エレファントカシマシ、27回目の日比谷野外音楽堂2Days公演初日を完全レポート!
エレファントカシマシ | 2016.09.29
今回も素晴らしいライブだった。エレファントカシマシ27回目の日比谷野外音楽堂。デビュー翌々年の90年から続けてきたこの会場でのライブは、彼らにとってもファンにとっても特別だ。今年は3年ぶりの2Daysとあって、ひときわ気合が入ったのではないだろうか。1日目の9月17日は、3部構成にアンコールを加えた32曲、2時間45分に及ぶ熱演は充分すぎる手応えのあるものだった。
シガー・ロスの曲が止まり、期待に客席の空気が張り詰めた瞬間、メンバーがステージに現れた。黒のジャケットに白いシャツを着た宮本浩次(Vo&G)は、「やぁ」と観客に声をかけるとギターを持ち、「じゃあ聴いてください」と力強い声で「ズレてる方がいい」を歌い出した。途中でファルセットを入れたり、「お前と!」と歌いながら客席を指差したり、のっけから絶好調ぶりが伝わる。2曲目は「聴いてください、男の歌です」と「歴史」。起伏のある演奏と歌でドラマチックに進め、「ゴッドファーザー」へと繋いだ。間奏で「ギター、石くん!」と石森敏行を紹介すると、石森がちょいとサイケなギターを弾いた。キーボードの細海魚も体を上下に揺らしてノッている。「ふわふわ」では宮本が客席に向かってお尻ペンペンをしてみせ、石森を前に押し出し演奏を盛り上げた。ステージは早くもカオスだ。
荒々しいイントロが更に力強い歌を引き出した「道」に、「若い時の方がいろいろ考えるんで」とブルージーに歌った「おれのともだち」、タンバリンを振りながらの「too fine life」と90年代前半の曲が続く。宮本が歌いながら、ドラムの冨永義之の後ろに行ったり石森と肩を組んでみたりしたのは、当時のことを思い出していたのだろうか。安定感のある「風に吹かれて」に続き、「毎日腹筋して背筋やって、練習やってご飯食べて友達に会っておうちに帰って……」と独り言のようにつぶやいて始まった「いつものとおり」も懐かしい曲だ。軽快なギターや鍵盤とともに始まり、次第に熱気を帯びていく歌と演奏が圧巻だ。終盤でテンポを落として余韻を感じさせるかたちにした曲が多いのも、伸びも張りもある宮本の声を引き立てている。 「嬉しいです、27年目の日比谷の野音」。宮本は「日比谷の野音」という言い方が気に入っているらしく、この後も何度も口にした。アルバム「生活」のレコーディングで合宿した時に作った曲と紹介した「月の夜」は、そのアルバムにも参加した細海の繊細なハモンドオルガンが絶妙だった。一転してギターのイントロだけで観客が湧いた「珍奇男」、リズム隊の落ち着いたグルーヴが光った「武蔵野」、間奏で石森を「アピールしろ!」と前に押し出した「流れ星のやうな人生」はザ・バンドのような演奏になり、「昔の侍」はほどよい緊張感のあるしっとりした歌に。そして、伸び伸び歌った「流されてゆこう」「Baby自転車」、さらに「悲しみの果て」「四月の風」とアルバム『ココロに花を』の曲が続いて1部は終了。
「また出てきます!」と言った通り、数分後に再度ステージに現れた宮本たち。「友達がいるのさ」の歌詞を「歩くのはいいぜ、立ち止まったっていいぜ」などと変えながら歌い掛けると、オーディエンスは腕を上げて応える。1部で温まった気持ちのまま、2部は始まった。TVドラマ「侠飯~おとこめし~」オープニングテーマ曲「「i am hungry」をエネルギッシュに歌いながら宮本は、着替えたばかりの黒いシャツのボタンを引きちぎって胸をはだけ、シングルでリリースされたばかりのこの曲にライブの熱気を吹き込んだ。そして「お馴染みだけど大好きなんだ」と弾き語りで歌い出した「今宵の月のように」。始めの一節を一人で歌って歓声が上がると、心得たようにバンドが入り曲がスタート。こんな心憎い演出もこの夜のために考えたのだろう。そして、最後の一節をまた弾き語りで歌った宮本の歌からは、本当にこの曲がお気に入りなのだろうと思わされた。
そのまま弾き語りで「涙」(原曲も弾き語りだ)を情感豊かに歌い切ると、一転してギターを掻き鳴らし「コール アンド レスポンス」に突入。スイッチが入ったようにステージを動き回りながら歌い、そのテンションのまま「RAINBOW」へ。そんな宮本に応えるように石森も前でギターソロを弾き、細海はオルガンで色を加える。エンディングで宮本は大きく吠えた。
