gt/Cho)、FUJI (Dr/Cho)のスリーピースが繰り出すスピーディなパンクナンバー「THANX」からスタートしたライブは、スカ/レゲエとジャンルを縦断しながらMt.FUJI STAGEにクラウドサーファー達を続出させていった。今年いちばんのダンスナンバーと紹介した「BIG UP」から、今年いちばんのラブシャのテーマソングと称した「Hey Lady」。何でも頭に“いちばん”をつけるワンチャン狙いのお調子者たちは、巧みな話術でもオーディエンスを楽しませていく。ラストソングは毎日を懸命に生きる全ての人へにエールを送った「ともに」。その終始笑顔を絶やさないパフォーマンスは彼らが愛すべきチャームポイントだ。
やや小さめのFOREST STAGEで見たのはキュウソネコカミと夜の本気ダンスだ。「おい!フードエリアー!」とヤマサキセイヤ(Vo/Gt)が遠巻きのお客さんも積極的に呼び寄せながら、最高に熱くて楽しいステージを見せてくれた。新曲「サギグラファー」では5人がステージでカメラポーズを決めたり、「DQNになりたい、40代で死にたい」ではいつものようにオーディエンスの上に立ったセイヤが「さぼんなー!」と全力で煽ったり。ヨコタシンノスケ(Key/Vo)の鋭いシンセのフレーズをフィチャーした痛烈なロックナンバーで爆走したキュウソ。昨年のLAKESIDE STAGE出演から、再びFOREST STAGEに戻ったことをネタにして「また来年出直してきます!」と、謙虚にステージを締め括った。
夜の本気ダンスはFOREST STAGEのトリとしてラブシャに初参戦。「Crazy Dancer」や「Oh Yeah」など真骨頂のロックナンバーでフィールドに集まったお客さんをガンガンに揺らしまくっていく。“夜の”と名乗るバンド名でありながら、フェスでは昼間の時間帯を任されることが多いという彼らは、やや陽が暮れてきて照明効果がよく映えるロケーションを心から喜んでいた。「ロック好きですか?僕より好きですか?」と、最後まで丁寧な口調を崩さずに問いかけていく米田貴紀(Vo/Gt)は、岡村ちゃん譲りのキレのあるダンスを見せながらステージを魅了。アンコールの「戦争」まで多彩なグルーヴを駆使する夜ダンの変幻自在なダンスロックはやはり夜のムードがよく似合っていた。
どっぷりと陽も暮れた会場。遠く富士山には山頂を目指す登山者のライトが点々と行列になっているのが見えた。そんななか1日目のトリとしてLAKESIDE STAGEに立ったのはサカナクションだ。サングラスを着けた6人が横一列に並び、それぞれがMacBookの前に立つ。緻密な音の重なりが神秘的にする感じられた「ミュージック」に続けて、ステージから溢れ出す光の加減が変わると、「アルクアラウンド」から演奏がバンド編成に切り替わった。着物姿のダンサーが艶やかにステージに登場した「夜の踊り子」、岩寺基晴(Gt)と草刈愛美(Ba)が和太鼓を打ち鳴らした「SAKANATRIBE TRANCE MIX」。頭上にレーザー光線が何本も交差するダイナミックな演出で繰り出された“テクノmeets和”のコラボレーションは、もはや音楽の他に何もいらないと思わせるような圧倒的な昂揚感を与えてくれた。アンコールでは山口一郎(Vo/Gt)が「僕らは今日で夏を締め括ります」と言ってから、ブルーの照明のなかシンプルなロックナンバー「Aoi」を届けたサカナクション。フェスティバルの終焉を告げる鮮やかな花火が散り、すべての音が消えたあとには、夏の終わりを予感させる少しセンチメンタルな余韻だけが会場に残されていた。
【取材・文:秦理絵】
ライブ 野外イベント SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER THE ORAL CIGARETTES WANIMA 夜の本気ダンス キュウソネコカミ パノラマパナマタウン サカナクション BLUE ENCOUNT KANA-BOON
セットリスト
SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2016
2016.8.26,27,28@山梨県・山中湖交流プラザきらら
■パノラマパナマタウン
- 01. パノラマパナマタウンのテーマ
- 02. ロールプレイング
- 03. シェルター
- 04. SHINKAICHI
- 05. MOMO
- 06. 世界最後になる歌は
- 01. エイミー
- 02. 起死回生STORY
- 03. STARGET
- 04. CATCH ME
- 05. DIP-BAP
- 06. カンタンナコト
- 07. 狂乱 Hey Kids!!
- 01. Survivor
- 02. THANKS
- 03. ロストジンクス
- 04. NEVER ENDING STORY
- 05. LIVER
- 06. DAY×DAY
- 07. もっと光を
- 01. フルドライブ
- 02. ウォーリーヒーロー
- 03. 1.2. step to you
- 04. なんでもねだり
- 05. Wake up
- 06. ないものねだり
- 07. シルエット
- 01. THANX
- 02. エル
- 03. いいから
- 04. 1106
- 05. BIG UP
- 06. Hey Lady
- 07. ともに
- 01. ビビった
- 02. サギグラファー
- 03. ファントムヴァイブレーション
- 04. たまにいるタラシくん
- 05. DQNなりたい、40代で死にたい
- 06. ハッピーポンコツ
- 01. Crazy Dancer
- 02. Oh Yeah
- 03. Feel so good
- 04. fuckin’ so tired
- 05. B!tch
- 06. WHERE?
- EN-01. 戦争
- 01. ミュージック
- 02. アルクアラウンド
- 03. モノクロトウキョー
- 04. 夜の踊り子
- 05. SAKANATRIBE TRANCE MIX
- 06. アイデンティティ
- 07. ルーキー
- 08. 新宝島
- EN-01. Aoi