「音×AiR JOL原宿でLove Me Do♪」第17回は初の試みとして、ステージ前に置いてあった丸椅子を取っ払い、後ろのテーブル席とはパーテーションポールで仕切って立ち見エリアに。オープニング前に3人が楽器を持たずに登場し、お菓子やリップクリームなどのプレゼントを配りながら「前で見てみてくださーい」と誘導するが、くっきり区切ってあるとお客さんも物怖じしてしまうのか反応が薄く、緊張気味のスタートとなった。

　一度引っ込んで、出囃子とともにあらためてサポートギタリストの將（しょう）を含む4人がステージへ。お笑いゲストが登場しないオープニングも初めてだ。1stステージは「純愛バイセコー」で始まったが、演奏が始まるとさっきまでの緊張の面持ちはどこへやら、一転してリラックスした表情に。続く「愛を唄おう」では♪イェ～イェ～～をいつもより伸ばしていて、楓の喉の調子はよさそうだ。ラストの「Love Me Do」は、お客さんに歩み寄る姿勢を強めたのか、振付講座がいつも以上に丁寧な気がした。

　アントキノ猪木がそもそもアントニオ猪木を知らない世代の女の子たちに悪戦苦闘しながらも闘魂注入した後の2ndステージでは、再び立ち見エリアに来てくださいとアピールして「波乗りトコナッツ」「抱きしめたいハグトゥナイ」を続ける。前半よりかなりのびのびやれている印象。「Love Me Do」では音×AiRもこなれてきて、軽くふざける余裕も。コール＆レスポンスもまずまずだった。エンディングでは再登場したアントキノ猪木が「1、2、3、Love Me Do～！」で締めてくれた。10月は9日と23日の2回行われる当イベントだが、立ち見エリアは埋まるのか？　音×AiRの次なる課題に要注目！　というわけで3人にこの日の感想を聞いてみた。

竜之介「最初は正直やりにくかったっす。最前列を区切ったことで後ろの人が遠くなったというか、“見なくてもいいんじゃないか”みたいな空気になってる気がして。でも前半と後半の間に話し合ったんです。俺たちがやるべきことは、まず（立ち見エリアの）中の人を楽しませることやと。そこがどんだけ楽しい空間になってるかってことが、自分も行きたいと思ってもらえるいちばんシンプルな理由やろって。後半は気持ちを切り替えて、よくなった気がしますね」

MASAYA「アントキノ猪木さんがネタやってはる間に“後半はこうやろう”ってミーティングして、のびのびやれたんじゃないかって思います。来月はJOLが2回あって、仕切りの前のお客さんを倍々に増やしていくという作戦が始まるんです。それができれば必然的にワンマンライヴもイケるんちゃうかなと。頑張ります！」

楓「今日は頭使いました。目に見えるもので仕切って、それがあるからといって憶したらあかんかったんですけど、最初のステージは思考と動きがあべこべで空回りしちゃいましたね。後半はまず自分らが慣れて、後ろの人たちの興味を引くようにしたいということを意識しました。結果、最初としては頑張れたかなと。次はしっかりやります！」

　サポートギタリストの將は「2回目では修正できたと思うんですけど、JOLはお客さんの入れ替わりも激しいので、1回目からリラックスして動けるようになりたいですね。お客さんの特質を理解して、さらにメンバーとコミュニケーションをとって、話し合いにも参加していきたいと思ってます。サポートとはいえお客さんから見ればステージに立ってる人のひとりなので」と彼の立場ならではのナイスコメント。アントキノ猪木の「ミュージシャンは一気に突き抜ける可能性があるので、バカと呼ばれるほど夢を持ち続けていってもらいたいですね。あんまり現実を見ないほうがいいかもしれませんね！　アッハッハッハッ」という豪快な笑いの勢いを借りて、来月もかませ、音×AiR！

【取材・文：高岡洋詞】
【撮影：Sinpu Tokyo.】