イヤーモニターを直しながらのMCで「RAIMBOW」の歌詞を引用し「お前もヒーローでこれが俺さ。どうもありがとう、俺たち、俺の努力の結果(笑)30年以上続けられて嬉しいです。これからもついて来させてやるぜ!」と宮本。この言葉に大きな歓声が起こったのは言うまでもない。ひときわ力のある声で歌った「FLYER」が第2部の締めになり、一息入れたのちの第3部は「星の降るような夜に」からスタート。「歩こうぜ」というコーラスが心地良く響いた。そして「さあ行こうぜ!」と声をかけると最新シングルの「夢を追う旅人」へ。間奏では石森のギターソロに乗せて宮本がスキャットしてみせ、この曲がすでにバンドのものになっていると感じさせた。ヒラマミキオ(G)の力強いギターリフから始まった「ガストロンジャー」では「だから胸を張ってさ!」と歌いながら胸を叩き、「いい顔してるね、エブリバディ!」と呼びかけた。ラストは「ファイティングマン」。28年間歌い続けてきた曲を輝かせる極上のバンド・サウンドに乗って、宮本はステージの端から端まで走った。
アンコール1曲目は、本編の熱気を残してパワフルに歌った「この世は最高!」そして「夢のちまた」をゆったりと歌いながら、「晴れてよかったなあ、エブリバディ」と台風の影響で心配された天候に触れ、「ありがとう」と締めた。 「素敵な1日でした。1杯飲んで帰ってくれ、サンキュー!」というとメンバーたちに声をかけてステージ前に整列し、全員で肩を組んで頭を下げた。雲間から月も顔を覗かせたこの夜、27年も続いたライヴだからこそ選曲に心を砕き、メンバーやサポートの二人と共に練り上げたライブであることを実感させられた。この恒例のライブを経て気持ちを一新、エレファントカシマシは秋のツアーへと向かっていく。
【取材・文:今井 智子】
【カメラマン:岡田貴之】
リリース情報
夢を追う旅人
2016年06月24日
ユニバーサル シグマ
2. i am hungry
3. 夢を追う旅人(Instrumental)
4. i am hungry (Instrumental)
セットリスト
日比谷野外大音楽堂 2016
2016.9.17@日比谷野外大音楽堂
- 01 ズレてる方がいい
- 02 歴史
- 03 ゴッドファーザー
- 04 ふわふわ
- 05 道
- 06 おれのともだち
- 07 too fine life
- 08 風に吹かれて
- 09 いつものとおり
- 10 月の夜
- 11 珍奇男
- 12 武蔵野
- 13 流れ星のやうな人生
- 14 昔の侍
- 15 流されてゆこう
- 16 Baby自転車
- 17 悲しみの果て
- 18 so many people
- 19 四月の風
- 20 友達がいるのさ
- 21 i am hungry
- 22 今宵の月のように
- 23 涙
- 24 コール アンド レスポンス
- 25 RAINBOW
- 26 FLYER
- 27 星の降るような夜に
- 28 夢を追う旅人
- 29 ガストロンジャー
- 30 ファイティングマン
- EN1 この世は最高!
- EN2 「序曲」夢のちまた
お知らせ
ZEPP TOUR 2016
2016/10/01(土) Zepp Namba
2016/10/02(日) Zepp Namba
2016/10/08(土) Zepp Nagoya
2016/10/09(日) Zepp Nagoya
2016/10/14(金) Zepp Tokyo
2016/10/15(土) Zepp Tokyo
2016/10/22(土) Zepp Sapporo
テレビ朝日ドリームフェスティバル2016
2016/10/23(日) 国立代々木競技場第一体育館
rockin’on presents COUNTDOWN JAPAN 16/17
2016/12/28(水) 幕張メッセ国際展示場1〜11ホール、イベントホール
2016/12/29(木) 幕張メッセ国際展示場1〜11ホール、イベントホール
2016/12/30(金) 幕張メッセ国際展示場1〜11ホール、イベントホール
2016/12/31(土) 幕張メッセ国際展示場1〜11ホール、イベントホール
新春ライブ 2017 日本武道館
2017/01/06日(金) 日本武道館
The Covers’ Fes.2016
2016/10/19(水) NHKホール
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